Vanishing Incから出ているウッディアラゴンのDVD。
The ShowとInstant Memorized Deckの2枚組でショップによってはバラ売りもされてます。
The Show
Memorandom収録手順をショーで演じてる映像があり、どちらかというとメインはこっち。
Memorandomスタックの組み方や配列も解説されていて、スタックの特性を活かした手順も入ってますが多くはどのスタックでも演じられるものです。
アラゴンが推奨するハーフスタックの手順もあり、現象的にも広くカバーされています。
“Weighing the Cards”は観客が取った枚数を当てる手品。
メモライズドではお馴染みの現象ですが、不自然な数え方をせずに連続で演じられるようになっています。
数え方は結構気になるところだと思いますし、ここで観客に数えてもらえるのはデックがなんでもないことのアピールとして強いので良い方法です。
シカゴオープナー的なやつで色違いのカードが2回変わる”The Blushing Card”もマニアックで楽しいです。
まあ2回目の変化は意外性という意味では蛇足とも言えなくはないですが、コールカードで行えるフェイズがあり、超ハッピーパターンの確率もそこそこあるので強い。
観客の名前でスペリングする”Card at Name”はシンプルながら、エニエニ的な超偶然が起きた感があって練習用手順としてちょうど良さそう。
“Eish of Diamonds”もスペリングネタですが、発音がギャグになってるので日本語でもプレゼンテーションしやすいかなと思います。サッカートリック的に4Aを出す手順で、Memorandomスタックを活かせる手順。
Book In English収録の”Si Fry”のメモライズド版、”Mnemo-fry”は観客がシャッフルして数枚取ったカードを全部当ててしまう手品。見ててそれってそれで行けるのかと思ってたのですが、解説聞くととてもシンプルで難易度もそこまで高くないです。
“TeleTriumph II”はニューオーダー落ちのトライアンフ。
観客にぐちゃぐちゃにシャッフルしてもらえる型のもので、大胆な手法を使いますが動作にすべて理由がつくので説得力も強いです。
現象の途中に表裏に言及するパートがあったり、ギャグが前フリになっていたりして、オチのカタルシスが最高。
複数現象を起こして最後に向きが揃う手順なので、これ一つでも十分という大作です。
このディスクの見どころはやはりカードの扱いですね。
シャッフルのタイミング、配り方、戻し方などなど、全編でスタックを使っているのになんでもないように感じさせます。
あと、多くの現象がコールカードで起こせるので、モニターのないクロースアップショーで遠くの人にも参加してもらいやすいのもメモライズドデックの良いところだなということをあらためて思ったりしました。
Instant Memorized Deck
こちらはメモライズドデックではなく、完全即興でメモライズドデックでやる現象っぽいことをするあれです。
現象は枚数当て、カードアットエニーナンバー、枚数目当て、Move a Cardなどなど。
フルセットではないので当然他のテクニックや手続きが必要になってくるのですが、このあたりはほとんどスタックものと遜色ない感じでできます。
エニエニの方は2デック使うものですが、数字がフリーチョイスになっていてなかなかバランス良い手順です。
Instant Memorized Deckと似たようなコンセプトは古くからあり、その派生もいくつかあるのですが、このDVDの良いところは完全即興の状態から手順の中で比較的カバー範囲の広いセットを作ることができるところです。
さすがにDVDでそういうことするとわかって見てたらめっちゃ不思議ってこともないですが、普通に即興からこの手の現象を見せられたらめっちゃビビると思います。
セット死なないので2つ3つ繋げて演じられるようになっておきたいものですね。
2つのディスクで似たような現象を扱ってることもあるので、一緒に見るのがいいと思います。
一長一短感はあるんでどっちも見れば好きなバランスを見つけられるのではないでしょうか。
メモライズドデック使う手順は配ったり長い手順も多いのですが、コミカルな演技で退屈させないアラゴンの演技も大変参考になりました。
そうそう、メモライズドデックといえばついに出るべきものが出てしまいましたね。
気が滅入る話が多い昨今ですが、ようやく日本中が明るくなるニュースが飛び込んで参りました。
Pit Hartling 『In Order To Amaze』 | 教授の物販
メモライズドデックの魅力にまみれた一冊です。
メモライズドデックでしか達成し得ない魔法のようなトリックの数々が収録されていて、例えば似たようなことをフォースとコントロールでやろうとした時の印象差がはっきりわかりやすいので、メモライズドデックってなんか難しそーというイメージがある人でも興味を持ちやすいと思います。
強力な手法を使いつつも細部まで何をしたらどう見えるかということが考えられていてみっちり解説されていて、テクニックや態度を含む総合的な演技力を発揮する余地もあり底なしに面白いです。
日本語でまとめてメモライズドデックを学べる資料がこれとネモニカのDVDぐらいしかないので、手をつけるなら今ではないでしょうか。
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