ビルグッドウィンが1988年にレクチャーツアーをした時のノートで、マジックランドから長谷和幸さんによる翻訳の日本語版が出てます。
カード4手順と日用品4手順の8作品が解説されていて、どれもビルグッドウィンらしいビジュアルでクリーンな解決法でおもろいです。
The Cannibal Cards
4枚のキングの間に3枚のカードを挟みますが、1枚ずつ消えていきます。
1枚ずつパクパクさせるのではなく3枚を一気に入れてそれが1枚ずつ消えていくという現象です。
使われてる原理はオーソドックスなものですが、グッドウィン流にチューニングされているところがとても良く、3枚入れたことを示すとこがやらしくて好き。さらっと終わるのも良いですし、カウントのグリップは統一されていて位置関係の矛盾もなく、消失に説得力あるディスプレイです。
For One Transposition
4枚と1枚が入れ替わるやつ。
ビルグッドウィンこれ本当好きですよね。
Reflectionで解説してる”Off Balance Transpo”は3段階ですがこれは1回だけ。
全然1回でも十分だと思います。
使われてる技法自体はいいのですけども、枚数があれしてるあれをテーブルに置く瞬間があってその辺は結構あれです。
“Off Balance Transpo”や”Slap!”はそこらへんの怖いとこないのでやっぱいいなって思います。
一応注目させないようにはなってるんですがまあ怖いですよね。
その後の処理は80年代感溢れる感じで結構好きです。
無理めなことしますが枚数が一瞬で変わった感は強く、余計な動きはないので綺麗だと思います。
Coin and Card Exchange
サンドイッチしたコインとカードが入れ替わるという奇怪な現象。
世界のクロースアップマジックにフランクサイモンのが載ってますが、そのバリエーションになります。
サンドイッチでたまに使われる原理をうまく活かしてクリーンなハンドリングで変化もビジュアルになりました。
この現象何っていうもやもや感も楽しめないと負けます。
Coin Cut O’Glue
コインカットですが、カードにちょっとあれするだけでコインの消失をビジュアルに示すことができます。
ビルグッドウィンのコインカットといえばぐりぐりコインがめり込んでいくやつもありますが、これは簡単な準備でそこそこの効果が得れてバランス良いです。
というかグッドウィンさんトランプにコイン乗せるの好きすぎでは。
Ring Through Stick
棒に指輪通して観客に両端持ってもらった状態から指輪が抜けます。
棒にも仕掛けはなく指輪は借りたものでもできます。
落とすリスクもそんなないので安心して借りれるほうじゃないでしょうか。
ややストレスを感じる人もいるかも知れませんが、さすがという感じのハンドリングの詰められ方で極めてクリーンな解決法。
めっちゃ良いですこれ。
Camel Cigarette Predition
タバコの箱に予言を書き、反対向けて観客に好きな所を丸で囲んでもらいます。
予言の方を見ると同じ場所が丸で囲まれています。
居酒屋メンタルに最適のネタです。
選択肢が無限っぽいしこういう場所を予言する系のってええですよね。
キャメルじゃなくてもできるかもしれませんが、デックのケースだとちょっと無理です。
ちょっと工夫すればできるので、なんか適当なカードマジックと組み合わせても面白そう。
Psychic Matchbooks
演者が後ろ向きの状態で4つの柄違いの紙マッチを並べて一つ選んでもらい、中にペンでなんか書いてもらいます。
手を背中に回してまとめてマッチを持って選ばれたマッチを当て、書かれてるものも当たります。
演出は難しそうですがハンドリング的な負担はほぼありません。
まあでも道具が道具だしそこまで重たい演技じゃなくてもいけそうです。
Torn and Restored Straw Wrapper
破ったストローの袋が復活します。
道具的に即興でやりたいので即興で出来ないのはあれですが、面白ギミックで遊んでて楽しいやつです。
どの手順もギミックや原理だけに頼らずそう思わないハンドリングが素敵で、そういうもんに抵抗ある人でも安心して演じるようにできてます。
カード以外の作品の方が面白く見えるのはそういう理由でしょうね。
カードはこの後発表されるものでより良いのあるってのを知ってるのもあり、今読むとピンと来ないかもしれません。
ただやっぱり技法の使い方とかおもろいですし、膨大な知識を活かして適切に使われてる印象は88年グッドウィンにも感じます。
88年て自分がオギャー言うてた年なんですが、その時から異常に賢くてテクニックもあってそっからまだ新しい物を学び続けてるってマジ尊敬です。
見た目も演技スタイルもかっちょええし、ああいう年の取り方したいもんですね。
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