by jun | 2021/03/13

Martin Gardner Presents の邦訳版、後編。
マーチンガードナー作じゃないのが結構入ってる本なんですが、続の方は特に別の人の作品が多いです。ターベルコースに載ってるやつも多数。
ガードナー作はパズルや数理トリックなどそれっぽい作品が多く、出来も続の方が明らかに良かったです。
カードの手順も凝ったやつがあったり、素材も豊富なので続の方がトータルで面白く読めました。
というわけで気に入ったのを中心に各章ごとに一部紹介します。

第8章 4つの面のさらに裏

サイコロのシックス・アウト

サイコロのどの目が出ても予言していたかのように見せれるトリック。
完全に後出しジャンケンなのですが、それぞれそう思わせない工夫があっておもろい。
ドガジャーンって勢いもあるし、シチュエーションに合わせた道具で示すとそれっぽくなるのですね。

サイコロを13回転

サイコロを置いて後ろ向きになり、12回90度好きな方向に転がしてもらいます。
最後に1回転がすかどうかを決めてもらいますが、それをやったかどうかを当てれるという手品。
現象としては死ぬほど地味ですがそういう原理もあるのだなという。

サイコロの予言

観客が見た2つのサイコロの数を知る方法。
ちょっとこうなんでそういう見せ方をするのかというのはあるんですが、巧妙な方法です。

ドロップ・アウト・ダイス

12345と5個のサイコロを指でもって色違いの2と4だけ抜き出すテーブルクロス引き的なトリックです。
楽しい。

5面体の名詞

名刺の裏にダイヤのマークが2個書いてあって、その位置関係が変わったり増えたりします。
観客はひっくり返してるだけだと考えますが、反対側は普通に名刺で、そのまま渡すことができます。
手渡す前の処理はちょっと荒い感じですけど、両面にダイヤのマークが書いてるように見せるので、名刺が出た時点で不思議なので勢いでいけます。
面白いムーブです。

第9章

ワン・ツー・スリー・トリック

まずAと2と3を演者が裏向きで並べ、その後に観客がAと2と3を裏向きの上に置いていき、その結果がわかってた的な現象。大事なところの説明を省略しています。まあなんとなくそれしかありえないだろうと観客も考えそうなところでもあるんですが、手品的な工夫や態度によって結構不思議に見せられるもの。

つかまえどころのないA

モンティホール問題として知られるあれです。
上手いことマジックになってるかというと微妙なところではあります。

モンジェ・シャフルに関する考案

1枚ずつ上下交互に取っていくタイプのシャッフル。
規則正しく行うのでダウンアンダーのように原理を使えますが、動機付けはより難易度が上がるような動作。
M/S というスロップシャッフルと組み合わせたバージョンがあり、これはちょっと可能性ありそうな感じがしました。

奇跡の透視術

透視というか予言というか一致というかみたいなところなんですが、アウトの大半がギャグという感じです。
2段の笑いの中にガチ奇跡の確率を上げる企みがあっておもろい。
ギャグ自体が面白いかどうかは微妙ですけど、これがウケる状態に持っていけたら演じてみたい感じはあります。

クルスカル原理

出た数字の分だけ配って、またそこの数字分配って、みたいなのを繰り返すナンバートリックあるじゃないですか。それについての原理です。
現象的には最初に別のところから始めても最終的に同じカードが出るというもの。
解説では好きな数字を思い浮かべて、とやっていたけど適当なところでカットしてもまあまあうまくいきました。
解説では5/6ぐらいと書かれていて、体感もだいたいそんな感じ。
手を動かしてみるとそんなに確率高くなさそうなのが面白いところ。

