今年のはじめに出たTom Gagnonさんの作品集。
450ページ全17章の超大作で、クセのある手順や技法がたんまり解説されています。割と似たような現象や手法が続いたりしてめんどくさくもあるのですけども、イルな魂持った人の手順て絶対好き嫌い分かれるし誰に何が響くかもわからんので、とりあえず大量に載っけてくれたのはありがたいです。
あまりに大量で一冊通してどうと言うのも難しいので各章ごとに軽く紹介していきたいと思います。
Chapter One: On Card Tricks
最初がトリック解説の章。ここで25作品解説されてますが似たような現象や同じ技法を使ったものも多いです。マルローの影響強め。
意外と技法だけに頼ったものばかりでもなく、クリンプやギャフも使ってより不可能性の高いものクリーンなものを目指していて、それが現象的にはあっさりめの小ネタだったりするので好き嫌いはともかく面白いバランス感覚の作品が多いです。
Swindler’s Aces
4枚のAをバラバラに入れてそれを1枚ずつ取り出す手順。
まあそれやったらなんでも良いのではという手法ではあるのですが、実際やってみるとそういう手法を使ってないように見えて良い感じ。淡々と繰り返すのも悪くないと思います。
Vernon-Gagnon Poker Demonstration
カラーチェンジ要素のあるポーカーデモンストレーション。
ハンドリング自体は好みあるところでしょうが、構造自体はとても良いトリックだと思います。見せ方も面白い。
オチは某傑作ポーカー手順に丸投げではあるものの、この手順には結構合ってるように感じました。
Gagnon’s Miracle Aces
Marlo Miracle Acesのバリエーション。
最後は観客がAを見つけます。
骨格はMarlo Miracle Acesを使いつつ、最後にGagnon技法で良い味出してるのではないでしょうか。
技法の使い方としても的確。
Hof-Sender Aces
とあるギャフカードを使ったジャズエーセス。
これが面白くてですね、いやまあこのギャフ使えばだいたい面白くなるものではありますし、もともとくすぶりがちなジャズエーセスに使ったらそりゃ跳ねたように見えるというのもあるとは思うのですが、演出含めてかなり好きっすね。
これ単体で商品化もされてるみたいです。
An Expensive Sandwich
お札と4枚のAをバラバラに入れるけど、全部近くに集まるという手順。
お札使う面白感以外は普通という感じです。
あとで出てくる”Bill Collector”の方が一工夫たされてます。
The Forgetful Gambler
リフルスタックのデモンストレーション。
あんまりGagnonみがないです。
About Face
トップカードを見ると別のカード。次の瞬間に表向きで現れます。
表向きで現れるところは既存技法を使いますが、タイミングとかがちょっとおもろいです。
あとひっくり返してからのコントロールがちょっと変わってます。
Chinese Card Spin
トップカードをくるくる回転させてテーブルに放り出すフラリッシュ。
くるくるのとこはカーディストリーでよく見る感じのやつです。
マジカルジェスチャー的に使ってチェンジの手品できるよーって感じで紹介されてます。
Punched in the Dark
ハンカチの中でロイヤルフラッシュを探す手順。
Marlo Miracle Acesをハンカチの下でやるという趣で、見た目面白いです。
ちょっとカードに仕掛けが必要なのですが、それはカットする部分には関係ないもので、まさかそういうことをしてるとは思わないので迷宮入りします。
あとでハンカチ使った手順のチャプターもあって、全体的にハンカチ使う手順は良かったです。
Aces by Weight
カットした場所から何枚目にAがあるか当てていく感じの手順。
面白原理の組み合わせとハッタリで面白い作品になってます。
わりとやりたいマジックに近かったこともありハマりました。
Electro Static Aces
スプレッドしながらAを探していく手品。
あとで解説されてる技法の使用例という感じですね。
Facing a Swindler
表向きでスプレッドしながらAを出す手順。
これもまあ他のと似ててなんかのついでに解説すればよかったのでは感。
Flimflam Transpo
スプレッドの中に入れたKがAに変わり、またKに戻るという手順です。
Gagnon技法フル活用という感じで楽しいですね。
スムーズにできる未来が見えない。
Floater
片手の上でデックを浮かせるフローティングデック。
この手法のフローティングカード/デックはたまに見る気がしますが、シンプルかつあれはその位置に持ってくる動きが極めて自然で不意打ちでやるのにめっちゃ良さそう。
微浮きなので覗かれるリスクはありそうですが。
The Gathering
スプレッドしながらAを取り出す手順。
またその現象か!!!
