Patrick Redford新刊、Temporarily Out of Orderの続編です。
一応前作は読まなくて良いということになってますが、前作はスタックの特性や周辺技法からアイデアまでよくまとまっていて手順も良いのが多いのでまあ読んでおいた方が良いと思います。
新刊の方は全体の1/3ぐらいはRedford Stackを使うもので、これはまあメモライズドというよりはこの配列だとこういうことができるという感じで、現象自体はそこまで良くないです。
粒の大きさでは前作からトーンダウンした感じもあるっちゃあるけど、個人的に気に入ったのはパーシャルスタックのところとどんなスタックでも出来るやつのところに固まってたので、新しいスタック覚えんの無理って人にも推せる本にはなってます。
いくつか演技動画が見れるようになってて、Zoom越しで演じてるものもあるのでそういうトリックを探してる人にも結構おすすめ。
Aces
Aces Spell
スペリングで4枚のAを出せます。
一部組み直しが必要なのがうーーん。
完全一致ならまだ良いのですが、うーーんですね。
4agon Conclusion
観客が選んだカードのフォーオブアカインドを探そうとするも出てこず、別のフォーオブアカインドが出ますが、後で綺麗にちゃんと成功します。
スタックの特性から考えられたトリックだと思われますが、セリフも面白いしハンドリングも良いトリックです。
Matching the Cardsや変化する現象じゃないのが逆に良い感じ。演出の筋も通ってて綺麗。
デック全体を触ってる雰囲気が出てスタック死なないのも高ポイント。
The Fabulous Aces
クライストエーセス。
スタックを使ってるだけで見た目は普通です。
4枚のAを使ったトリックならスタックを殺さずに演じられるものは結構多いので、クライストエーセスが好きでなければ特にという感じですね。
即興に近い形でクライストエーセスをやりたいことがあったら参考になる部分はありました。
Passing Power
Ultra-Mental Memorized Deck
レギュラーデックでインビジブルデック。
観客にスプレッドしてもらえます。
まああれのあれ版ですねという感じではある。
箱から取り出して作業が必要なトリックですが、実際手を動かしてみるとそこそこ説得力ある喋りで繋げそう。
なんかこれぐらいのバランスの方がインビジブルデックの不気味の谷感がなくなっていいかもですね。
技法も本では解説されてないものでもうちょい自然にできるのがあるので頑張り次第で結構アリになるトリック。
Turnabout is Fair Triumph
コールカードでのトライアンフ。
メモライズドデックを使えばそういう現象は可能になりますが、これは表裏混ぜた後にコールしてもらえます。
最初はただ思い浮かべてもらうということが出来るのでこの効果は結構大きいですね。
ハンドリングを誤魔化す都合としても、Ultra-Mental Memorized Deckよりこっちの方が自然な気がします。
Pespicacity
観客が言ったカードが色違いのカードでしたのやつ。
レギュラーデックで行うものとしては基本的なパターンですが、とある技法を使って段取りくささがなくなっています。
個人的にこの技法そんなにいいかなーって感じを持っていましたが、かなりカジュアルに行えるようになっていて良かった。
Hot Travelers
赤青2デック使ったコールカードとセレクトカードのトランスポジション。
ギャフ使用ですが片方はシャッフルデックでOK。借りてもいいし、途中から1デック足してこのトリック、更にメモライズドルーティンと繋げることも出来ます。片方はレギュラーで良いメモライズド手順はこれがいいところですね。
ハンドリングはもう一声欲しい感じでもありますけど、クリーンな2段構成が素敵。
これはちょっと演じてみたい感じあります。
Duncical ACAAN
ACAAN。
手法的に新しいところはないですが、組み立てと見せ方は的確なように思います。
序文を書いてるマックスメイビンはこれがお気に入りらしいです。
Lucky Fortunes
Your Luck is In the Cards
観客が選んだカードのメイトカードが出る手順。
カットした場所のカードを使ってスペリングorカードの数字を配るのを繰り返すのですが、Redford Stackだと上手いこといくようになってておもろい。
The Perpetual Birthday Card
デジタル版バースデーカード。
デジタルならではの長文メッセージや複数のラッキーアイテムを表示できるのが面白い。
現象としては観客の誕生日のところに書かれてるカードが箱の中にある、ラッキーナンバーの数だけ配るとそのカードのフォーオブアカインドが現れるというもの。
デジタルのデメリットとしてはぱっと見で他の日にちに別のことが書かれてるのがわかりにくいこと。いくら現象を足してもこのせいで弱まってる感は否めないですね。
スタック感もちょっと出ちゃうので演じるタイミングにも注意したいところ。
Thr Stories We Tell
Velleity Plus
前作でも解説されてた観客が言ったカードがじわじわとトップに上がってきたように見せるトリック。
Never Going to Give You Up
観客が取り上げた枚数やテーブルの下で見たカードを当てる手順。
この枚数を当てる原理は本当に不思議です。
元ネタがMatt Bakerで、この原理まだ色んなこと出来そうと思っていたけど、枚数当ててからの連続カード当てが演出もハマっててめっちゃ良いですね。
これはおもろい。不思議。
The Hunt
2枚のジョーカーを使ったストーリー手品。
テーブルに置いてたジョーカーがいつの間にか観客のカードに変わったりするんですが、ややこじつけっぽいセリフな気はします。
実際動きの流れだけ見るとなんかよくわからんですし、2種類あるという設定をうまく活かせてもない感じ。
Prtialstack Effects
一部、だいたいは1/4ぐらいスタックが生きてれば出来るトリック。
Echo Chamber
Thot Echoのメモライズドデック版。
観客にシャッフルさせるところがとても巧妙で、全体としてシャッフル、覚える、シャッフル、ということをした感じに見えます。
