by jun | 2020/01/30

2007年に出たJack Parkerさんの作品集。文はアンディグラッドウィンが書いてます。
今買えるセカンドエディションは正方形の装丁がいかつい本になってて、クレジットや関連作品などの情報がいくつか追加されてるようです。
手順と技法含め52個収録されてる大作で、無理やり52個にした感もなくおもろい作品多かったです。

Chapter 1 – Small Packet Miracles

最初はパケットトリックのチャプター。
全てレギュラーデックから抜き出したカードで行えます。
きちんとオチがついてるものばかりですが、見せれないカードを隠すハンドリングが偏ってるのでそこで好みが分かれるあたりでしょうか。
エンドクリーンにはこだわられてるようで、オチはだいたい気持ちいいです。

I Know Kung Fu

赤いキングに挟んだカードが黒いキングの間に移動します。
ジョンバノンの魔女のやつのあれと似た感じですが、ハンドリングとオチが違います。
こっちのオチは選んだカードじゃなくて2枚のキングが移動して挟まってしまうというもので、ディスプレイに説得力を持たせながら最後まで行ける感じです。

Ouroboros

5枚の黒い絵札と5枚の赤い絵札でポーカーをしますが、何故か演者がエースの4カードで勝ちます。
ただ配るだけじゃなく観客に選ばせるシークエンスになっていてとても不思議。
検めがくどいような気がしなくもないですが、その過程でセット完了するのは良いっすね。

Girl’s Night Out

4枚のJの間にQを1枚挟みますが、4枚のKの間に移動します。
なんやかんやあって4枚のKが4枚のQに変化するというエンディング。
ちょっと重ための手順ではありますがオチのインパクトは強くクリーンでもあります。
絵札ばっかでごちゃごちゃしてたのがエース出てきてすっとする感じも良いっすね。
あんまり男女がどうというストーリーが付いたのが好きじゃないですが企み自体は面白いです。

Twelve Card Monte

4枚の8、4枚の9、4枚のQでモンテをやります。
全く当たらないようになっていて、Qと思われていた4枚がエースに変化するオチがついてます。
さすがにこう、モンテだと何故そういう示し方をするのかというのが気にならなくはないですね。
セリフに合わせてスムーズにやりゃそんなに気になんないかもしれないですが、見せるとこ見せないとこもう少し工夫出来そうな気はします。

Magician vs. Magician

マジシャンとマジシャンがポーカーで対決。
手札が4枚のJと4枚のKですが、なんだかんだあって両方ロイヤルフラッシュになります。
ストーリーと演出が良く、この感じならディスプレイもそんなに気にならない感じ。

Cross Eyed Surprise

赤いQの間に赤いA、黒いQの間に黒いAを挟み、中のAが入れ替わるというもの。
大胆な部分は好みですが、パケットをあっち持ったりこっち持ったりしなきゃいけなくて、そこでラフさとクリーンさが大きく損なわれてしまってる感はあります。
ただ、移動するカードが2枚だから2倍大変ということにはなっておらず、このカード構成ならではのオチもあってパケット好きにはハマりそう。

Chapter 2 – Moves & Tools

技法や小ネタなど。
解説されてるのはフォース、スイッチ、カウント、ディスプレイで、どれもこれじゃなきゃいかんて感じではないですが、何か手持ちのトリックの流れに合うようなものがあれば儲けもんて感じでしょうか。

テントバニッシユのバリエーションなんかは些細な工夫ですがなかなか説得力増してるように思います。

アスカニオスプレッド風のを片手でやるThe Zen Spreadとかもラフで良いです。

フォースはちょっと普通にカード選ばせる感じではなくなってしまいますが、前後の文脈によってはアリになりそうなものなので覚えておくと良さげ。

Chapter 3 – Trick with a Full 52

フルデック使った手順です。
レギュラーデックしか使いません。
パケットのパートとコンセプトや技法が似てるようなもんもありますが、カード当てから何から色々入ってます。

Hair Raiser

エレベーターカードのバリエーションで、ジャック2枚のパケット内でAと2と3を使ってエレベーター現象を起こしますが、A〜3がキングに変化します。
ちょっと厚みにストレスありますが、エレベーターパートはサクサクしてて良いし、エンドクリーンなので途中頑張りましょう。
あんまり説得力のあるセリフはなく、実際演じてみると意味わからん現象になりそうな気もしますが。

Hard to Get Just Got Easy

2枚のカード当て。
メンタルセレクション風の演出が入り、当てる演出のはったりとも相性が良く、不思議で面白いトリックだと思います。

Three On The Button

3枚カード選んでもらって、4枚のキングで探すよーみたいな感じでツイスト現象からなんやかんやあって当たるやつです。

これはあんまり綺麗な現象ではないように思います。
そもそもカード当ての前にツイスト現象が始まるやつがあんまり好きじゃないってのもあるんですが、2枚は入れ替わりで1枚はサンドイッチという構成がどうもそれしか出来なかったという感じで微妙です。