ドクター・ジャックの椅子の予言

観客がどの椅子に座るか予言されてる現象。
マルチプルアウトで、とても巧妙なものでした。
ステージに映えるし傑作だと思います。

第10章 スモール・チェンジ

ペニーの曲芸

バランス芸的な手順。
1段目は指先に乗せたコインがまるでくっついたかのように見せるもの。
2つ目は手のひらに乗せたコインを投げるとコイントスのように回転する。
どちらも地味で不思議さが伝わりにくそうなのでバーベット的に演じるのが良さそう。

コインのピラミッド

ピラミッドの形に並べたコインが逆さまにひっくり返るという手品。
パズルが元になっていてマーチンガードナーらしくて良いですね。
演出もかぶせた紙をひっくり返すと中のコインの向きも変わるというようになっていておもろい。

第11章 ギャグとそれ以外のもの

歯の玩具を使って

歯がガチャガチャいうおもちゃを使ったギャグ。
トリックも解説されていて、カード当てをやるやつがビジュアル的にもおもろいと思いました。

ハンカチを通り抜けるタバコ

火ついたタバコがハンカチを貫通します。
仕掛けはそのまんまっちゃそのまんまですが、火のついたタバコならではの不思議さって感じでしょうか。

伸びるタバコ

Tの形にタバコを置いて縦の方が長く見えるねーと錯覚を見せ、実際に比べてみると本当に伸びてるという手品。
仕掛けもシンプルですが、ちゃんと見せれば不思議に見えそう。

動かないタバコ

ハンカチを手の上にかぶせて、ハンカチごとタバコを掴み、テーブルクロス引きのようにハンカチを抜くとタバコは手に残ったまま。
とても面白いトリックだと思います。
火のついたタバコでもできるし、棒状のものならなんでもいけます。

第12章

沸騰する水

水をコップにいれて、なんやかんやするとボコボコ泡が出てきて水がお湯に変わる手品。
お湯にするには条件はもろもろ厳しいですが、泡が出るところは再現可能。

クラッカーと矢印

クラッカーじゃなくても良いんですが、四角いものの両面に矢印を書いて、その向きがおかしなことになるやつ。
マジックセットとかにもよく入ってる矢印板、意外とちゃんとした手順を知らなかったので読んでよかった。
目の前で書いて調べさせられるのが良いっすね。

飛び移る輪ゴム

人差し指中指から薬指小指にうつるやつのちょっと別の見せ方。
指を開くことによってゴムがびよんしたと思わせないようなハンドリングになってます。

アイスティー

漏斗に水を注ぐとアイスティになって出てくる手品。
ちゃんとした解説じゃないのでよくわからなかったですけど、まあ見たら誰でもそういう方向の仕掛けだと思うようなものじゃないでしょうか。

上着を貫通するナイフ

上着の上に紙をかぶせて、上着の下からナイフを突き刺しますが紙は無事。
紙とナイフさえあれば即興で出来るもので錯覚も強いです。
気に入りました。

第13章 さらに努力して

ホフジンサー・スタイルのフォア・エース

ホフジンサーが演じてたらしいアセンブリ。
マクドナルド方式なのですが、観客にどのエースに集めたいか決めてもらうことができます。
自由に決めてもらえるので、ギャフの隠し方として結構アリ。

アンビシャス・エース

アンビシャスというかエレベーターというか、途中でひっくり返ったりとかもある手順です。
A23でやるエレベーターカードより裏向きで置いてあるカードがAであることを印象付けるパートがあり、負担も少ないです。

指を使った記憶術

指を使うクロッキング。
複数枚対応。

ジャンプ・アウト・カード

ボトムカードを飛ばす方法。
ゲットレディさえすればショットは片手で済み、向きが変わらずに出るので便利。
タイミングよくリフルしながらやると気持ち良く中から飛び出したように見えます。

ウィンク・チェンジ

ファンで煽ぐと変わるやつ。

レッド・ブルー・トランスポジション

赤青2つのデックを使う1枚のカードのトランスポジション。
トランスポジションの前に色々あるんですが、普通に良い手順だと思います。
まあフリーチョイスは無理なんですが、このトランスポジションが処理みたいに使われてる感じ、もうちょっと長い手順考えてみたくなりますね。

