カードマジック事典もそれは絶対持っていた方がいいのですが、どの技法をどのマジックに使えばいいのかよくわからない上に情報量がえぐいので、マジック初めたての人にはなかなかきついものがあります。
というか最初に読んだときはあの本はそういうハードルをあえて設定してふるいにかけてるんじゃないかと思いました。
というわけで技法を覚えたごとにそれを使ったマジックも載っていて、少しずつレベルアップしていけるラリージェニングスのカードマジック入門はおススメです。
ディーリングポジションからスプレッド、シャッフルを使ったコントロール、パス、パーム、グライド、その他覚えとくと確実にどっかで役に立つ技法に絞られていて、だいたいどんなことに使うかってのがわかりやすいのが良いですね。
収録されてるマジックもちゃんとやれば受けるものばっか入ってますし、たまに入門とタイトルがついてる本としてはギョッとするようなハードコアなものもあるので割とマジック長くやってる人も読み直すと面白いと思います。
加藤英夫さんの文章も読みやすいし、挿絵もシンプルでわかりやすいです。
おぼえたカード
超基本のカード当て現象。
一番最初に載ってるマジックです。
簡単に当てれるやつですが、演技のリズムや演出などが細かく書かれてるので超参考になります。
失敗は成功のもの
いわゆるサッカートリックです。
最近サッカートリックでどのくらい失敗した演技をすればいいかみたいなことを考えていて、色んな本とかDVDとか見て考えをまとめているところです。
ジェニングス先生は一例を示しつつ「あなたの個性にあわせてとりいれるように」と書かれています。
このマジックは表向きに現れるというのがうまくて、なんか適当に選んだカードが失敗してるだけだと本当に失敗した時の保険的な印象が出てしまいます。
失敗した時の演技より、次は確実に当てるって演出の重要性というか。
フラリッシュエスケープ
名前かっこいい。
箱の中にデックごとカードを入れるけど投げると選んだカードだけ飛び出してくるというビジュアル現象です。
同じカード当てでも、普通に当てる→サッカートリック→ビジュアルと流れる構成が良いですね。
特に箱使ったマジックって楽しいのですごく好きです。
ケースに戻す時にあれする時の細かい動きを詳しく解説してくれてる日本語の本ってあんまない気がするので勉強なります。
探偵カード
みんな大好きサンドイッチカード。
最初に探偵カードって訳したのって誰なんでしょ。
この本では二枚のサンドイッチカードを探偵と助手ということに設定していてストーリーにも無理がないですが、昔はジョーカー2枚とかでやらなかったんですかね。
解決法は割とハードコアですが、ここまでに書かれてるデックの仕組み理解してればほとんどセルフワーキング、客に操作もしてもらえる手順に応用できるはず。
ポケットの中のカード
ホーミングカードのちょっとややこしい手順。好きな枚数目のカードを覚えてもらって、背中に回したデックから適当に1枚抜いてポケットに入れて、また同じ枚数配るとさっきのカードじゃないからポケットに入れたのが当たりでしたという。
パームやリプレイスメントのタイミングを勉強する手順という感じがします。
なんかもやっとしたものが残る気がしますが、よく考えれば考えるほど不思議さがじわじわくるタイプにも思えなくもない。
スローイングカードスタブ
カード当てですが、最近ちょっと流行ったパラパラした中に適当なカードを投げ込んでその隣が客のカードというやつ。
本で解説されてる方法は比較的難易度は低いですが、スタイリッシュに決めるとかっちょええです。
最近だと投げるカードは表にしたりしますが、この本では裏向きのままやります。
どっちがええんでしょか。
アンビシャスカード
なんかマジックの枠ではなく、技法の組み合わせっつーことで解説されてます。
カードマジック事典に解説されてるアンビシャスカードは非常に難解で、文章だけで理解することがほとんど不可能なので、シンプルに解説されてて良いですね。
ストップカード
客がストップしたカードが狙いのカードというやつ。
うまくやればエニエニとかとそんな変わんないインパクト与えられる気がするのでこの手の現象好きです。
解説されてるのはたまにフォースでも使ってる人がいるあれですね。
ちょっとだまくらされた感が残りますが、コスパはとても良いです。
笑ってください
客のカードが入ってるのにこの中にはありませんって言うタイプのサッカートリック。
これ系は本当セリフがむずくて、「いや、あるやん」て言われたら終わります。
フォーエース
4枚のエースの上に3枚ずつカード乗せて、1箇所にエースが集まるあれ。
加藤英夫さんのマジシャンズチョイスが解説されてて、実践を元にした確率論は参考になります。
よんぶんのいちの奇跡
観客が思っただけのカードを当てるレギュラーの解決法。
タイトル通り4分の1の縮小版です。
赤と黒のミステーク
あなたが選んだカードは赤のカードだと思いますのでーと言って赤の中から1枚選ばせるも、選んだのは黒いカードだからーみたいなサッカートリック。
これも技法のタイミング掴み練習用といった感じです。
フォーエースプロローグ
エースオープナーです。
全て観客に操作してもらえるしカード当て要素もあるし良い手順です。
トライアンフチックでもあるし好き。
あなたの後で
お客さんに背中の後ろでカードを1枚ひっくりかえてもらうやつ。
エンドクリーンかつ処理を現象にしてて好きなマジックではあるのですが、お客さんが失敗するリスクが結構あって、体の柔らかそうなお客さんを選ぶ選眼が必要。
最後の1枚
16枚のカードの中から選んでもらって当てます。
ぶっちゃけあの配り方が好きじゃないのであれなのですが、原理自体を知ったときは感動しました。
なんか合理的にあれをやるあれがあればよいのですが。
ソルトレス
ちょっと面白い動きのカード当て。
今だとフラリッシュ的なあれで解決しちゃう人が多いでしょうけど、簡単は方法でもなかなかスタイリッシュに見えます。
結構好きです。
コインカット
コインを使ったカード当て。
コインの消失とクラシックパームが必須のコインマジック!
