by jun | 2019/09/12

マジックマーケット2019にて発売されたShimazu KentoさんとChiharuさんによる作品集です。
パッケージにも中身にも名前が書いてなかったのでMAJIONの商品ページを見るまで2人という事もよくわかってなかったのですが、よく聞いたら声も全然違いまして、コインがChiharuさん、カードがShimazu Kentoさんということだと思います。
DVDはトールケースでディスクにもプリントがあるしっかりした作りで、こんな白い部屋あるのかっていうスタジオで撮影されているこだわりぶりがあって作品の細部もよく伝わる感じでした。
解説も喋ってくれてるのでわかりやすくて良かったです。

Salvage

ノーエキストラ4枚のコインズアクロス。
プロダクションが独特で、ビジュアルかつ手の中に隠してた物を出してきただけに見えない綺麗な出現でした。
フェイクもめちゃくちゃ錯覚が強く、全体の構成としてコインの持ち方にブレがないのも素敵です。
技法編ではその応用としてチェンジや見せ方のバリエーションも解説されていて、チェンジはこっからだと意外とやる事がなかったり持ち替えないと変えるのが難しいポジションからできるのでスペルバウンドやワイルドコインに組み込めます。

Funny Bone

袖の中にコインが貫通する手順。
スタンドアップで出来てジャケットさえ着てれば良いし見せ方もおもろいです。
複数枚の手順としての構成も面白く、映像でも普通に釣られるのでかなり強い手順だと思います。
コップとかとは違って移動の度に袖の中にコインを戻す動きが気になると言えば気になるあたりでしょうか。Salvageが移動したコインをまとめて握りこまない綺麗な作りだったので余計に気になったのもありますけども、演じる際はセリフや動きなど工夫する必要はありそうです。
移動先に袖の中というブラックボックスを使うという点に関しては、消失が各フェイズとても綺麗なので特に問題ないかと思いました。
ポケットより暗に空を示せますし。

コインは2作品ともマジックマーケット比でいうとかなり低負担な方だと思います。
出来る人がいる以上どれだけ難しくても魅力的な現象が起こせればそれは良い作品と言えますが、やっぱりちょっとした工夫で見え方が変わるようなものは嬉しいです。

Unseen

サンドイッチする2枚が消えて選ばれたカードを挟むタイプのサンドイッチカードです。
技法編で解説されてるバニッシュも綺麗だし、2枚の消失を見せる流れも見事でかなり理想的な感じになってます。
あと1枚目の消失の後の表現がかなり上手くて、サンドイッチ系やリバース系のトリックであの状態からこの状態にしたいって時の説得力ある動きです。

No Faces

カード当てを含むオールバックの手順。
超今風でありながら変すぎず両面を見せるディスプレイでかなり信憑性があります。
くどくもなく、あざとく見せるんでもなく演者自身が確認するような雰囲気なのが良いです。
スタンドアップで行う手順ですが、テーブルがなかったらこう見せるという感じが一貫してるのも素敵。
カード当てる時の演出と技法のハマりぶりもめっちゃ良くて、レギュラーのオールバックの中ではかなり来てるんじゃないでしょうか。

技法はアードネスチェンジとリバースファンのバリエーションが良かったです。
アードネスチェンジは手の角度が変わらず、抜き方も戻し方も工夫あってめちゃ綺麗。
戻す方はベンジャミンアールのあれ的なやつかと思ったらもっと動きが少なく済む感じのものでした。

リバースファンはレギュラーでオールブランクに見せる時に持ち替え減らせるのでとても良いです。
コンディション大事かと思いましたが、コツ掴めば普通のファンが出来るデックならだいたいいけそう。

あとShimazu Kentoさんの『パンツメンタリズム』という冊子を一緒に買ったのでそれについても少しだけ。
中々の怪文書でありながらあらゆる可能性についてデータも交えつつ考察されていてメンタルマジックの手順こうあるべきという感じの本でした。
問題としてはこのマジックが成功すると不思議っていうシチュエーションであればあるほど、これを演じる事で何かが台無しになる可能性も高くなり、綺麗に決まる時ほどその台無し度も高まるということでしょうか。
その引き裂かれるような気持ちで頑張ってこそという気もしますが、1ページ目から著者のこのマジックに対する驚きの距離感が示されています。
極めて真っ当な感覚を持った方が書いた物だと思って読むと味わいが増します。

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