by jun | 2022/11/12


マジックマーケット2022秋にて発売されたKohei Imadaさんによるカードマジック作品集。
過去のレクチャーノート〝Screw Ball〟でコンビンシングコントロールをしたように見せて何もやってないとか、ストリップアディションしたように見せて普通にカードを抜いただけとか、いわゆるMagician Only Gag的な技法を発表しており、その可能性についても考察されていて、そこらへん詰めたやつ出してくれないかなーと思っていたらその通りの物が出ました。
これらの技法がただのギャグに終わっておらず、いかにもな動きや取らなくてもいいブレークなどを駆使して手品マニアを不思議な気持ちにさせようという手順が解説されています。
不思議な気持ちと書きましたがこれは単に不思議がらせる意味と、何とも言えない気持ちにさせる意味があって、これがマジックマニアが見るマジック特有のものとなっていて大変面白いです。
楽屋落ち的な知ってるともっと楽しめるマニアックさではなく、知識がない人が見てもなんのこっちゃとなる手順になっていて、相手がマニアでないと成立しない具合は他のエンターテイメントでもなかなか見れないんじゃないでしょうか。
現象やコンセプト自体、タイトルや文章でも笑かしてくれる本なので詳しくは書きませんが、変則的でありながら騙すための工夫は全編に散りばめられているので勉強にもなります。
過去作も好きだったので、何かをより効果的に見せるための理屈が詳しく書かれてる本としても刺激的でした。

また、ボーナスとして少し変わった技法が3つ解説されていてこれらも読み所です。
マニア相手にという本編もそうですが、特殊な条件下で強い効果を発揮するというものにら大変魅力を感じますし、アイデアが出尽くしたと言われる現代において面白い物が出てくるのはこういう所からではないでしょうか。

ニッチなテーマを取り上げつつ、構成や考え方は汎用性があり、手順もちゃんと面白い。
手品の本に求めるものが全て入ってたので、自分が見た範囲では今年のマジックマーケット1位です。

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