by jun | 2022/11/24

1953年出版のアルリーチの作品集。最近出たtrickshop.com版で読みました。
アルリーチのまとまった作品集を読むのは初めてでしたが、予想以上に面白かったです。
無理のないハンドリングと手法の特性を活かしたワンアヘッドな構成で、すっきりしたわかりやすい現象。大きなセットも必要とせず、意外性があったり手法を強化する演出も良かったです。
使われてる技法的にゴリゴリの手品人間を騙すようなものではありませんが、むしろ最近これぐらいの軽い作品集が減ってきてるように思うので、これぐらいのバランスでクウォリティの高いのが読めて大変満足。

Quad Reverse

選ばれたカードと同じ数字3枚がひっくり返ります。
表向きのセットは不要で、フォースの方法と必要な手続きとあらためが上手いこと噛み合った手順です。
現象的にもフォースの方法がそこまで不自然に感じず良い感じ。

Eight Card Transposition

4枚のAと4枚のKの入れ替わり。
トランスポジションというより、AがKに変わってAが別の場所から出てくる現象です。
デックを半分に分けて、パケット間で入れ替わる方式。
さすがにややもっさりした印象を受ける手続きがあったりしますが、無理なく鮮やかに見せる工夫が見られる一作。

Aces Red and Black

赤のAと黒のAの位置が入れ替わります。
ラストトリック系のじゃなくデックを使って。
2段構成で負担が良い感じに分散していてすっきりしつつもクライマックス感があるとても良いトリックです。
これはめちゃくちゃ気に入りました。

Ace Sandwich

サンドイッチされたカードと一番上のカードが入れ替わる現象。
トランスポジショーンという感じではなく、ちょっとしたデモンストレーション的な見せ方です。
なので不思議な感じに見せるのは難しいですが、このサンドイッチの構造は色んなことが出来るので、バリエーションの一つとして知っておいて損はありません。

A Suspicious Move

トップチェンジしたように見せて、実はちゃんと目的のカードを取っていたことを示す現象と、普通にスイッチして移動を見せる現象の2段構成。
まあアンビシャスカードみたいなもんですが、なんで逆じゃなくてこういう手順になってるのかは興味深いもんがありますね。

Spots to Spare

ピップがどうこうなる系の作品。
パケットをこすると5が4になってAが取れてる的な見せ方。
手堅いハンドリングでリアリティもありますし、この手の手順でありがちな分離した後もっかいくっつける問題も演出含めてなかなか良い解決をしていると思います。

Ace, Deuce, Trey

エレベーターカード。
最後のAでリバース現象を起こす変則型。
2ではしっかり消失を示しつつ、オチの準備もそこで出来る綺麗な手順で気に入りました。

Surprise Monte

ハズレ2つが当たりと同じランクに変化するスリーカードモンテ。
デックを使いますが、オチのために途中でデックに戻すのではなくスタート時に全て仕込める手順なのでそこまで不自然ではありません。

Peek Reverse

スペクテイターピークからリバースする方法。
技法というか、プレゼンテーションと一体になった手法でとても自然です。
めちゃくちゃ良い。

The Black Jacks

Everywhere and Nowhere的な現象。ディングルのロイヤルフラッシュのやつのブラックジャック版みたいな感じですね。
あらかじめブラックジャックの2枚を示せることや、2枚なのでくどくなりすぎないことなどメリットも多い。
というかこれ系全部好きなので好き。

A Quick Theft

カードが観客のカードに変化して、変化前のカードがポケットから出てきます。
このカラーチェンジ1953年からあったのか。

Card Case Conjuration

2段のサンドイッチカードルーティン。オチはケースの中で、というもの。
サンドイッチスイッチをスムーズに行うため、1段目も少し変わっているのですが、この2枚のサンドイッチをバラバラの位置にという見せ方もなかなか。

The Sandwich Deal

フォールスディールデモンストレーション。
実際にフォールスディールが必要ですが、サトルティの組み合わせにより負担が少なくなっています。

A Reverse Discovery

4枚のAをバラバラに戻し、それを探そうとしますがKが出てきてしまいます。もう一度デックを広げるとAは4枚とも表向きになってるという現象。
こういう現象にしてマルチプルシフト不要なのが良いし、大きな現象の割にセットも死なないからスタックの手順に組み込むのも良さそう。

A Double Coincidence

言ってしまえばフォースを使った一致現象なのですが、基礎的なフォースを強化する手順になっていて、プレゼンテーションもめちゃくちゃ面白いです。
別のデックで観客がカットした場所のカードを選んでしまっていたという見せ方なんですけど、もし1枚ずれていたらどうなっていたのかというのがオチの現象になっていて、これ自体面白いしフォースの説得力増しにも効果あって素晴らしい。

以上15作品。
これだけ外れないならしばらくアルリーチ三昧でも良さそう。

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