The Bled and the Rue

赤裏デックと青裏デックを使ったセレクトカードの入れ替わり現象。
ちょっとごちゃごちゃはしますが、簡単で筋の通るような解決法でした。
この手の現象においては変にコントロールしたりするよりこういう解決の方が味が出そう。

Long Dimension Phone Call

4枚のJがAに変わって消えたJはデックの中とか箱の下とか箱の中から出てきます。
この原理を使うものはデックの中に混ぜてしまうのが多いと思いますが、Aの変化にすることでとてもクリーンな印象になってました。
箱から出したとこから始められるような工夫がいくつもあり、オープニングトリックにはかなり良いんじゃないでしょうか。

Alone in the Dark

観客が数えた枚数や覚えたカードを当てます。
ここまでで初めてのセルフワーキング。
指示には少し気を使いますがほとんどの作業を観客にやってもらえて、それっぽいセリフもついてます。
この原理を使うものではセットも速攻終わるようなもので楽で良いですね。

Thought Provoker

ポーカーハンドで行うファイブカードメンタルフォース。
セットは必要ですが、その分残念なことになりにくいバリエーションです。

Rump Shaker

セルフワーキングのポーカーデモンストレーション。
Tomas Blombergとの共作らしいです。
手を積み替えると自動的にそうなる系のやつですが、配る手が6個というのが面白いところ。
ただまあこの手のやつはやってて面白いかどうかは微妙ですね。

U.D.S.I.

1枚と2枚のアシンメトリカルトランスポジション。
表向きのセットが不要でビジュアルな変化ができるような手順になっていて、入れ替わった感も強いです。

100% Confidence

テーブルに3枚のカード置いて、それとは別に3枚のカードを持ち、テーブルのカードと合わせますが、テーブルに置いたカードのフォーオブアカインドに次々と変化していきます。
オチが良くて、そのオチのおかげで無理しなくて済む構造になっていて素敵。

Done Burying

ジョーカーが2枚のカードに分裂して、そのカードの数字を合計した枚数目から選ばれたカードが出てきます。
分裂の手法は3が2と1になる的な感じのものにも使えます。
ジョーカーが全く関係ない2枚のカードになるというのはちょっとなんなのか不明といえば不明なんですが、コントロール感のないエニーナンバー現象として

Trial Separation

実は2人の観客が同じカードを選んでました系のトリックです。
1枚のジョーカーがそのカードに変化するのですが、もったいぶり方の演出が良く、あれあれって徐々になって意味不明すぎる現象になってません。
カード選ばせる手法はもっと二人が絶対違うカード選んだような見せ方もあるように思います。

Double Barrelled Shotgun

アンビシャスカードからデックの中でフォーオブアカインドが表向きに現れる現象。
簡単なセットと簡単な技法だけで行え、観客の手の中で現象が起こった感もあります。

HofCity

ホフジンサーエースとあのCityを合体させた手順。
デビッドソロモンが先にこれ的な試みのものを発表しているようです。
確かに賢い手順ではあるのですが、Cityの完全に自由に選んだカードでできる部分が損なわれていてかなりゴタゴタ感があります。
デックの中にカードを混ぜずに入れ替わりが起こるのはかなり面白いのですが。

Chapter 4 – Magic from the Lamp

どういう括りの章なのか不明ですが、同じコンセプトを違うハンドリングでやったのが多く、一長一短読み比べるのがおもろい感じになってます。

Oddservation / Detour

どちらも記憶力のテスト演出のパケットトリック。
枚数が変わったりなかったはずのカードが現れます。
Detourの方は色々と凝ってはいるのですが、軽く見せられるOddservationの方が好みでした。

Twisted Inversion

2人の観客にそれぞれ4枚の中から1枚覚えてもらい、シャッフルしてもらいます。
そのカードがお互いのパケットの中で裏向きになって入れ替わるという現象です。
メンタルセレクション部分の軽さと、現象のバランスが良く、地味な工夫も効いています。
かなり好きですねこれ。

All That Jazz / Remix

ジャズエーセス2種。
どちらもスポットカードの代わりに4枚のジョーカーを使い、それがエースに変わるという変則エンディングです。
一応Remixの方がアップデートハンドリングとなっていますが、あちらを立てればこちらが感はありますね。
他の作品でも少し感じることなのですが、オチのために序盤に説得力厳しいカウントしなきゃならんのがどうもって思います。

Remote Control / Manual Operation

観客がひっくり返した2枚のカードがメイトになってるやつ。
ギャフありとギャフなしのです。
ギャフありでこれもしなきゃいかんのかーってのがあるのですが、ギャフなしだと更にちょっときつくて、これ系は気持ち悪い感じにしたかったらギャフかエキストラ必須かなーと。
レギュラーでやると変に具体的な指示が入るのがあれですし。

