by jun | 2021/05/15

2010年に出たジョシュアジェイによるカードマジック入門本。
カードの扱いとトランプについての色々、テクニックのいらないトリックという感じの内容です。
トリックはどれも技法を使うものはなく、現象は割と幅広い感じになっていてセレクトも普通に良いと思います。
ジョシュアジェイのマジックは演出のフィクションラインが高めでちょっとそのまま真似するのは難しいようなものも多いですけど、この本に載ってるのはそういうハードルの高さはそんなになく演じやすいのが多いです。
基本的な原理をちょっと凝った見せ方しているのもあって面白いのですが、一番シンプルに使うにはこういう見せ方があってこうやると全然違って見えるでしょというような形だともっとカード手品の面白さがわかるんではないかとは思いました。
紙幅の関係とかもあるのでしょうけども、正直ちょっと手品以外のパートが多く、これから手品やるぜって読み始めた人もここはちょっとテンション下がるんではないかなと。

あと、本にリンクがついててアクセスするとジョシュアジェイによる解説動画が見れます。
お手本としてこれ以上ないものなので大変良いのですが、惜しむらくは観客に演技してる動画が1個しかないという。
個人的には動画は演技だけで解説は文章ってスタイルが好きだし、最初は特に文章だけだとこんなもんで通用するんかいなってのがあるんでどうせなら普通に演技してるところを収録してほしかった感。
まああんまりいきなり詰め込みすぎてもあれだしこんぐらいがちょうど良い気もします。

Chapter 1 : All Hands on Deck

リボンスプレッドやファンなど、基礎的なことが解説されてる第1章。
カスケード、カードキャッチあたりのフラリッシュも解説されているのでマジシャンっぽいカードの扱いはだいたいカバーされてます。
意外とドリブルやスプリングの解説はない。
トリックっぽいのが一つだけ、勝手にカードがカットされたように見えるムーブの解説があります。

Chapter 2 : Tricks

いろんなトリックが解説されてます。

The Card Shark

最終的にロイヤルフラッシュとか4エースとかを出せるサカー風のカード当て。
いろんなところで解説されてるトリックですが、ジョシュアジェイ流のちょっとした工夫があって、よりアメイジングな雰囲気が出そうな感じ。めっちゃ良い見せ方。

One Ahead

観客が3つの山にカットして、それぞれ1番上のカードを当てます。
観客にシャッフルしてもらうところからスタートできる方法が解説されていて、動画では無観客ながら演技の雰囲気とかも見れます。

The Ten-Twenty Force

数理トリック。
予言バージョンと、スペリングとかを絡めて4Aを出すバージョンのトリックが解説されてます。
この原理単体で予言はちょっと推測されそうな感じはありますね。
他の要素絡めて4枚のA出すまでいくとその心配はなくなるけど観客が自由に決めた数字の意味も薄れるのは痛し痒し感。

Pointer Power

数枚のカードを使ったカード当て。観客にシャッフルしてもらえるもの。
これはもう一工夫欲しい感じある。
ちなみに、フォーオブアカインドが出る手品が複数載っていて、それを使う手品は載ってないのでこれをやると良いかもしれません。

Barely Lift Finger

輪ゴムを使ってデックを縛って、4枚のAがにゅるんと出てきます。
出てくるところは本当に気持ちいい。
ノースライト縛りの影響でオープナーとして演じるしかできない感じなのはちょっとあれ。
やっぱりなんかフォーオブアカインド使う手品一つ載ってて欲しかかったですね。

Presto Prediction

3枚のカードの中から観客が選ぶ1枚を予言しています。
これだけ観客ありの演技を動画で見れるようになっていて、態度や演じ方は誰が見ても参考になるんじゃないでしょうか。
3分の1を決してショボい現象に見せず、後出しの予言も確かにそれしかないと思わせる。

Friction Four

シュシュっ。

Christmas Card

カードを全部クリスマスツリーにぶらさげて行うカード当て。
選んでもらってから位置をシャッフルしてもらえ、演者はそこを見てなくても当てられるというもの。
ちょっとこう特に入門者にはハードルかもしれませんが、こういう手品もありまっせという例としてはシャレてて良いですね。

Chapter 3 : Shuffle Bored

基本的なシャッフルの方法が色々解説されているチャプター。
ヒンズー、オーバーハンド、リフル、ファローとカバーされてます。
これはジョシュアジェイ動画が見れるのは大変嬉しいですね。
技法云々より基礎的なカード捌きの上手さでマジシャンの雰囲気決まるみたいなとこあるんで、入門書で上手い人の映像参考にできるのは良いです。
あと、Oseのカットが解説されています。手順の中で取り込めるのもあるので複雑すぎず簡単なのが一個入ってるのは丁度いい感じ。

Chapter 4 : Cards And Craft

カードを使ってカエルを折ったり、カードに手紙を書いたり、その他ちょっと複雑な工作まで色々と。
手品としてはアルコーランのDouble Thoughtと、その手品やるためのナニが解説されてます。
観客とマジシャンでお互いにカードを当て合いっこする手品で、アルコーラン版よりかなりすっきりした見せ方になっていてとても良い手順。
色々とやり方があるプロットですが、やはり見た目としては原案に近いこの手法のものがさっぱりしてて良い。

Chapter 5 : Cheap Tricks

Fake Marked Cards

マークドカードを使わないけど裏を見ればカードがわかります。
実際に仕事をするタイミングと演出をずらす件を学べます。

Tearing a Deck in Half

怪力でデックを半分に破ります。
ちょっとリアルだからマジでリアルみたいな感覚がわかる。リアルすぎると不思議ではなくなる。

Memorizing a Deck

記憶術演出のトリック。
とても良い手品ですが、1フェイズだとガチなものなのかマジックなのかというのの伝え方はちょっと難しいかなというところ。

Chapter 6 : Wild Cards

トランプで色んなことをします。
なんかめっちゃ積んだり、物差しとして使ったり、ガタつく椅子を治したり、トランプって本当に便利!
364回腕立て伏せする方法とかもありましたが、どれもシャッフルしたデックで出来ます。

Chapter 7 : Safe Bets

バーベットの類が載ってる章。
手品として見せる感じじゃありませんが、言葉の使い方がキーになったものもあるので人に見せる練習には結構いいかもしれません。

その他、トランプに関する豆知識や凝った仕掛けについて紹介があったりします。
トランプを触り始めた人が興味を持つような内容ですし、カラー写真なので普通に面白いです。

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