2021年にJoshua Jayが出したエッセイ集。
「マジシャンも騙されますか?」とか「なんでマジシャンは帽子からうさぎを出すんですか?」とか、Joshua Jayがショーの後によく聞かれる質問に答える形で52個のエッセイが載ってます。だいたい5ページ以内ぐらいで読みたいのから読めばいいので枕元本に丁度いい感じ。
Amazonとかでも買える一般向けの本で、主旨としても啓蒙の意図があるようです。体験談を元に論理的でユーモアも交えつつ書かれているので、マジックする人の裏側を知りたいという好奇心から更にマジックに興味を持ってもらうようにという狙いは上手くいってるんじゃないでしょうか。
例えば好きなマジシャンを紹介するパートでRune Klanが取り上げられているのですが、そんな面白い人がいるなら見てみたいとちゃんと思わせてくれるプレゼンになっています。
フェイバリットマジシャン紹介はJoshua Jayが誰をどういう視点で評価しているのかというのが読めてどれも面白かったです。
面白いものを面白そうに話せるのはマジックの重要スキルなので、やっぱり流石という感じがします。
マジックの歴史的な話や「なぜマジック界は男性優位なのか」や「黒人マジシャンが増えない理由は?」など社会的な問題に触れてたりもしていて、 手品好きな人が読んでおいて損がない話も多いですし、実践としてもどうやって手品を考えているのかとか、ショーの組み立てのなんかもあって、ここらへんは普通に勉強になりますね。
例えばベンアフレックのイベントに呼ばれたエピソードがあって、そういう時って手品してもみんなベンアフレックの事しか見てないらしいんですけど、そういう時にどういう戦略で何を演じればみんなハッピーになれるかとか。実例としてもなるほどと思える内容ですし、How Magicians Thinkのタイトル通りその元の考え方が書かれているので、自分に置き換えて読みやすく、創作の理論としてはかなりわかりやすい部類かと思います。
正直あんまり興味ない話もちらほらあり、一般向けということで帯に短し襷に長しを感じることも多かったですが、Joshua Jayのクリエイティビティの一端が見えるエッセイがいくつかあるだけで結構満足しました。
装丁綺麗なのでフィジカル版がおすすめですが、Kindleも出てるので空き時間にちょこちょこ読むのもいいかも。
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