Worlds End、Globule、Explanation 、諸行無常、などなどなど次々と革新的なコインマジックをリリースしている鬼才TAKAHIROさんの新作です。
マジックマーケット2019にて購入したのですが、会場で見た中で一番不思議な手品でした。
現象はマグカップを使ったハンギングコイン。
コップに入った何かを次々と空中に引っ掛けていきますが見えません。しかしコップの中も空で、3枚のコインが確かに空中から出てきて、また消えてしまいます。
タイトルの通り音が重要な作品で、その音の使い方が非常に巧みです。
コインで音を使う時は渡したとか移動したとか、そこにあるということを示すわけですが、この作品は音による想像力を最大限に働かさせる構成になっています。
特に導入部ですね。この始まりからハンギングコインというのが実に見事で、コインが現れた時にさっきまでそこにあったものが見えるようになったというのが完璧に表現されてます。
3枚もあるのにそこから音が完全に鳴らなくなる気持ち良さ。
出てくるとこも消えるとこも全く怪しくなくて超不思議です。
TAKAHIROさんはシリンダーとか腕時計とか組み合わせる素材の活かし方が上手い作品を今までにも発表していますが、今回のマグカップは音要素が加わって跳ね率が今までより高いです。
基本となる技法も凄いんですけど、手順全体の設計が本当に上手くいってると思います。
どこでも売ってるコップとレギュラーコインだけで出来るのも良いし、変な形で始めなくて良いのもポイント高いです。
マジックマーケットで売られてた版では”BUNBUKU”というコインスルーハンドと指輪とタバコの”Ring & Cigarette”も収録されています。
Ring & Cigaretteが特に良かったです。
指輪にタバコ突っ込むと消えて行くんですが、指輪の穴の異空間ぶりを醸すようにゆっくり吸い込まれていきます。
ゆっくり消す過程で隠してるのではないかと思われる場所の可能性もなくなっていく感覚が最高ですね。
BUNBUKUの方は貫通する方の手が全く動かずスルーハンドしてて、解説見てへーーあーーへーーーってなりました。
まあだいたい手品の解説見たらそうなるんですけど、それをそう、あーーーへーーーっていう。
他の手順もそうですが、理想的な現象を一切ぶらさず表向きの見た目はそのままに解決してる様が本当凄いっす。
どの手順も指が死ぬような難しさはないのですけど、いかにもな動きがなく、力抜いた自然なタッチが求められます。
TAKAHIROさんの手品は結構そういうバランスの作品が多いと思ってて、だからこそ自然に出来たらめちゃくちゃ良くなるわけですが、形だけ真似る段階だと全然あの感じにはなりません。
内容が良すぎるので重箱の隅になりますが、この商品QRコードとかじゃなく動画のURLが書いてるだけだったんで、それは面倒でした。
ただ、あれはもしかしたら1文字ずつ打つのが何か指のしなやかさを向上させる訓練になってたりして自然なタッチに繋がるのではないかということにしたので、最終的には文句なしです。
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