by jun | 2021/08/07

2012年に出たTommaso Guglielmiのebook。
5フェイズが連なったカード手品のルーティンが解説されてます。

現象は1段目カード当て、2段目Do is I Do式のメイト一致、3段目ACAAN、4段目エニーナンバー風のメイト一致、5段目のオチは複数箇所のメイト一致という感じ。
セリフ的には前のフェイズでやったこと以上の不思議さを演出するようになっていて、良い感じで次の手順への準備が完了ししたりもしますが、ACAANがピークで4〜5フェイズは現象的にはちょっと弱いです。ここは見せ方は面白いけど原理的にはそこまでの新しさもないっすね。
ちょっと工夫すればACAANをオチに持っていったり4〜5を前に持ってきたりすることもできなくはないですが、まあ1〜3で十分かなと思います。
この人他の作品とか見るにACAANが第一の目的であるのはたぶんそうでしょうし、オチとしてもこっちの方がふさわしいんじゃないかなと。3段目で止めておけばセットの制約がなくなってもうちょっと手順を軽くすることも可能。ACAANがオチになってる方が演出としても一貫する感じがあります。

んで、この人は他の作品でもACAANをクリーンに見せるために前の手順で全ての準備が終わった状態を作るというのをやっていますが、この手順のそれはとても良い流れです。
具体的には観客に思ってもらうカードと思ってもらう数字の扱い方、これが直接的でなく現象に使われるので原理的にも連続性を感じさせないようになっていて、今回の手順では何故そういう選ばせ方をするのかというところの話も理屈が通ったものになってます。
それがタイトルにもなってるサブリミナルに関する演出で説得力もなかなかです。もうちょいルーティン通してこの演出で押しても良さそうですが。
ただ、やることの回りくどさは演出でカバーできるとはいえ、必要な作業は実際そのまんま回りくどかったりするので、説得力ある説明に説得力が求められるタイプの手品ではあります。雰囲気も大事ですし、割と普通のマジックじゃないことやりますよ的な見せ方なんでキャラクターや演じるシチュエーションもちょっと選ぶところはあります。

でもまあ観客にカードと数字を聞いてからデックに触らなくて良いクリーンなACAANのアプローチとしてこの方向の考え方は全然ありだし、まだ広げられそうなものなのでおもろいです。

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