High Flying Aces
これもスプレッドしながらAを取り出す手順です。
だんだん手法がワイルドになっていくのが面白い。
Packet Collectors
コレクター。
なんかもっとゴリっとした手法を使いそうなところ、肝の部分は基礎技法で解決してて穏当なところに落ち着いています。ありそうでそんなにない気がしますし、コレクターするところはシュパッとスタイリッシュに決めてて良い感じ。
演出も良し。
Scarne’s Triple Coincidence Revisited
赤と青のデックをそれぞれもって、3枚ずつ交換するとそれが一致するという手順。
現象自体はここで解説されてる通りにやらなくてもできるのですが、ちょっとややこしいことするおかげで処理が楽になってます。
この後赤青でなにか他のこともしたい場合には有効かと。
Underhanded Collectors
ギャフを使ったコレクター。
後半で解説されてる技法を使ったもので、テーブルに置いてあったKを使ってシュパッとコレクトされる感じがあります。
なんとかギャフ使わずにいけなかったのかという気もしますけども、見た目上おかしなことはないです。
Weighing In
スプレッドしてAを取り出す手順です。
またそれかいい加減にしろと思いましたが、観客の好きな順番に出せたり好きなところでストップしてもらえたりその枚数を当てれたりして、この現象の中では一番楽しい感じあります。
A Peeking Intruder
赤いカードを1枚青デックに混ぜ、観客がそれをピークするという手品。
フォース不使用。
結構頑張る割に最後それかーってのがあり、なんとも言えん感じです。
フェアさ強調のためにスプレッドするのがなんか二度手間っぽくもあって、これに関してはスプレッドする良さが出てない気がします。
SCAAN
リボンスプレッドで数えるエニーナンバー現象。
だいたい上のやつと同じような原理ですが、こっちのほうがクリーンな感じで見た目もシンプル。
Impeccable Change
1枚だけ裏向きに入れたカードが変化する手品。
これもまあ別にこのやり方じゃなくてもってとこなんですが、それまでのハンドリングは参考になりました。
ゴミが残らないのは良いですね。
The Wash
テーブルの上でわっしゃーーって混ぜても維持される方法。
実はわっしゃーする部分は一部だけなのですが、中に戻す、スプレッドする、わっしゃーという流れなので技法の上手い使い方だと思います。
Umpteenth Open Prediction
オープンプリディクションです。
観客にシャッフルしてもらってから表を見ずに行え、極力無駄な動きもなくなっています。
ちょっと準備が必要なものですが、この本で解説されてるスプレッド系の技法はオープンプリディクションと相性いいので色々考えられるはず。
Chapter Two: On Clipped
丸々一章ペーパークリップを使ったトリックが解説されてます。
Mystery Card / Mystery Card Revisited
クリップをはさんだミステリーカードを一番下に置いてスプレッドし、選ばれたカードがクリップの挟まったカードになるというミステリーカード手順。
デックの中でのミステリーカードですが、ほとんどずっとクリップが見えた状態でクリーンな手順になってます。
Clipped Sandwich
2枚のKを2箇所クリップでとめてその間にカードがはさまるサンドイッチカード。
見せかけサンドイッチなのですけど、クリップがあることでカバーされる部分があってなかなか良いです。
Shorty’s Holdout
2枚のお札をクリップでとめて、その間にカードがはさまります。
カードのサンドイッチよりサンドイッチ感が強まってる感じです。
Clipped Triple Prediction
3枚のカードでやるミステリーカード。
概ね1枚のとあんま変わんないです。3倍不思議かどうかは微妙。
クリップだから複数挟む方が道具たてとして自然という感じはあるのかもしれませんが。
Twice Clipped Improved
2デック使った予言現象。
演者が表向きに1枚出して、観客がもう1枚出す。それが完璧に一致するという手順です。
Gagnon技法も使わず、普通に良いトリックになってます。
クリップの特性もよく活かしてるし、クリップ出す必然性もそれなりにある。
Burglars Big Breakout
ジャックが1枚ずつクリップ付きのジョーカーに捕まえられるという手順です。
やってることはだいたい同じですねこれも。
最後にハンカチを使ったちょっと面白い見せ方があるぐらい。
Clipped Thought
4枚のAをバラバラに戻し、観客が言ったAがクリップにはさまれる。他のAもクリップにはさまる。
観客の選択要素と緩急があるおかげで、似た感じの手品がなんとなく良く見えます。
Clip Joint
クリップではさんだ状態の2枚の間にセレクトカードが飛び込むサンドイッチカード。
これはクリーンにはさんだところを見せれるタイプで、サンドイッチ系の中ではこれが一番ピンときました。
Clipped Transposition
クリップではさんだカードと真ん中に逆向きに入れたカードのトランスポジション。
これは同じことやっててもちょっと変わった現象に見せれるいい例かと思いました。
Four the Hard Way
クリップを挟んだジョーカーと、4枚のKのトランスポジション。
入れ替わりとしては地味でも、クリップがついてる状態が入れ替わるという見せ方は面白いですね。
オフバランス系全般と相性良さそうです。
Easy Rider
クリップはさまったカードに別のカードをロードする方法。
こういうのは頭に書いてくれたほうがいいのでは??
