一時は難しいために無視されたが、最近になってその有用性が再認識され、改良、利用されている。
カードマジック事典のパスの章にこんなことが書かれています。
カードマジック事典は1983年発行なので今はまた色々考えなおす必要があるとは思いますが、これ読み始めた頃はそんなこと知りません。
しかも「パス」なんて超基本中の基本みたいな名前がついてるし、「クラシック」なら覚えておかないと先輩達にボコられそうな気配すらあります。
なんとか文章と絵で覚えようとしたものの、こんなん絶対バレるやんという形にしかなりませんでした。
映像でパスを学べるものを探していると、「Pss with care」や「On the Pass」などのDVDを見つけましたが、日本語で練習器具までついたものもあるではありませんか。
P.S.P. Pass Trainer (ノンカテゴリー) | 手品グッズ専門「マジックショップGIN」
商品はクラシックパスを練習する用の鉄板と、銀次郎さんによるふじいあきらさん流のクラシックパスの解説DVDのセットで、ふじいあきらさんのクラシックパス映像も収録されてます。
自分が買った時は鉄板5枚だったのですが、今は8枚になってるみたいです。
8枚の方が半分に分けれますし絶対そっちの方が良いと思います。
5枚のやつはこんな感じです。
1枚だけGINのロゴが入ってるので、これをコントロールするように練習すればよいです。
トランプ7〜8枚分は薄いのですが、角とかはきっちりトランプの形です。
重さは622g。
だいたい622gの鶏肉と同じ重さです。
体積は鶏肉より小さいのでかなりズシンときます。
DVDで解説されてる「ふじいあきらのパス」ですが、ふじいさんのパスにも色々あります。
例えば2017年には角度と手の位置でそもそも引き込まれる瞬間が見えないようなパターンの動画を投稿されてます。
この商品の目的はスピードアップなので、どちらかというと面が見えてる感じのものが解説されています。
ふじいさんが2008年に投稿されてるこれが近いでしょうか。
ふじいさんはこの鉄板を使った練習動画もアップされていて、それはどちらかというと前者に近いです。2009年。
そんなわけでDVDを見てこの鉄板を手に練習しはじめたわけですが、確かにスピードアップはする気がします。
あんまり筋力がついた感はなくて、ただ重いもので練習すると軽くなった時に楽にできる感じ。
力任せにやるのではなく、指の動きは理想の最小限に意識しながら使うのがコツだと思います。
でも個人的にはスピードアップというよりも指に力を入れずにパスできるようにするための練習道具だと感じました。
よくスポーツ漫画でアホみたいな重りをつけて練習して、いざそれを外しても最初は効果なくて、分析キャラみたいなやつが「まだ体が慣れてないんだ。重り外して自分の体じゃないような感覚になっているんだろう。でも見て」とか言ってその直後に爆発するみたいな展開あるじゃないですか。
それと同じで軽い軽ーいって調子に乗ってスピードアップさせるとだいたい指の動きが大きくなったり手に力入った感じになってしまいます。
カラーチェンジに使う場合はともかく、シークレットにコントロールしたい時はそもそも両手で持つことが不自然ですし、指が変に動いたらパス自体は見えなくても何かした雰囲気は伝わっちゃいます。
理想はふじいさんのようにスプレッド閉じたのを揃える動きでやっちゃうスタイルだと思いますが、そのあたりの細かい理論の話は解説されてないのは残念でした。
でもまあ世界レベルのパス手法が解説されてるので、動きとして間違いない感じのものを見れるのは嬉しいです。
相変わらずクラシックパスは人に見せれる代物ではありませんが、カバーパスはかなり力を抜いてできるようになりました。
それがこの鉄板のおかげかどうかはよーわからんのですけども、軽い力で出来ること覚えるのにはとてもいい道具だと思います。
カード加えれば色んな技法の練習もできますし、カット系のフラリッシュで遊ぶこともできます。
なによりこういう訓練器具って物としてとても好きで、それこそスポーツ漫画のキャラクター気分になれるのでおススメです。
気分は結構大事で、だいたいコントロールならクラシックパスじゃなくてもいいしなーでも出来るようになりたいなーという思考の繰り返しなわけじゃないですか。
鉄板あるとちょっとだけその無限ループを断ち切れる感が出ます。
あとやっぱり一部の手順でクラシックパスじゃないと並びがうまいこといかないやつもあって、それを理想的な形にするために練習する価値は大いにあります。
あの上と下にジョーカー乗せて振るとジョーカーが消えて真ん中でカード挟んでるやつとか、ミッドナイトシフトじゃあの感じが出ないんですよ。
コントロールに関しては未だにパスである必要みたいなことがよくわからんのですが、パスを夢見る若者に「パスなんて練習しなくていいよ」と言って回るおじさんにはなりたくないものです。
動画時代突入して以降、技法は凝視されても大丈夫みたいなとこが条件になりつつありますが、もうちょい実践的なパスの使い方の理論みたいなとこは掘る余地があると思います。
凝視されてもわからないみたいなことを言われたい気持ちもありますが、この前初めてフットサルをやってきて「パスうまいですね」とか言われて気分よくしたのでそれで満足しました。
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