On, In & Under / Visualisation

4枚のKと3枚のスポットカードを使ったトランスポジション現象。
箱の中と上と下に置くわけですが、 On, In & Underの方はKの方の枚数が変わるちょっとこうもにょもにょする終わり方で、Visualisationはそれがなくなった代わりにちょっとディスプレイが微妙になってます。
現象的にも箱にある方がスポットカードになるということでなんとも言えん感じです。
見た目はおもろいのでなんとかこうインターチェンジ的な4-4の綺麗な見せ方で、箱を使う意味のある手法に落ち着かないもんでしょうか。

Chapter 5 – That Something Extra

カード以外も解説されてるチャプターです。

Can Can Coin

コインスルー缶、中から外のバージョンです。
コインを中に入れたように見せるのにそういうやり方あったんかという感じで、缶でもエンドクリーン頑張ってます。

Flat Rate of Interest

カードの中にコインが入ります。
現象も良いしハンドリングもなかなか凝っています。
セリフもギミックの見え方のリアリティに沿ったようなもんで、アイデア一発の小ネタに終わってません。

Cain & Cord

コインが消えて観客が選んだカードの下から出てきて、今度はカードが消えてコインにくるまって出てきます。
非常に綺麗な流れのプロットで、ここではそんなに無理のない手法でやってますが色々考えてみたくなりますね。
でもまあ解説されてるやり方がなんだかんだ強いんじゃないでしょうか。
変にギクシャクすると台無しな気がします。

Ring Vanish Sequence

指輪のバニッシュとあらため。
あらためというかパントマイム的な動きの中でトランスファーしていく感じです。
コインと違って収める角度がシビアで、なかなかうまくはまってくれませんが、落とす動きがないのでコロコロしないので練習すればなんとかなりそう。

Visual Acuity

スリーカードモンテですが、色違いのカードを使い、なおかつ裏にこれがジョーカーでこれがクイーンですと書いてます。
デックとの接近はありますけども、よー考えたなこんなんという手順です。
あとオチがめっちゃ気が利いてて好き。

Double-Back Trilogy

ダブルバックカード1枚を使った繋がった3手順。1手順目は連続した移動で、2手順目もフェイズが分かれてるので実質10回ぐらい不思議なことが起こります。
もちろん切り分けることもできて、2手順目なんかは別にダブルバックなくてもできるカードの移動現象で、いつの間にか現象が起こってる系でなかなか楽しいです。
最初の手順はうまいこと使ってるなーって感じで気持ちいいっすね。
色んな形でダブルバック使ってるので、ちょっと向き合うとアイデア出そうな気がしてきます。

Chapter 6 – Assemblage

アセンブリー系のトリックの章。
変わったのばかりで面白かったです。

Old Fashioned Aces

4枚のカードが3枚になる型のアセンブリ。
本来消えたというならこの形であるべきだとは思いますが、これはこれで隠してるだけと思われないかが難しいところで。
3つハンドリングが解説されていて、軽く扱える感じのものばかりなので、なかなか説得力はあると思います。
ただまあ移動じゃなくて山をデックに戻してからプロダクションなので、そこは頑張りましょう。

Bare Naked Ladies

4枚の絵札と3枚のスポットカードを使った入れ替わり現象。
これ最近読んだ本に超似たやつがありまして、些細な違いですが本作の方が流れを考えられてる手順のように思います。
流れをより意識してると言いましょうか。

P.O.V

タイトル通り観客がマジシャンの目線で行うという演出のアセンブリ。
現象はアセンブリというか入れ替わりというか、この現象自体が変わってるのですが、この演出のおかげで色々都合良いことになっていて、かなり面白いです。
手法的にはややストレスですが、このようなテーマで色んなプロットを捻ってみるのは楽しそう。

The Three Stooges

観客にパケットを持たせて操作してもらうアセンブリ。
これ一番気に入りました。
セリフもちょっとしたくすぐりもよく考えられてると思います。

Chapter 7 – The Old Itch Again

21カードトリックが3つ解説されております。
ちょっとタイトルバレのやつもあるので伏せますが、21カードトリックを知ってる人向けに別の原理で騙したり別の現象を足して意外性を出したり、マジシャン向けのギャグを入れたりという感じです。
結構この手の試み色んな人がやってますが、やっぱり21カードトリックにそこまでピンと来ないので魅力もイマイチわからんですね。
別に単体の手品としては普通に成立してますが、文脈ないと作業ゲー感が強いですし。
マジシャン向けのギャグのやつは結構使い所とカバーが上手いこといってる気がします。

Chapter 8 – You Plus One

トリックはこの章で最後。
stoogeさんを使う手順が2つ解説されてます。
まあそれやったらなんでもありやろって思われないようにギリギリ攻めてる感じが面白いですね。
なかなかやることはないと思いますが、見たら普通になんの疑いもなく驚くと思います。
やるかやらないかは置いといて、この手法縛りでそれを疑われず、楽しく不思議な手順を考えるのはそれだけで良い訓練になりそうです。

全体的に現象が良いので、パケットもののハンドリングやカードの動きに目がいきそうですが、心理的な策略の部分でおっと思うところもあり、たまに読み返したいような本でした。
定番技法の工夫とかもやっぱよく考えられてますし、手順そのままやらんでも十分読みどころのある一冊です。

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