Clipped Exchange
クリップがついたカードを別のカードに変化させる手品です。
Chapter Three: On the ZigZag Pass
Gagnonの代名詞とも言えるテーブルで行うパス。
スプレッドを動かす流れでパスが完了します。
動き自体は他に解説されてるコントロールより理解しやすいですが、スムーズにやるにはかなり時間かかりそうな感じ。
カードの上下が入れ替わるので応用はコントロールやフォールスカットなど。
良いなと思ったのはインコンプリートファローのコントロールに使う方法で、あれはスプレッドして混ざってますアピールをするついでに出来るから自然に行えるかなと思います。
手順としては”Zigzag Aces”というAの取り出しが解説されていて、コントロールさえ決まればなかなかリアルなカッティングエース風のものに見えそうです。たぶんこの使い方が一番応用範囲広そうな感じあります。
Chapter Four: On Ribbon Spreads
リボンスプレッド上で行う技法が色々と紹介されてます。
“Sideslip Spread Control”という技法はスプレッドして閉じるだけでボトムにコントロールできるもの。デックにカード戻すところからより、メモライズドデック使う手順とかに使いたい感じします。
それとはちょっと違った指向の”Ribbon Spread Convincing Control”は、若干制約があるものの突き出した状態を見せれてトップに戻せる方法です。まあ普通なら前半の技法だけでコンビンシングにできるのですが、そこから更に頑張ろうとしてる感じが楽しいと思います。
まさかの方法でアディションしてしまう”Ribbon Spread Addition”や、一旦スプレッドしてからリバース技法につなげる”Revolving Reverse”もクリーンで良かった。
手順らしい手順は”Sideslip Sandwich”っちゅーのが載ってますが、これはまあ既存のサンドイッチの技法置き換えましたバージョンという感じ。ただやっぱりスプレッドの中でやるときれいな感じはすると思います。
Chapter Five: On The Overlap Procedure
なんと説明したら良いのでしょうか、リボンスプレッドに差し込んだカードをあれこれするためにOverlapというなにを使うという感じです。
これ差し込んでるのに差し込んでない感じが出てしまうのがちょっと難しいとこではあるんですが、比較的簡単にできる上にクリーンな印象も与えられるので便利は便利。
とくにマルチプルシフトに使うやつとかは良かったです。
手順は”Double-Decker”っていうサーチャー系(実際にはカットの動きがある)のサンドイッチがうまいことやってるなと思いました。
まあこれもスプレッドしてなかったらやりようある系なんですが、なかなかクリーンに見えます。”Isolated Sandwich”も同様。
お札を使う”Bill Collector”はデックに差し込んだお札の周辺にAを集めるもの。現象の割に準備が大変ではあるのですが、これはもうちょっと遊んでみたい系のギミックでした。
“Never Too Late”はリボンスプレッド上でのアンビシャスカード的な現象で、技法にちょっと味付けしたようあ手順ですがこういう使い方ができるならちょっと練習してみたくなる感じのなにです。
Chapter Six: On Forces
フォース色々。
全体的に観客が好きなタイミングでストップ言えたり自由に指差しできるようなものが並んでます。
“Switcharoo Force”と”Lateral Dribble Force”はどちらもドリブルからのスイッチ法。解説読むとなんとなくできそうな気がするけどやってみると完成までは遠そうな感じ。似たような技法でもう少し低負担なのがあるのでなかなかこれのメリットは見出しにくいあたりでしょうか。
ほかはスプレッド系のフォースが並んでいて、これは代わりがあんまりないし綺麗に見えるので面白かったです。
特にハンカチで隠す”Inverse Handkerchief Force”なんかはミステリアス感もあるし、予言系の大ネタなんかとも相性よさそうな感じします。
ちょっと大胆な”Toss Force”もありっちゃあり。
あと、この本で割と多様される技法の気配を消す感じのテクがここで解説されています。
Chapter Seven: On Switches
スイッチ技法について。
