by jun | 2022/01/06

どうも明けましておめでとうございます。今年も元気に手品やっていきましょう。
そんなわけで年末のマジックマーケットで発売された園内五果さんの果物シリーズ最新刊です。
著者のライフワークであるところのMatching the Cardsに多くのページが割かれており、アプローチも多様でハンドリングのタイトさも過去作通りの安定感。
幸先の良さ重視のチョイスして、予想通りとても良かったです。

Unique Skill

アンビシャスクラシックをA〜5までそれぞれ別の現象で見せる手順。
見た目にも楽しいし、最後はどういう現象が起こるのかという期待も高まるからオチの変化が気持ちよく決まりそうです。
原案の1枚ではアンビシャス的なこと出来ないから…という文脈は弱まりますが、この手順は別の方向で期待を煽れてるので問題ということはないでしょう。
原案から一番変わってるのは4段目の移動のとこで、アンビシャスクラシックのカード構成を活かしつつ、テクニカルなところも上手いこと負担を減らす動きになっていて魅力的。

Magical Triple Control

Matching the CardsやMagician vs Gambler系手順の宿命として、取り出して表向きで示した後に裏向きにしてテーブルに置いて…というのを3枚続けてやらないといけないというのがあります。
Everywhere and Nowhere系の手順ならまだ、このカードがこっちにあるということは裏向きに置かれたこれはなに?という余地がありますが、Matching the Cardsの場合この段階でカードを伏せておく意味が弱いので手品知識のあるなしに関わらず結構気になる人はいるんじゃないかと思います。
んで、この作品はここをうまいこと解決したMatching the Cardsで、変化前の3枚を観客のカードを開ける時まで表向きにしておけます。
当然なんらかの方法で変化させにゃいかんのですが、無理なく、コントラストを失うテンポの悪さもなく、確かにその3枚が変化した様に見せていて超クール。
個人的には著者の作品の中でもベスト級、Matching the Cardsというジャンルで見てもトップクラスの出来だと思いました。

The Premature Failure Ⅲ

3枚取り出す過程で失敗して更に観客のカードと同じ数字の3枚に変化するというMatching the Cards。
失敗からの変化を一回やっといてクライマックス感を出し、Matching the Cardsのオチに更に意外性を持たせるのが狙いです。
あっちゃこっちゃするのでややこしくなりそうなもんですけど、2回の変化それぞれの目的地ははっきりしてるので混乱はしないはず。
失敗が2回続くことで演技的な難易度はちょっと上がりそう。でも意外とまどろっこしさは出なさそうで、さっきので良かったやん!みたいな感じが好きです。

The Premature Failure Ⅱ

こちらも上の作品と同じコンセプトのMatching the Cardsで、2枚目で失敗するバージョン。
失敗するのが2枚目ということで、ここでの失敗感は3枚目版よりは弱まりますが、Matching the Cards展開が飲み込みやすいのはこっちな気がします。
本作は変化のさせ方によってどっちが変化前だったか混乱しようのない作りになっているというのが上手いです。
終わった感からの更なる意外性となるとセリフ以外でのわかりやすさも大事なんで、そこらへんよく考えられてる手順だと思います。

The Premature Failure Ⅰ

オフバランストランスポジション的な要素があるMatching the Cards。トランスポジションというか変化なんですけども、これ系の現象は意外性を持たせるために観客に起こる事を上手くミスリードさせることが重要で、この手順はとてもスマートなセリフで一つの現象に捻りを与えています。
上手くいったらこう、失敗に見えるけどまだ成功の目がある、やっぱり失敗しとるやん、ぎょえーーという流れがとてもスムーズで、現象で前振りしない1フェイズの手順ということもあり独特の余韻を残すトリックです。
一枚ずつ取り出して観客のカード見る時にそりゃあ当たってるやろと思わせて…みたいなのがMatching the Cardsの醍醐味ではあるんですが、そこのショートカットが本当に上手くて確かにこれはMatching the Cards。
カップ焼きそばが焼きの工程ないのに焼きそばって言ってて食べたら焼きそばだしこれはこれにしかない旨さがある的な。
フォースの自由度の低さなどMatching the Cardsの諸問題も解決しているあたりも良いです。傑作。

Bonus

アンビグラムが一つと、strawberry収録作の別法、2つのトリックのセット方法について解説があります。

The Old-maid Trick ver.2021は演者後ろ向きの状態で誰がババ持ってるか当てることが出来るようになりました。
情報を聞き出す必要はありますが、元の原理自体の巧妙さもありますし、聞き方も説得力あるものです。
strawberry収録版に怪しさは感じなかったけど、直接何か意味ありげな事を聞き出す方が数分の1を確実に当てる手品には合ってるような気もします。

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