by jun | 2018/11/01

手品好きの皆様におかれましては先日公開されたフレンチドロップの鬼コラムを読んでどのコレクターが良いのか話し合われたり、時節柄コレクターの被り物をして街を闊歩されてることかと思います。
毎度のことながら石田さんのコラムは本当にやばくて、国内外問わず本もDVDもダウンロード商品もカバーしていて、広く流通してないマジックマーケットで販売されたレクチャーノートなんかも調査されているのが凄まじいです。

コラム:第86回 コレクターの歴史と最新状況

圧倒的な知識と情報量を基にしたコレクター論も非常に面白く、時代ごとの流行りやそれぞれの手法に残る問題点なども明確になっています。
2000年代以降の作品は知ってるものも多いですが、それらのコレクターの影響元までは掘れてなかったのでむっちゃ勉強になりました。
なんの手品でもそうですけど、作品はそれ単体だけじゃなく時代背景やそれぞれの問題意識まで繋げて見ると納得度が上がります。

個人的にコレクターは特に人に見せるわけではないけど買うか悩んでる本にコレクターが入ってたらなんか買っちゃうみたいな存在のプロットで、理想の実現が難しいこともあり他のプロブレム系と比べても個性が出るので読んでて面白いです。
そんな中で好きなコレクターがいくつかあるので軽く紹介します。

y.A.C (Chad Long)

Chad Long DVD Volume Ⅰで解説されてます。

チャドロングは”Divide and Conquer”というコレクターも変で面白いですが、より正統派なこちらの方が好きです。

4枚のエースをテーブルに置いて、それがデックと接近することなくテーブルの上で3枚のカードを挟むタイプのコレクターで、実際には接近するし一瞬イロジカルな瞬間もあるんですがそれが絶妙に気にならないようになっています。
ほとんど理想形なものをパームも使わず実現してて、3枚のカードはバラバラの位置に戻したように見せることもでき、1枚ずつコントロールする動きをすることもないので最強です。

Robin Hood (Pit Hartling)

The Little Green Lectureで解説されています。

4枚のエースを調べてもらってから輪ゴムがかかったカードケースの中に入れて、観客に持っててもらいます。
その後3枚のカードを選んでもらい、箱にかかった輪ゴムでバーンやってもらうと箱の中のエースの間に3枚の選ばれたカードが挟まります。

大胆なことをやりつつもフェアに示せるところが適所に配されていて、終盤はクリーンすぎて「同じカード使ってんじゃないの?」って思われそうなところをロビンフッドの話とアクションで説得力を持たせていて素晴らしいです。
ピットハートリングの手品は全部そういう手法と演出の持ちつ持たれつ感が素敵ですが、コレクターのバリエーションとして観客がただカードを選ぶだけの存在になってないあたりもおもろいですね。
ロビンフッドとかいう馬鹿でかい話をコミカルに手品に持ち込むあたりもさすがという他ありません。
この手品見た後に「輪ゴムは何かしらの作業に必要だったのでは?」と思う人はいないと思うのですね。
手法だけ見ると他のコレクターの問題点とされるような部分が全く問題に見えない巧みな構成で、まあ最高です。

Vanishing Collectors (Luis Otero)

Enlightened Card MagicというDVDで解説さている4枚のエースが1枚ずつ消えて捕まえにいくよー型のコレクター。

コレクターにはアトファスムーブ問題というのが付き物ですが、これはアトファスムーブを使わずに4枚のエースを横にどけておくことができ、裏向きに4枚広げておけます。
裏向きかよっていうのはそうなんですけど、エースが1枚ずつ消えていくパートで「確かにあそこに置いてあったのは4枚のエースだった」ということを印象付けることができます。
置いたと見せかけてデックに残ったエースは裏向きなのに、非常に巧妙なカードの動きで表裏のコレクター状態にしてしまうのも面白いあたりです。

Collectors and Back Again (Joshua Jay)

ジョシュアジェイはレギュラー解決バージョンだと”Discreet Displacement Collectors”というのがありますが、あれは割と技法の使い方の一つ的な感じですし、”Dejaveu Collectors”の方はコレクター前に別の現象がくっつくあたりがちょっとピンと来ませんでした。

Collectors and Back AgainはOverlapに入ってる作品の一つで、選ばれた3枚のカードを箱の中に入れてからテーブルに置いてある4枚のエースの間に挟まります。
その後4枚のエースだけが消えて3枚のカードだけになり、4枚のエースは箱の中から出てくるオマケ付き。
Overlapを使えば何もない4枚の間に3枚のカードが挟まるコレクター出来ますが、こんな発展のさせ方もできる可能性に痺れました。

あのギミックは面白くて、ホフジンザーとかトラベラーとかホーミングカードとかアセンブリとか、多くの4A系のプロブレムをスマートに解決してしまいます。

PK Collectors (Patrick Kun)

At the Table Live Lectureで解説されてるパトリッククンのコレクター。
これもエースが消えて探しにいく型ですが、パトリッククンらしい完全にビジュアルに特化したバリエーションです。

バニッシュパートのビジュアルとテンポの良さも素敵なのですけど、トップカードが裏向きの状態からトップにコレクター状態のカードを広げて見せれるのは他にもそんなにないと思います。
構造的にコレクターの表裏の綺麗な状態を綺麗に見せれないのはややマイナス点ではあるものの、テーブルに4枚のエースを広げておけて、アディション的な動きも気にならないようにしてるあたりはポイント高いです。