“Swindle Switch”はスプレッドした中の表向きのカードを変える技法。スイッチというかなんというかという感じですけども、これはいろんな手順に使えそうなものです。スプレッドを閉じてからごにょごにょした感なく広げられるのがメリット。
“Gagnon Scoop Change”はターンオーバースイッチ的なテーブル上のカードのスイッチ。複数枚にも応用可能で、一瞬カードが完全に視界から消えるのでフェアさには欠けますが、流れで使うには有効でしょう。
手順は”A Novel Transposition”というシンプルなトランスポジションが解説されてます。ポケットに入れたカードと封筒の中のカードの入れ替わりで、ごちゃごちゃしてなくて良い感じです。
あと、ドロップスイッチのちょっとした工夫があって、そのためにリスクを犯す必要があるのかどうかという気もしましたが、こういう地味なあざとさは効果的でもあるよなという感じのものでした。
Chapter Eight: On Multiple Shifts
個人的にはこのあたりを目当てに買ったところがあって、実際面白かったです。
差し込んだように見せてジョグを残す方法やスプレッドして閉じるだけでコントロールするなどなど。
やはり目玉は”TG Tabled Multiple Shift”ですね。実際は手からデックは離れずある方法でキープされているのですが、スプレッドするとフリー感が出て自然。なんとかコツ的なものは掴めてきましたけども、常用するにはめっちゃ練習いりますねこれは。1枚でやる場合と若干勝手が違うのが厄介。
“Four-Flushed Multiple Shift”はまとめて4枚のAを差し込むのではなく、1枚ずつ片手で差し込んでいくものでマルチプルシフト。
ここで使われてるジョグのキープ法もラフな感じがあってとても良いです。原理感がなくて綺麗。
その他テーブルを使わないものもいくつか解説されていますが、このあたりは古典的なもののちょい工夫という感じ。
Chapter Nine: On the Jet Stream
マルチプルシフトで使われてる技法の基のようなのがこのJet Streamで、そのいろんな使い方が解説されてます。
この本で一番使用頻度の高い技法なので、これから読む人はこっから読むのがおすすめ。
この章でもいくつかトリックが解説されています。
“Otis’ Elevator”はA〜3までを使うエレベーターカードで、まず1枚ずつ戻す位置を変えてのエレベーターのあと3枚同時にという流れ。ひたすらコントロールするだけで、ややスプレッドする動きが重なるのが冗長な感じは否めません。
通常のエレベーターカード的な構成を使った”Out of Order”の方が面白みがあります。
シンプルなサンドイッチカードに利用した”Three-Point Landing”はややいつのまにか挟まった感が薄いですが、”Air Strike”の方はワンクッションあり、まあ技法やるタイミングで痛し痒しという感じ。
あとはまあトップ、ボトム、2枚目とかにコントロールできるという話が載ってます。
Chapter Ten: On Artful Dodges
既存技法のTips含め、いろんな技法が解説されてます。
“Tap Illusion”はアウトジョグされたカードを別のカードで押し込んで、そこにスチールしてしまう方法。通常のコントロールだとカードで押し込む理由がつけにくいですけど、サンドイッチカードやトランスポジションなど、利用できるシーンはとても多そう。良い。そのバリエーションの”Tap Illusion Feint”はアウトジョグ状態でスイッチしてしまう感じのもの。”Ambitious Illusion”としてアンビシャスカードに使う方法が解説されてます。
“Reverse Double Undercut”はテーブル上のカットでボトムをトップにするカット。ブレイクをかちっとやる必要がありません。
“Fan Square-Up Pass”はファンにしてからテーブルで揃える動作でコントロールする技法で、”Fan Control Finesse”も別の方法でコントロールカードをキープする話。どちらもいわゆるコントロール感的な気配がなくて優秀。
カードケースを使った”Cross Fire Add-On”は直接的でなく、ケースをとる動きでデックにカードをつけくわえる技法で、途中で足したりしたいときにはめっちゃ有用かと思います。
“Dealing McDonald In”、”Gagnon Ace Vanish”、”A McDonald Vanish”はそれぞれマクドナルドエースで使う技法。徹底してDF感を排除していて、この組み合わせで手順組むだけで結構違う感じに見えます。
