by jun | 2020/08/31


2013年にVanishing Incから出たDoug Edwardsさんの作品集。
主にカードですが、ロープ、スポンジ、コイン、ストロー、ブックテストなどなどいろんな素材を扱っています。
全体的に複雑な手続きを行うものはなく、ビジュアルでわかりやすい現象が並んでます。めっちゃコレクターな人のようですが、悪い意味でのマニアックな感じがなくて誰にでも見せれる良い手順が多かったです。
難易度も特に高くはなく手を動かせば良さがわかるようなとこがあってカード以外でもそういう作品が揃ってます。
レギュラーデックでできるもののいくつかは動画で出てるのでそっちでもいいかもしんないです。

Doug Edwards on the Zarrow Shuffle – Vanishing Inc. Magic shop

Doug Edwards: Card Star – Doug Edwards – Vanishing Inc. Magic shop

Dunninger、Cardini、Roy Benson、Herb Zarrowの手順についてはunpublishedのものらしく、自分は残念ながら誰にも詳しくなかったのが悲しいですが、ずっと秘密にしてたらしいという話だけで嬉ションぶっしゃーですね。

Instant Glimpse

トップカードをちらする方法。
これはまあ似たようなやつがあって、そっちのほうがワンアクション少なく済むので特にこれという気はしないです。
こっちのほうが動きがゆっくり済みそうなところはありますが。

Fan-Tastic Palm

ボトムカードを右手にパームする方法。
独特の左手の指の動きを小さくするものです。

The Spread Change

フェイスカードのカラーチェンジ。
これも右手に取るところに工夫があります。
こっちは右手の抜き取る動きを小さくする工夫で、些細なものですが変化前によいしょって感じがないのは結構重要なのだと思います。

The Fingertip Card Production

空の手をパンと叩くとファンになったカードが出現。
クロースアップでは使う場面あんまないかと思いましたが、4枚とかでも綺麗に広がって出るのでセットまでうまく持っていければ楽しそうです。

Elevator

最初は3枚のカードだけで行うという少し変わった構成のエレベーターカード。
これが結構良くてですね、スイッチしたり裏向きで並べて置いたりしなくてよく、3枚のカードがそれぞれ別の感じで貫通するという雰囲気がめっちゃ出てます。
スイッチをどうするかとかいかに裏向きのカードに説得力をもたせるかという方向の改案が多いプロットですが、構成がフレッシュなものはあんま見たことがないのでとても気に入りました。

Aced Out

鮮やかなエースプロダクションです。
ややこしいことやってないのにめっちゃ綺麗です。
欠点ということではないですが、マルチプルシフトからセットしにくいのが悲しいところでしょうか。

Half Shot Hofzinser

ホフジンサーエースです。
これは基本的な構成を技法のバリエーションで解決した感じでしょうか。
Aをデックに載せてからシュコシュコしたりくるくるしたりせずにドーンするのは結構良い技法な気がします。ドーンのあとにスムーズに取れるように工夫してるのもクール。

The Really Inside Zarrow Shuffle (Herb Zarrow)

ザローシャッフルのアイデア。
Herb Zarrowがずっと秘密にしていたものらしいです。
ザローシャッフルで気になる部分が気にならなくなってます。
というか恥ずかしながらちゃんとした解説を見たことがなく練習もしたことないので詳細な解説を読めただけで満足。

Shove Over Shuffle

ストリップアウト系のフォールスシャッフル。
押し込んだように見せるところに工夫があるものです。
テーブルでやることを手に持ってやってるだけとも言えなくもないですけど、良い感じにタイムラグを作れるので単純にすっこ抜いたようには見えないはず。

Vertical Optical Cut

デックをテーブルに立てた状態で行うフォールスカット。
シンプルな動きで、カットの動きが少ないので元に戻した感がありません。
これ単体では弱いかもしんないですが、シャッフル系のと混ぜて行うととても効果的に見えます。

Card Expert

観客が取った枚数と同じ数だけカードを取り、覚えてもらったカードも当てるデモンストレーション系のトリック。
原理自体は古典的なものですが、デモンストレーション風になってることによりプロダクションがとてもリアルに見えます。
この人のトリック全体的にオチを良い感じに見せる構成が上手いっすね。

Showpiece Monte

カードトゥウォレットにモンテの演出を加えた一作。
ほぼスライトレスな構成になっていて、そこを目指してるだけに見せ方で気になる部分もあるのですが、ストレスなく財布に入れる見せ方としてはとてもよくできています。

Regular and Complete

フォーシングデックの扱い方について。
まあ普通にやってりゃなんとも思われんはずですけど、フォーシングデックを使うような手順では気にしたほうが良い部分なのかもしれません。
こういうのは凝りだしたらキリがないし余計なにかを隠してる感が出るのでこれぐらいの軽いものは頭に置いておきたい。