Rewind (MO)

ビジュアル重視だとこれも外せません。
EmperorのMOさんパートで解説されているコレクター。

こちらはデックとエースパケットを接近させずに出現させるパターンで、一気に3枚挟まったとこを見せる過程でビジュアルな出現と消失が見せられます。
最初見た時は消失のパートいらんかなと思ってましたが、3枚がいきなり出てくるとこのアゲ感がないのも寂しいですし、3枚出ることで「隠していただけ」と思われない流れも素敵です。

Collectors 21! (Simon Lovell)

Son of Simon Says!で解説されてるコレクターで、割と珍しいテーブルを使わずに行えるものです。
4枚のエースはデックのトップに表向きに置いたまま3人にピークでカードを覚えてもらうので挟まるのは結構不思議に見えます。
所々謎の動きはあったりしますが、Lovellらしく演出でカバーしていて3枚のカードが当たってることを示すとこでも一工夫あったりして、パズルに走りがちなコレクター心に何か大事なものを思い出させてくれる作品です。

Straight-Edge Collector (Kostya Kimlat)

Card Work ,Card Playでは3つのコレクターが解説されてますがこのバージョンが一番好きです。

4枚のエースを箱の上に置いて3枚選んでもらって戻して混ぜて云々してる間に箱の上のエースが消えて真ん中でコレクターしています。
シチュエーションは選びますが、アトファスムーブに付随する諸々の問題を解決するナイスアイデアです。
コントロール部分のハンドリングも良く、もさもさせずに一気にクライマックスまで行けるのも良いですね。

コレクター (宮中桂煥)

図解カードマジック大事典で解説されてるコレクターです。
3枚のカードをバラバラに戻したように見せれて、その後エースのっけてすぐに挟まるシンプル設計。
82年の作品であることはフレンチのコラムで初めて知りました。

形的にはかなり好きなコレクターで、3枚のカード戻すとこを変えたバージョンとか前に考えてました。

Collectors I (Benjamin Earl)

4枚のエースを表向きに広げて置いて、そこからデックと一切接近することなくコレクターするかなり理想的な形です。
接近しなさすぎてそれしかないやろという解法ではあるんですが、パケットを横に置いておくプロットはワンハンド技法の有効な使い方だと思いますし、何もないエースの間に3枚出現するところにもビジュアル的工夫があって良いです。

ベンジャミンアールさんは同じPast Midnightの中で”Collectors Ⅱ”ってのも解説してて、それはそれでおもろいやり方ですが見た目があんま綺麗じゃなく、集めたらなんでもええのかって感じがちょっとあります。

The Buckle-llectors (Harapan Ong)

4枚のエースをどけてから3枚覚えてもらって、4枚のエースをデックに乗せるとバラバラの位置に分散し、また広げると真ん中でコレクター状態になっています。

石田さんのコラムでも触れられてる通り、同様の手法を使うものの中では最強の部類です。
これが解説されてるClose Culls及びCullologyの中で肝となる技法を使うことで、バラバラに見せる過程で一回広げて閉じただけでコレクター状態にしてしまうことができます。
極めて無駄がなく、限りなくランダムな状態から挟まるので気持ち良さでいうとトップクラスのコレクターです。

Collector’s Item (Peter Duffie)

ロイウォルトン大好きなダッフィーさんはいくつもコレクターを発表してますが自分が知ってる中だとこれが一番面白かったです。
3枚覚えてもらって混ぜた後、4枚のエースを表向きに1枚ずつお客さんの手に置いていって、裏向きに広げてもらうとコレクターが完成してます。
手法の割にハンドリングに無駄がなく、まあまあエンドクリーンだし固めてスプレッドする必要がなくお客さんの手の中で出来るってのもよいですね。
Card Zonesにも入ってるClose-up to the Pointで解説されてます。
ぱらぱらとCard Zones読み返してたらSadowitzの方にも”You only collect Twice”ってのが入っててこんなのあったっけと思ってたらこれはコレクターじゃなく色違いカードを使うサンドイッチでした。

一応ここでは4枚の中に3枚挟まるものを紹介しましたが、3枚の中に2枚とか2枚2枚の間に1枚1枚挟まるやつでも好きなのは多いです。
例えば佐藤総さんの「ワーカービー・コレクターズ」とかめっちゃスマートで好きです。3枚の中に2枚って絵面的にもやっとする感じのものが多いですが、そこを演出でカバーしてるのも素敵ですし、技法の応用の仕方もめちゃくちゃクレバーで、あの方法でしか実現できないというのも面白いあたりだと思います。
あと、見た目的にはコレクターではありませんが現実に存在するコレクターそのものを題材にしたアルスさんの”collector”も素晴らしく、カードを何かに例える手品の中でも最高峰です。

色々挙げて来ましたが、不可能なことを実現させたように見せる手品である以上、より良いものがあるのではないかという思いを払拭するのは無理ですし妥協してる場合ではありません。
ここ1〜2年で結構重要作っぽいのあってまだ見れてないやつも多いのでこれからちょこちょこ読んでいきたいと思います。
カード3枚集めるためにたくさんの本を集める必要があるのめっちゃ面白いですね。

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