その他、メキシカンターンオーバー、ギャンブラーズコップからのリプレイスメント、ストリッパーデックについてのTipsが解説されてます。
Chapter Eleven: On Cased Card Controls
カードケースにデックを入れてもコントロール可能な状態を維持してしまうという一体なんだそれというチャプター。
クリンプも使わずマルチプルシフト対応。
まずこれを行うケースの話から。へーっていう話だったんですけど、家にあるデックで調べてみたら意外と一概に言えることでもなさそう。バイシクルいうても色々あるっぽいです。でもまあ台湾製やカルタムンディ製含めてできんことはない。
基本的な原理も面白いです。
完全にコントロールするにはまた箱から出す必要があり、入れたり出したりというのは普通は冗長になると思いますけど、マニア相手には非常に有用なものでしょう。
コントロールだけでなくシャッフルして箱の中に入れ、観客の手に箱を置き、なんか話をしつつ箱から出してからスイングカットの動きなしにフォースに使うとかもできます。(Top Stock Control)
コントロールはこの本で解説されてる他の技法とも組み合わせ可能で、特に”Fan Control”なんかはそこそこ安定してできるし強い。
また、コントロールせずにデックを箱の中に入れ、取り出す動きで1枚だけ箱の中に置いてくる”Stainless Steal”なんかもめっちゃ良いです。
Chapter Twelve: On False Cuts
フォールスカットについて。
いくつかわけて解説されてますが基本的な動きは同じ。
カットしてボトム(何枚でも)を維持する方法。表向きでやればトップでも。アクションリバースにも応用可。
若干速さでごまかす必要はありますが、パケットが入れ替わってること自体は見せれるので綺麗です。
リフル噛み合わせた状態でやるやつとかはとてもいい錯覚ができてます。
手順としては”Gambler’s Delight”という、色違いオチのカッティングエーセスが解説されてます。
まあこれは別にこのフォールスカットでなくてもという感じですが。
Chapter Thirteen: On Trick Decks
Edna、Freda、Remembering Ednaと3つの手順が解説されてますが、現象はどれも同じです。
カードの裏にいろんな名前が書いていて、観客が言ったカードの名前が予言されています。
まわりくどさはどうしようもない部分もありますけども、見せ方は結構考えられていてセリフとかもいいです。
Fredaだけは色違いオチがついてて、ほかは手法の違いという感じ。
トリックデックというチャプタータイトルですが、いわゆるトリックデックではなくそんな身構えなくて大丈夫です。
Fredaは普通に良い手順だと思います。
Chapter Fourteen: On The Devilish Switch
Devilish Switchはテーブル上で行うスイッチ技法。
ここまでも多様されてきたGagnon Spread Controlとの組み合わせ技です。
シングルカードとデックを接近させるものですが、一応の理由付けは明確なのでタイミング次第では強力なことだと思います。
そんなわけで手順はこの技法だけに頼ったものじゃない感じのが載ってます。
観客のコールカードが予言されているように見える”Devilish Thought”はもうひと手間加えてすり替えの疑いを消す作りになっていて、他のスイッチ使う場合でも応用できる考えかたです。
“Devilish Transposition”は赤青の2デック使ったカードの一致現象。トランスポジションオチ付き。
この本わりと技法の代用可能な手順も多いですが、これに関してはこの技法ならではという感じがあります。面白い。
Chapter Fifteen: On Coin Tricks
コインマジック。
Re-Entry
中が透明のライター(ZIPPOぐらいの大きさのやつ)にコインが入ります。
推奨されてるライターを画像検索してみたら確かになんか入れたくなる感じがありますけども、いきなりこれだしたらなんでこれってなるとは思います。
ハンドリングも処理も面白そうではあるのですが、いかんせん馴染みのないものなのでなんかお菓子の入れ物かなんかでやってみたい。
Shell-Acted
カードの上にグラスをひっくり返して置いて、テーブルの下からその中にコインが貫通。
ギミックの作り方知らんかったので勉強なりました。
上下の角度の制限はありそうですけど、実演も耐えると思います。
この手順ならちょっとぐらい不透明なグラスでも良さそう。
