by jun | 2020/04/10

ジャックパーカー企画のアンソロジー本。2007年出版、文はアンディグラッドウィンが書いてます。
参加マジシャンはジョシュアジェイ、アランアッカーマン、スティーブドラウン、ポールカミンス、ポールウィルソンなどなどとても豪華です。
全部カードマジックで、全体的に軽めの手順が多くスタンディングノーセットで出来るのもがほとんど。
それぞれのカラーもよく出てると思います。

The Immiscible Eight (David Acer)

ノーエキストラ4-4の水油の手順です。
3フェイズになっていて、1段目だけがオリジナルとして解説されていて、その後はこれとこれに繋げるという紹介がされています。
テーブル不要でお客さんの手の中でできるルーティンなので使い勝手良さそうです。
プレゼンテーションの話も詳しくされています。

Rapid Exchange (Allan Ackerman)

4枚のジャックを別々のポケットに入れて、手元の4枚のAと入れ替わるやつ。
ノーエキストラノーギミックです。
ポケットに入れることの意味がほぼなく、テーブル上で変わるのと同じハンドリングというだけというバリエーションもありますが、これは確実にジャックだったものをポケットから取り出すところであれするようになっていて、そのおかげでかなりフェアにポケットに入れた感があります。
一方で手元パケットのディスプレイがあれするのでそこらへんはバランスの好みっちゅー感じですが、ポケットのカードをあれする技法自体は応用範囲広いものです。

A Cunning Odyssey (Jason Alford)

記憶術のデモンストレーションという形で行われるエスティメーション的な何か。
観客が取った枚数と同じ枚数を取り、お互いカットしたところからフォーオブアカインドが出る的なところまであります。
一見記憶術演出がマッチしてないようにも思えますが、フォーオブアカインドオチで割としっくりきます。
軽いセットで出来る変わった4枚出しなので結構ハマりそうです。

The Imp Stack (Mark Aspiazu)

即興の記憶術をやる方法です。
デモンストレーションと言いつつ実際に頑張らないといけないあれですが、実演レベルで考えたら解説されてるものよりもう少し楽にできるものにはなってます。
一応負担が最小限にはなっていて、それをカバーする手順が解説されてます。

Friday Night Curry (Jamie Badman)

観客が1枚カードを選び、もう1枚はデックを半分ずつ選択しながら減らして行く方法で1枚決めると、2枚がメイトになってます。
へーーそういう原理でできるのかーと思ってるとオギャアって感じの技法が出てきたりして、結局はそこのクウォリティ勝負になりますが、減らして選ぶところは自由度が高いので盛り上げるのには良い手順です。

Filling the Void (Tomas Blomberg)

複数枚のカードアクロスです。
かなり低負担で説得力ある方法で、演出がとても面白いものになってます。
特定カードの移動ではありませんが、枚数が変わるところのセリフが良く、パケットを物に見立てるので増減だけで現象がはっきり伝わる感じです。
さすが賢いっすね。

Cooking with Conn & Daley (Doug Conn)

ラストトリックで最後はAがQに変わります。
パケット独立で演じずやや直接的な技法が多いですが、対面では効果的な手順ではないでしょうか。
あれよあれよ感があって、あんまりいらんことすなって気もしないです。

Personal Slop Revisited (Paul Cummins)

スロップシャッフルを使ったトライアンフ。
直前の状態が、トライアンフでよくある形じゃなくて、そっからもっかい混ぜれてうまいこと真ん中に1枚残せるようになってます。

Going Dutch (Luke Dancy)

2枚のカード当てで、一番上に上がってくる、リバース、キックバック、フォーオブアカインド出しまである盛り盛り手順。
ノーフォースで出来て、綺麗にまとまってると思います。
この人ストリート系の商品をよく出してる人で、らしいなという感じの手順でした。

Chicago Sandwich (Steve Draun)

ミステリーカード風のサンドイッチカードです。
1枚謎のカードをサンドイッチした状態でデックの中に入れてから、1枚カードを選んでもらうとそれが消えて、謎のカードを見ると選ばれたカードになってます。
デックの中に入れるからミステリーカード性は弱くはなりますが、エンドクリーンなのでそこらへんは奥ゆかしさと捉えればかなり良い現象だと思います。
ドラウンさん、ミッドナイトシフトが使えるところで何故かビルマローンの技法を使っていました。

Travel Agent (Peter Duffie)

最近若干のピーターダフィ疲れを起こして違う本をと思って久々に手に取ったらここにもいらっしゃったのですか。
ただ、この手順は結構良いです。
現象はサインの移動で、盛り上げ方も割とよくある感じではあるのですが、ピーターダフィらしく基本的な技法を最小限という感じがうまくはまっててすっきりしてます。

Spellace (Andi Gladwin)