Make Your Mind a Blank

ブランクデックオチのメンタルセレクションのカード当て。
というとあれとかあれとかありますが、ちょっとだけ原理が違います。
手続きが軽くなっていてその後がちょっと大変というバランスなのですが、この見せ方なら直前まで普通のカードであったことをより強く印象付けられる感じもあってとても良いです。

Billy O’Connor’s Instanto Deck (Billy O’Connor)

Billy O’ConnorのInstanto Deckの作り方と解説。
好きなカードのところでカットできるようになってるもので、そんなに扱いやすいものではなく使い方もなかなか思いつかんようなトリックデックですが、何か特定の手順に特化したデック構成にすれば結構便利かもしれません。

Cardini’s Vanishing Stripe (Cardini)

ファンにしたカードのラインが消える手品。
これは特定の裏模様のデックを使うものですが、最近のデザイン系のデックでも似たようなことができるのはありそう。

Almost Any Card at Any Number

エニエニ。
片方のエニーはちょっとエニーじゃないですけど、まあほぼエニーという印象を与えることができます。
手法はマニア受けしなさそうな感じではありますが、誰に何を見せたいかというのも様々なもんで、この手のアプローチの改良はもっとされていいはず。
サロン規模ならかなり強い手順だと思います。

Wonder Pen-a-Tration

テンヨーのサイキックペンの考案者がこの人です。知らんかった。
ハンドリングは日本人にはおなじみのあれ。名作でしょう。

A Rose by any Other Number

観客の好きな花と好きな数字を予言する手品。
一切手を出してこなかった手品ですけど、これぐらいシンプルだとやってみたくなりますね。

Safety Bend

キーベンド。
曲げ方でなくこっそりあれする方法の話。
ステージ用の見せ方なので、若干手続きの長さと現象のバランスは気になります。

Dunninger’s Directory (Joseph Dunninger)

借りた電話帳ででき、好きなページを開いてもらえるブックテスト。
これも全く知らなかった仕組みでした。なんとか日本語の普通の本でできるようにならんかしら。選ばせる時の絵面がステージ映えして面白いのでやってみたい。

Sopper and Cilver

左手と右手のコインのトランスポジション。
あんまり見たことないやり方で、あんまりみんながやらない理由もなんとなくわかりますが、コインをあっち持ったりこっち持ったりが少なくて位置関係がわかりやすいのがメリット。
テーブルもいらないし軽くスタント的に見せるなら全然ありだと思います。

Bowl’em Over (Roy Benson)

ベンソンボウルの手順です。
オリジナルもバリエーションもぼんやりとした知識しかないんですが、とても良い手順でこのジャンルに興味を持てました。
カップ&ボールや通常のスポンジの手順とは違う良さが出てるのが良いですね。

Blocked

おばあちゃんの首飾りのロープ版。
セット不要でできるのがメリットになってます。
まあ元のやつはセットが必要でもそこが全く気にならないところが良いところだったりするのですが、扱う道具がでかいだけに貫通感も強くなってます。
前書きによるとEdwardさんお気に入りの手順らしい。

Rope Fantasy

You Tubeにご本人が演じてる動画があります。

なんて楽しそうな。
これ仕掛けもめちゃくちゃおもしろいです。

End of a Nightmare!

プロフェッサーズナイトメアのアイデア。
一本につながってまた元の3本に戻る。
些細な工夫ですが、やってみると結構リアルな感じが出てます。
演出的に一貫性を保てれば好きにルーティンに組み込めるかと思います。

Kicker Rope

リングアンドロープの手順。
結び目からリングが抜けたように見えてすごい。
あそこにリングを持っていくやり方もとても良いです。
リングが抜ける、結び目が抜けるという動きに統一感があって意外性もあるしとても愉快。

Frame to Fame

カードをファンにした絵があって、そこから選ばれたカードがライジングしてきます。
がっつり工作系。
今風のだと絵も渡せますサインカードで出来ますみたいな詰めもされそうですが、諸々のバランスを考えるとちょうど良い塩梅ではないでしょうか。

Grabbing Straws

2本のストローの貫通現象。
名作中の名作です。

以下、ギャグ系のアイデアが5つほど紹介されてます。
パケットケースが開くやつが面白かったです。

いくつか適当に見てほったらかしてた本だったんですがあらためて読むと良いネタ多かったっすね。肝の部分がシンプルなのでそこだけ覚えておけばだいたい手動かせるというのも高ポイント。
最近のVanishing Inc本はプロによるプロのためのガチ手順みたいなのが多くて、もちろんそれも良いんですけどたまにこういうのも出してくれればと思います。

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