Slow-Mo P&D Move
ピックアップムーブのあとに手を開いて見せれる方法。
割と実用的に見えますけど、実演だとちょっと怖いですかね。
マトリックスだと手を開いて指ししめす動作は入れやすいので正面だけなら結構有用かもしんないです。
Tipsy Coin Vanish
1枚のコインのパーフェクトバニッシュ。
定義的にパーフェクトと言っていいかは謎。
一応手順として流れはありますけど、どうぐ使い的にそんなに意欲わかんですね。
最後に綺麗に消す手順に組み込むとかならありでしょうか。
カードの技法見る限り、そこまで実演に耐えない作品作る人でもないっぽいので有用なのだとは思いますけど。
Chapter Sixteen: On Pool Hall Antics
ビリヤードの道具を使った手品集。
こんな変なことを熱心に研究してる人がいるというだけで面白いですね。
手順も面白いです。
Chalk It Up
チョークを使ってダイススタッキングみたいなことをやりつつ、最後にビリヤードボールが出現するトリック。
あらゆる意味で道具の使い方を間違ってる感じがめっちゃおもろいですね。
デモンストレーションからこの意外性は単純に良いと思います。
On Cue
ビリヤードボールをデックに当てると選ばれたカードのところでカットされます。
ウォンドと四つ玉のボールで試してみましたけど綺麗にいけました。楽しい。
ボール転がってくのでビリヤード場ぐらいでしか演じることなさそうですけど、場所に特化した手順はいいもんです。
カットされたカードの上をボールがころころ転がっていくビジュアルが粋。
A Ballsy Discovery
まあカード当てなんですけど、ビリヤードボールを使った面白い演出で行われます。
カードだけを使った手順では演出は控えめと言っても良いぐらいなので、こういう見せ方をもっと見たかったという感想。
Shot in the Pack
キューでジョーカーを突いて行うカードスタブ。
俺の大好きなビリヤードと俺の技法組み合わせられるやんイエーイ!みたいな感じが伝わってきて楽しそうです。
Estickmation Aces
Miracle Acesをキューで突いてカードふっとばしてやります。
ある意味手でやるより安定して出来る感じがあり、見た目の面白さも最高。
ちょうどいい感じのウォンドがあればできます。
Stick It To ‘Em
これもキューでデックを突いてその場所からカード出てくる系。
ビリヤード道具をうまく使った錯覚もあり、なんかこの人ビリヤード絡むとキレキレになることがわかりました。
Chapter Seventeen: On Veiled Deceptions
ハンカチを使った手順と技法。
Veiled Card Steal
Aをバラバラに入れてハンカチで覆って、ポケットから出したり色々できる技法。
この本で多様されてる技法をちょっと負担抑えめでやる方法というか、なんか優しさを感じます。
ここだけ読む限りハンカチで覆う意味がとりにくいですけど。
Veiled Reversal
Aをバラバラい入れてハンカチをかぶせて中で揃えると表向きでトップに現れます。
あんまりごにょごにょした感じもなくジャジャーンて感じでできるのでこれはハンカチ使う意味がわかりやすいです。
Veiled Overlap Steal
カードを戻してハンカチをかぶせ、戻したカードをスチールする方法。
これは比較的簡単にできるしあっさりしてて良いですね。
Veiled Penetration
Gagnon流のカードスルーハンカチ。
これが最後のトリックなのですが、ここまで読んでる人はだいたいそういうことだろうなと考えると思います。だいたいそのとおりのことが書かれてます。
でも見え方としては結構理想的な気もしますね。
スプレッドの時点でハンカチで隠してくるんで貫通。綺麗なのでは。
このハンカチのチャプターは手を動かしてみると良さがわかると思います。
他チャプターで面白かったのはカードケースのところとビリヤードのとこですね。
正直手順パートはそこまでピンとくるものはなかったのですけども、もっと技法がするするできたら評価も変わってくるかもしれません。
技法は練習しがいのあるものが揃ってます。なんだかんだ練習中の技法があり、そういうのが複数載ってるというだけで十分読んで良かったです。
コントロールの技法なんかは特に代用可能なわけですけども、やっぱり見え方は結構変わるので引き出しが多い人ほど使用法を思いついて楽しいんじゃないでしょうか。
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