当て方もデックを広げて表を見て探す必要がなく、かなり良い改案。
Three Echos
上のやつの3枚当てバージョン。
確かに3枚当てた方が綺麗ですけど、ちょっとランダム感のバランスを崩してる感じは否めないですね。
Echolocation
これも3枚当てるやつですが、当て方がちょっと面白くなってます。
こういう捻りのある当て方とThot Echo的な手続きはあんまり相性良くないかと一種思いましたが、完全に不可能な状況で当てるのを続けてオチとして変なことが起きるのは楽しそうですね。
The Echo Index / The Invisible Echo Index
カードインデックスの話。
ちょっと嵩張るからポケットには入らないんですが、取り出しやすさは◎。
持ち運びもセットも便利そう。
H.A.A.R.P.S
Applesauceの中にStormという記憶術系のトリックがあったのですが、それのパーシャルスタック版。
Stormは完全即興でそれっぽいことができるのが面白いところではありましたが、パーシャルならあんまり気を使わずに即興感で演じられますし、トリック中の見た目はぐっと良くなっています。
Memory Phantorm
観客の記憶をあやふやにするトリック。
本当にそうだったかという自信を揺るがすように現象を畳みかけるのが面白いです。
現象的には最初に1枚裏向きで入れたパケットを箱の中に入れて、残りの半分の中から1枚覚えてもらい、そのカードが消えて箱の中でうらむきにしてたやつが、というもの。
記憶を消す系のトリックでありがちな単純に手数が増えて混乱させるようなことにもなっていません。
ノーメモライズド版も解説されてて、これに関しては即興版でも全然良いかなと思いました。
Inflation & Level One
カードの枚数が減っていくやつ。
あのギミックを使わないやつもあります。
Level .05
カードの枚数が減っていって観客のカードが1枚だけ残ります。ノーギミック。
カードをあれする予備動作の導線があって意外とストレスなく行えます。
コールカードで行うことによってレギュラー感強いので、遠隔手品にも結構良さそう。
浮世だともろもろ厳しそうではありますが。
ご本人どのくらい上手くできるんでしょうか。
Level Four
フォーオブアカインドのカードトゥポケット。
普通に移動したり、固まりで移動したり、最後に1枚だけ残ったりします。
仕事の割に中盤の現象がちょっとボヤけるかなという感じはありますね。
ただ、まとめて移動することによって負担が減って全体的にクリーンな印象にはなると思います。
Transformer Deck Switch
カードケースが出現して、デックが一瞬で中に入ったように見えます。
そういう使い方もできるのか。さすが賢い。
Meltdown
デックが箱の中に溶けるように入っていきます。観客が言ったカードを残して。
上のやつよりこっちの方が楽に出来そうですね。
Faro
Stack Safe Poker Triumph
ロイヤルフラッシュがでるトライアンフ。
オチに向かうまでの表裏がコロコロ変わったりする遊びのところが面白いですね。技法としても有用なものが多い。
Redford Stackの特性を活かしたトリックですが、ちょっとまどろっこしいところもあり。
プレゼンテーションはさすがしっかりしていて、こういう演出のトライアンフやってみたさはあります。
… This Means War
ハイカードでバトルするやつ。
ラダニーとタマリッツのいいとこどりな感じで強いです。
ちょっといじらなきゃいけないけど、この現象好きならスタックから変化させれるセットで出来るのは良いですね。
演出も面白い。
Queen Me
ファローとスタックの特性を使ったサンドイッチ。
面白いは面白いんですが、完全帰宅できるわけでもないし、スタック使ってる分不自由なところも多いのでサンドイッチカードとしては中途半端な印象です。
Half Stacked & Faroed
ハーフスタックとファローについて。
Redford Stack特性が活きる話があってよかった。
Stebbins & Parallel Stack
Semi-Automatic Lie Detector
サイステビンスの原理を利用したLie Detector。
嘘をついても正しい答えが表示されるLie Detectorの面白さが良く出た手順。
帰宅できるしサイステビンス使いは覚えておきたい一作かと。
日本語だと厳しいのですが、サイステビンスだとこういうこと出来るというのは頭に留めておきたい。
The Solitaire Si-re
サイステビンスとソリティアについて。
まあアナログのソリティアの確率とか知らんし、ちょっと手品的な工夫があるにしてもそんな不思議には見えんと思います。
ソリティアの話としては普通に面白いです。
Stab Your Mate
ジョーカーをカードスタブしてメイトカードを探すルーティン。
仕事的にはまあ同じことを繰り返すだけっちゃそうなんですが、大変な技法でもないし段々難易度を上げてるように見せれる手順です。
Mysteries With The Decurtait Control
Stack Safe Decurtait Control
テーブルにスプレッドしたカードをぐちゃぐちゃに混ぜつつ、フォールスとピークを完了させる技法。
Goodnight Elizabeth
トミーワンダーのElizabeth(Ⅳ)を元にしたトリック。
現象は2枚のお札の間に挟まってる2枚のカードが観客が言ったカードでしたというもの。
お札を使うセリフや演出もしっかりしていて、大枠は元ネタと同じながらもハンドリングやセットではっきり良くなってるところがあります。
Texas Holdem & Redford Stack
テキサスホールデムでやるエニーコールポーカーハンド。
ハイカード含めてまあまあ対応できるやつです。
変形は必要ですが、なんかこう一つのスタックに向き合うの楽しそうです。
UTILITIES
最後は技法の解説で、手順に必要な技法もここで解説されてます。
スカイシャッフルの簡易版みたいなのが解説されてて、どこまで通用するかわからんけどちょっと練習中。
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