by jun | 2022/12/23


最近出たジョンバノンの新刊、と思ってたらAmazonとかにこれのペーパーバック版があってそれは去年出てたみたい。Amazon定期便は洗剤とか水があるんだからジョンバノンも送ってきて。
今マジックショップに売ってるのはハードカバー版なんですが、なんか表紙の印刷ガッサガサであんまり出来のいいものではありません。

内容は4枚のクイーンとスポットカードを使ったトランスポジションを扱っています。
前半が3-3の入れ替わり、後半がアセンブリみたいな感じで7作品とおまけ一つ。
小ぶりなのと過去作の手法と似てるのが多くて正直ちょっと物足りない気はしましたが、見せ方の違いは楽しめますし完全にアップデートされてる作品もあり流石のジョンバノンクウォリティです。
ほとんどの作品が7枚しかカードを使わないんですけど、どれもフェイズごとにしっかり見せれるような構成で、単にシンプルにしましたというんでもなく感触は軽くなってません。

例えば前半のQueen’s Landing、Queen of My Block、Rehabはどれもクイーン3枚とスポットカード3枚の入れ替わりで続けて見せることができます。
Dear Mr.Fantasy のアセンブリ3連のあれみたいな感じですね。手法もまあ似てるのがちらほら。よりミニマムになってるのは最近のジョンバノンらしい感じでしょうか。
この中だとRehabは良かったです。
入れ替わった後に処理が必要な感じになってるんですけど、そこでもう一つ現象にしちゃうのが乙。
他も古典技法のちょっとした工夫があったり、なかなか楽しめます。

Band on the Run、Otis and the Queens、Block PartyはどれもJazz Aces的なセブンカードアセンブリ。
Band on the RunはスポットカードにA〜3を使い観客に1枚決めてもらって…という少し変わった特徴があり、繰り返しの単調さが面白さになってる感があります。変にキックバックオチをつけるとかじゃなく、特性は特性としてそれをどう面白く見せるかみたいな改案にするのはさすが。
Otis and the Queensはエレベーターカードからのトランスポジションという流れ。そういう流れ自体は誰かが思いつきそうだけど、中盤のサトルティがなかなか良く、バノン技法も出てきて唯一無二な感じ。
Block Partyはバノンが好きそうな音速で終わるやつ。これもええんやけど、この本の中にすら似たトリックがあるのは…

Ninja Assemblyだけはスポットカード12枚を使うアセンブリです。
これも過去作に通じるところは多いのですが、色々上手く噛み合っていて集大成感があります。
先に3枚のスポットカードを置くタイプのアセンブリで、かつ手元のカードが4枚のクイーンであることを示せる手順。
とにかく思い込みの使い方が上手い。バノンのアセンブリでレギュラーデック縛りだったらこれがベストと言っても良い出来です。

おまけ的なBritzenはAプロダクションです。
表向きのセットが不要でテクニックもいらず見栄えも良いし、一瞬の出来事で終わらずオチにタメを作れる手順です。Harapan作品に似たやつがある。

手順は安定して良いですし、技法もちょっと変わったのが使われてて、パケットトリックに応用出来るものも多いのでそこらへん好きな人は是非。
薄いけどなんでこういう手順なのかという理屈も語られていておもろいです。
個人的には重い手品の方が好きなんですが、手順で説得される感じがあって流石やなーと。

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