時計のトリック

12枚のカードを時計の形に並べて、ルールに沿って1枚ずつ表向きにしていって、最後に残った2枚が現在時刻を示してるというトリック。
松山光伸さん作のトリックだそう。
意外とシンプルなネタですが数理感が漂うのでそこに連れていければ不思議に見えそう。

ドク・ディリーのハンカチを通り抜けるカード

カードスルーハンカチのハンドリング。
パームがいるやつなんですが、パームした状態があんまり怖くないようになっていてデックをハンカチで包むという流れで見ても自然です。
あと、ハンカチの持ち方的にあちこち探しながらあの形にしなくて良い感じで、かなりしっくりくるハンドリングでした。

サイ・ステビンスの原理

現象はカードの裏にそれぞれ数字が書いてあって、なんかかんや操作すると同じ数字が並ぶみたいなやつ。
サイステビンスの原理というかなんというか、それ以前に操作のルールが恣意的すぎて壮大な準備の割に不思議には見えなさそう。

2と6と10

4つに配ってAが出るやつのフリーチョイス版。
選ばれたカードの数字を使ってなんちゃらするからランダム感はあるけど、総合的に見てAが出るやつより素敵かどうかはよーわからんですね。

第14章 コマーシャル・トリック

いわゆるコマーシャルトリックというか、本当に企業が宣伝で配ってたものに手品があったとかそういう話。
その物がないと演じられませんし解説もゆるいですが、そんな昔にそんなものがあったのかという面白さはあります。
こういう話は結構好き。

第15章 過ぎ去りしもの

忘れられた贈り物をたたえて

スティーブミンチがガードナーの本 12 Tricks with a Borrowed Deckをベタ褒めしてます。
1940年の本でStars of Magicより前ですがトライアンフっぽい現象があるらしい。
あとLie Spellerもこれに載ってるとのこと。

失った小さな歴史

12 Tricks with a Borrowed Deckは色々あって回収差し替えとなったらしいのですが、その部分が解説されてます。
リバースヒンズーシャフルというJohn Snyderの技法で、ヒンズーシャフルの流れでカードをボトムにコントロールするもの。
ボトムを保ちつつコントロールできるので複数枚も可能。

カット・ザ・カード

1942年に出版されたCut The Cardsという本がまるまる収録されてます。
ここだけで17手順ありますが一部紹介します。

クロース・フィット

カードがぴったり入る封筒を、カードが入らないような大きさに見せる錯覚の方法。
実際やってみると結構強いですね。
というかカードサイズの封筒はそんなぴったりのをあんま見ないので、ただそれだけで小さく見えます。

ダブル・バニッシュ・リカバリー

マルロー作。
2枚のカードが消えます。
表同士を擦り合わせるやつですが、シンプルなセットであらためも綺麗。
また2枚とも取り出す方法も観客参加型で良い感じ。

ゼムクリップが見つけ出す

観客が選んだカードにクリップでメッセージ付きの紙が留められる手順。
まあなんぼでもやり方はありそうですが、差し込んで戻すような動きはせず、観客にシャッフルの途中で戻してもらえるのが肝です。
良い手法だと思います。

多分奇跡

選んでもらったカードは見ずに裏に印をつけてシャッフル。
表向きにスプレッドして観客がそのカードを見つける的な手順です。
じわじわダイレクトヒットを狙いつつアウトもある手順になってます。
最初に名前を言ってもらうからアウトはやや厳しくなりそうではありますが。

壁に張り付くカード

箱に入れたデックを投げると選ばれたカードだけが壁に画鋲でとめられてるあれ。
影でこそこそするやり方とかもありますが、箱の中にしまう動きであれできるやり方が解説されてます。

不思議なカード・バニッシュ

ハンカチの中でカードが消えてデックの中から表向きで出てくる。
知らなかった。不思議。

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