Aの名前をスペリングするとそのAが出てきますが、置いたはずのAがまた出てきたりして入れ替わった感じになります。
大まかな手法は特に変わったことはないのですが、スペリングでそういうことができるという件と、技法感をちょっと低減させる工夫があります。

Ever Queen Switch (Robin Gunney)

ちょっと説明が難しいですが、色違いの2デックで行うポイントオブデパーチャー的なものです。
赤から1枚選んで青のクイーンの中に入れて消えて青の中から出てくるという感じの。
これ単体だとポイントオブデパーチャーで良いのではという気もしますが、終了状態が2デック使う手順で何かができる感じになるので、レギュラー2デックで何かルーティン考えるのは楽しそうです。

Poker Face-to-Face (J. K. Hartman)

セレクトカード4枚のトライアンフ。
バラバラに戻して、表裏に混ぜて、向きが揃って同じ位置に4枚表向きで出てきます。
コントロールに特徴がありますが、手法上取り出した4枚のAとかではやりにくいのが辛いところです。
プレゼンテーション的にはその方が合ってる気がするので。

Swinging Sandwich (Joshua Jay)

ジョシュアジェイのサンドイッチカード。
限りなくモンキーインザミドル感のあるレギュラーデックでやるサンドイッチです。
1フェイズ目でこれできるのは良いですね。
ここからなんちゃらスイッチして2段目行けばかなり良い感じのサンドイッチルーティンになりそう。
技法自体はジョシュアジェイ何かで使っていた気がしますが、たぶん他で解説してないやつだと思います。

Standing Up to Ray & Bill (Nathan Kranzo)

ビジュアルに向きが変化するトライアンフです。
混ぜるところまではやらず、噛み合わせた状態で片方の向きが全部変わるように見えるのでこれはこれでインパクトありそう。
ちょっと変わったチェンジが使われてて、しんどいけど半分ぐらい面見えた状態ノーカバーなので結構綺麗に変わります。

Skrood Again! (Anthony Miller)

変則的な予言現象です。
あれこれして1枚カードを決めて、演者がカットするとハートのキングが出てきて、それは決めたカードではないのですが、決めたカードの裏を見ると、「ハートのキングだったらよかったのにね」みたいなことが書かれています。
最初読んだ時は別にこの方法でなくても良いのではということを色々考えたのですが、よくよく考えると良い感じのバランスでまとめられてるように思います。
現象的にも面白いですし、もうちょっとフリーチョイス感を増したものを考えてみたい感じあります。

Simply Mental (Jack Parker)

カードを裏表に混ぜて、裏か表か最初に決めた方を取り除いていって、最後に残った1枚が予言されてる手順です。
良い現象っすね。トランプでやると減って行く過程も楽しいです。やや取り除いていくところがもたもたしてしまうのと、ジャックパーカーさんは若干あらため過剰気味なところがあって、それいるかなーという動きがあります。
まあそこらへんは好みの範囲ではありますけども。

The Spectator Collects (Mike Powers)

3枚をバラバラに戻し、観客にデックを持ってもらい、4枚のQを表向きで乗せて、カットして広げてもらうとコレクターされてます。
コレクターでたまに使われる、もうこれでええやろみたいな手法ですが、観客に広げてもらえるまで出来るなら結構ありじゃないでしょうか。

Hull Scam (Jon Racherbaumer)

フィジカルセレクションとメンタルセレクションをそれぞれ当てます。
あーそれってそういう使い方がという感じがあって、まずそれを疑われないような感じになっててクレバーな手順。
カードを聞くタイミング的に若干演技は難しそうではあります。
でもたぶん結構不思議。

Double Open (Davis Solomon)

2枚のカードでやるオープンプリディクション。
色々とお道具が必要ですが、賢い方法だと思います。
プロブレム的な視点で見ると2枚でやるのはあれって気もしますけども、普通に2人の観客に見せるとかなら良い感じになるかなと。
ギミックの使い方としても参考になりました。

Memory Can (Paul Wilson)

記憶術のデモンストレーション演出でやる3枚のカード当て。
カード当てというか枚数目がわかる手品で、演出の重要性がとてもよくわかる一作です。
同じ方法で別の見せ方もできるでしょうが、ガチな技法を使うなら別のガチっぽい演出だとそれっぽく見えます。

Slacker (Tyler Wilson)

演者と観客が、それぞれお互いのカードを当てるという手順。
Do us I Do 形式で、実際には当てるというかカットしたパケットのトップに来てるという感じです。
そこそこ技法は使いますが、良い感じにセリフに紛れて行われるもので、そこまで注視されるところではないとこに散らされてるので普通に流せるレベルかと思います。

Still Got Room For More?

この本の表紙と裏表紙を使って手品ができるようになってます。

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