MOさんと龍華さん、日本の若手マジシャン2人による作品集です。
MOさんがカード、龍華さんがコインという分業スタイルでそれぞれ5つずつ解説しています。
若手ながらエンペラーというタイトルの勢いがまず好きですし、カードもコインもレギュラーだけでできるので皇帝感あります。
MOIL & WATER
二段の3枚3枚オイルアンドウォーターで最後がビジュアルなやつ。
二段目は表向きに混ぜ、余計なカードを使ってないアピールもあざとくなくてクールです。
実際にはあれがあれされてることに好き嫌いはあるでしょうが、ハンドリングさえ極めればここまでフェアに見せれるってのがわかります。
REWIND
コレクターです。
これも非常にクレバーな解決をしていて、バラバラに差し込まれた状態からカットもシャッフルもせず、離して置いておいた4枚のQの間から出てきます。
数あるコレクターの改案の中でもかなり好きな部類。
ビジュアル要素の取り込み方も理屈があり、かつ不思議さの強調になってるので素晴らしいです。
KNOCK DOWN
4枚のAと4枚のJの交換現象ですが、ケースに入れたAとケースの外にあるJのトランスポジションなので不可能性は高いし見せ方もかっこいいです。
ケース使ったマジック大好きなのでその時点で好印象ですが、あれをあれする時の方法もとても気に入りました。
4枚4枚の交換色々見てるけどこのやり方は無駄な動きなくて説得力あります。
OUTWIT
ホフジンザープロブレム。
どちらかというとマニア向きの作品で、ホフジンザー見たことない一般の人が見るとクライマックスやや混乱しそうな感じ。
ただそういうもやもやをビジュアルで吹き飛ばす勢いは積極的に推していきたいとも思います。
例えば普通のホフジンザーみたいに先に裏向き見せてからだと意外と平凡なものに見えてしまいそうですし、一気にぼんぼーんって色々起こってあれーーってなる方が楽しいのではなかろうでしょうか。
REMAKE
リセットの大オチある版。
元ネタのリセットと比べると色々マイナス点もあります。
現象の前に観客の前でセットできない点、カードを広げて示せない点、カードの扱いに気を使う場面が多い点などなど。
ただ、使ってない4枚をフェアに置いておけて、変化パケットとの接近なくオチに使えるというのは非常にポイント高いです。
あとなにしろこの4枚の変化1つ1つのビジュアルさがとても良いですね。
変化の原理自体は新しいことをやってないのにとてもクールに見えます。やはり映像で学ぶ場合こういうのが見れるととても嬉しいです。
FLYING COIIIINS
フライングクイーンとワイルドコインを合わせたような手順。
ワイルドコイン系は4枚だと冗長になりがちですが、テンポを崩さないハンドリングと意外性の連続でとても面白いです。
銀貨の方はずっとテーブルに置かずに手に持ってる状態なのに無駄な持ち替えがなく、ノイズになりそうなところには理由がある感じも好み。
いわゆるマジシャンにも不測の事態が起こった系の演技ですが、表情でうまくそれを演じてるのも参考になりました。
CHINK-A-CHINK
面白オチのチンカチンクです。
ノーエキストラで難易度も高めだと思います。
このDVDのコインマジックは全部ワンダラーつかってて、チンカチンクもワンダラーでやってましたが、やはりコインはでかい方がインパクトあって良いですね。
COINS ACROSS
ノーエキストラでテーブル使わない3コイン移動。
持ち替えがないので、冷静に考えるとここで取ってるとしか考えられないのですが、何回見てもそんな気配はありません。
解説見ると細かいとこまで工夫あって賢さと巧さあるのやべえなって思いました。
3FLY
消えた方の手をめちゃくちゃ広げられる3FLY。
しかもFLYっぷりもビジュアルだし最高です。
3FLYの場合変なとこに消しちゃうとその後大変ですがそこもうまく解決してます。
やってみると意外と成功するもんですが、100発100中でやろうとするとかなり大変そう。
ONE COIN ROUTINE
マニア殺しの謳い文句にやらしさを警戒してましたが、なんだかんだ完璧に消えるので誰が見ても不思議で、どこにあるでしょうゲームにならない素晴らしい構成だと思います。
というわけで大満足の10作品でしたが、個人的ベストはREWINDとFLYING COIIIINS。
フレンチドロップらしく解説映像も凝っていて、セリフある演技は英語と日本語選べるのも良かったです。
なんかひたすらムズイことをやってるDVDも好きですが、そりゃどっちかというと見た人が出来るものが見たいので、現象と負担のバランスも良い作品集で満足しました。
次回はカードとコイン入れ替えたのも見たいです。
エンペラーの続編のタイトルって難しそうですが。
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