by jun | 2019/11/14

リチャードターナープロデュースのゴールドスタンダードがもうなくなりかけてるとかなんとかで、値段も上がるかもしれませんし買えなくなるのも時間の問題なので欲しい人は今のうちに買っておいたほうが良さそうです。


ただ、一時期はバイシクルの質が酷くて、多少高くてもゴールドスタンダードという感じだったのですが、ここ最近のバイシクルは特に問題がないので別にゴールドスタンダードじゃなくてもいいかなって思い始めてます。
ここでいう一時期というのは2015年前後、最近というのは2017年以降の話です。
年代はケース底ではなく、スペードのAに書かれてる表記で見ています。
当然全てのロットをチェックしてるわけでもなく、そこまで色んな時期のを試したわけでもないので参考程度の話にはなりますが最近のバイシクルの話を少しだけ。

まず、質が良いというとぼんやりした話になりそうなので、2015年付近のバイシクルの何が駄目だったのかという事を書きますが、とにかく固くて裁断がバラバラでファローが入りませんでした。
大半の手品で支障がないと言えばそうなんですが、ドリブルしただけでストレス感じるレベルで大変辛かったですね。
固いのとコシの差は、プレッシャーファンとかしたときに折り癖がつきやすいのが固いデック、そうじゃないけど耐久性があるのがコシがあるデックというぐらいの意味で使いわけてますが、2015年付近のは本当にただただ固かったです。
裁断の荒さもぱっと見てわかるレベルのものがあり、固くて裁断揃ってなきゃそりゃファローも入らんやろなという感じでした。
これはバイシクルだけでなく、この時期に作られたデザイン系のデックも似たような傾向があったように思います。

ところが最近のバイシクルは裁断は綺麗だし、柔らかくてしっかりコシがあります。
分厚さも薄いと言われてるエリートエディションと比べても大差ありません。
0.5枚分ぐらい分厚いぐらい。
左がバイシクル(2018年38週)、右がエリートエディション。

薄くて柔らかいので結構な人が使いやすいと感じるはずです。

そして最近のバイシクルは基本的にトラディショナルカットになっていて、表面から綺麗にファローが入ります。
ゴールドスタンダードがトラディショナルカット推しで売られてることが多いからか、トラディショナルカットが特別なものっぽい印象がありますが、バイシクルでもトラディショナルカットは採用されています。
これについては石田さんのコラムでかなり詳しく調査されています。
コラム:第81回 U.S.プレイングカード社製カードの質の時代変化

この記事の一番下の表を見ると、年代ごとの裁断の向きがわかります。
2005年から2007年にかけては逆向きが続いていて、ゴールドスタンダードが2008年ですからゴールドスタンダードがそこにこだわってショップもそこを売りにしたのかと想像できます。
そして2009年からKY製になり、逆になったり戻ったりを繰り返しています。
この表では2015年と2016年が「正」となっていますが、うちにある2015(49週)と2016(35週)のやつで逆向きのがあるので1年単位で見るのはざっくりしすぎかもしれません。
ただ、これも個人的な狭い観測範囲の話ですが2017と2018に関してはトラディショナルカットじゃないバイシクルに当たってないので、かなりの割合でそうなってると思われます。
たぶん例外もあるのでしょうけど、最近のデックは裁断と逆向きに噛ませても普通に入りやすいので、向き自体そんなに気にならないですね。
テーブルファロー使うんでなければちょっと慣らしたデックなら普通に両面入りますし、新品でもそこまで引っかかるという印象もないです。

フィニッシュに関してもほぼオハイオ製と差がないぐらい何の問題も感じてません。
かなり雑に扱ってもくっつくレベルで完全に死ぬことはないです。
ベコベコしたりするのはオハイオ製でもあったんでそこはまあ構造上じゃあないのかという感じ。

あと最近のバイシクルのいいところとして、ジョーカーが両方大きい王様というのがあります。
片方は色付きなのですが、2つ開ければデュプリケートで使えるので便利です。

で、KY製のバイシクルの印象を殊更に悪くしてるのがこのケースだと思います。
Free Appとなんなのかよくわからない裏のデザイン。

どちらかというと手に入りやすいのがこれというだけで、今はちゃんと普通の箱のも手に入ります。
オハイオ時代と同じデザインで、シールも青。
シールが黒だったり、オハイオ箱と比べると若干色味は違うのもあるのですが、これも結構ロット差があるように思います。

ペンギンマジックだとダースで32.34ドル。
エリートエディションが39.95ドル、ゴールドスタンダードはダース売りなくて1個5ドルなので安いですね。
Bicycle Rider Back Playing Cards in Mixed Case Red/Blue(12pk) by USPCC

日本のショップでも「ライダーバック」と検索すれば出てきます。だいたい400円ぐらいです。
また、おもちゃコーナーに売ってるマツイゲーミングマシンの世界中のマジシャンに愛されシールが貼ってるやつもライダーバック仕様のがあります。
KY製でこのタイプのケースがいつ頃作られたのかは不明ですが、この1年ぐらいでいくつかのマジックショップやAmazon等の一般通販で買った感じ、2017年以前のものには当たりませんでした。大半が2018年製で、ヨドバシで買った愛されシール付きのやつの中身が2017年製だったぐらい。2019にはまだ当たっておらずですけど、たぶんそこまで質が変容してることはないと思います。

というわけで、よほどゴールドスタンダードにこだわりがない限り今売ってるバイシクルでいいんじゃないかという結論に至りました。
確かにオハイオ製のBee Stockというのは代え難い良さがあるのですが、値段差とか入手性考えるとそこまでかなと思います。
KY製高級ラインのエリートエディションとかSupremeとかはもっと微妙な立ち位置という印象です。
もちろん質の好みはありますんで、これじゃないとダメという人もいるとは思いますが、今のバイシクルは少なくとも悪いことは絶対ないぐらいの感じなのでだいたいの人は安く済ませても何の問題もないぐらいの話として。

KY製でもBee StockやCasino Qualityといったコシの強い紙はずっと高品質を維持してる印象があるので、ゴールドスタンダード的な紙質が好きな人はそちらも検討してみてはどうでしょうか。
安くてスタンダードフェイスのデザインのものだと、SteelというシリーズがCasino Qualityで3.85ドルで買えます。
Bee Stockで安いのはNew Tの4.5ドル。
どちらもトラディショナルカットではありませんが、ファローは両面かなり入りやすい部類だと思います。

Beeの紙質で見た目がバイシクルというのが今後出るのかはかなり微妙なので、そこにこだわりがあればゴールドスタンダードを今買っとくしかないでしょう。
また、カルタムンディに買収されて今後USPCの品質がどうなるかわからんのでバイシクル買うのも質がそこそこ良い今という気はします。
あとはもう今後も良いトランプを作ってくれるようお祈りするしかないですね。
それはそれとしてトランプの質に関係なく簡単に出来る良い手品をもっと作って欲しいです。よろしくお願いします。

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