挫折感を味わうのに最適。
イモーショナルリアクション
ちょっとしたキーカードの応用みたいなカード当て。
これ普通の人には普通のキーカードと差がわからないので、うまくやってマニアを引っ掛けましょう。
4枚の一致
客に混ぜさせたデックをポケットに入れてポケットの中から4枚のエース出すやつとその応用。
これめっちゃ好きです。
最近マニアの人にRippingの練習してんすよーつってポケットの中でもできると言ってこれやったらめっちゃ受けました。
小さな奇跡
シンプルなチェンジによる何か。
パックの中のトランスポ
みんな大好きトランスポ。
ビジュアルではありませんが表向きに出てくるのでわかりやすくていいです。
オフビート使うパワープレー好きです。
ここまでが技法のおさらい的なマジックで、こっからは「カードマジック傑作選」というやばい見出しがついてます。
序盤はジェニングスが原案のもの、後半は日本人マジシャンによる作品です。
オープントラベラー
いきなり傑作きました。
完全に見えないのに移動するやつ。
これ最初にすげえ上手い人に見せてもらって未だに衝撃あります。
こういう気持ち悪ってなるマジック大好き。
ファイナルタッチ
8枚の中から選んでもらって、マジシャンが1枚これっていうけど違うくて、それが変わるというサッカートリック。
サッカートリックに遊びでギャンブル要素を入れるやつ、面白いけど日本でやるのなかなか難しい。
あと「外れてたらおかねあげるよ!」とかやるとどうせ当たるんやろ感が出るし本当に難しい。
おかしな出来事
ツイスティングエーセスのクイズ形式みたいなやつ。
最後のセリフが「おかしい…おかしい…」で終わるように書かれてて好きです。
文字で見るとなんかサイコホラー感。
ギャンブラーズエーセス
トライアンフでA4枚を出すみたいな現象です。
あれするところがとても巧妙でとても好み。
Aがバラバラに分散する工夫もされてて良いですね。
読むとややこしそうだけど覚えたら一瞬。
オブザベイションインカラー
2枚当てるカード当てで、パケットの中のツイスト現象とキックバック的な効果があるマジックです。
2枚のコントロール法も解説されていて良いです。
観客に2枚覚えさせるの負担だからそれに見合う効果あるやつをやりたいもんですが、こういう色んな要素があるのは楽しいですね。
リーピング ジ エーセス
観客に4つに分けてもらって、そのトップカードが4Aになってるというエースオープナー。
個人的にこの本の中でベスト、エースオープナーの中でもかなり好きな部類です。
解説見ると好みはわかれるでしょうけども、示し方が巧妙で本当良いです。
なんかこういうのがマジックだよなって感じします。
プリフィギャレーション
観客に混ぜてもらったデックから予言のカードを出して、デックを配っていってストップをかけてもらいます。
そこから予言が当たってクライマックスにもうひと盛り上がりあるという現象ですが、ほとんどセルフワーキング。
これもかなり好きで、即席で負担も少ないのでこれからマジック始める方によくオススメしています。
まぼろしの訪問者
傑作ビジターですね。
カードの移動はビジュアルなのも面白いですが、こういう巧みなディスプレイで見せるのもマジック感あってよいです。
この見せ方の発明はやばくて、なんとなくサトルティってこういうことかなと思ってます。
東京湾の「水と油」(加藤英夫)
枚数を明かさないタイプのオイルアンドウォーターで、加藤さんらしいストーリーがついてます。
今でもたまにこれ的な動きで解決するやつあると思いますが、これが初出なんですかね。
ラリーさんもびっくりした手順だそうです。
コメディ ダンバリーディリュージョン (加藤英夫)
出したカードから少しずつヒントを得ていって探すカードに辿りつくダンバリーディリュージョン。
加藤さんバージョンはお笑いムードで、裏面や紙質などもヒントにしていて、最後に示されるものは…というのが面白いです。
ああいうセリフをドヤ顔で言う感じがすごい好きで、サッカートリックの演技問題の解決法なのかなと思います。
ファクシミリ (沢浩)
でたー!
個人的ベストオブこの本に入る傑作。
古い本は別に古臭いわけではないです。これ見て吹っ飛びました。
Dan & DaveのDVDに収録されていてもおかしくないぐらいのハードコアなカードの移動現象です。
「入門」とついてる本にしては難易度高めですが、是非マスターしたい作品。今となってはファクシミリという響きに味わい深さもありますしマジ傑作だと思います。
タイクーンエーセス (前田智洋)
フォーエースにどんでん返しがくっついてる濃厚手順。
前田さんて結構色んなフォーエースやってるけどレギュラーでできるしこれはかなり良いんじゃないかと思います。
なんか3回同じことが起こるだけより大落ちがある方が好み。
心の中で…(鈴木徹)
フォースとコントロールを使わず、引いた2枚のカードの数字を足してもらってその枚数目のカードを当てるマジック。
やはり引いたカードを誰も触らないってのは不思議ですね。
多少の準備は要りますが、それを理由に敬遠してるマジシャンも多いのでマニアひっかけるにはこういうのがよかったりします。
この手のマジックの中では観客への負担も少ない方じゃないでしょうか。
ダブルダウン (片倉雄一)
また傑作が来ました。
4枚のカードが2回変化します。
ダブルショックやダブルダウンは今でもYouTubeで色んな人がアップしてますね。
ダブルショックの方がシンプルで直線的ですが、ダブルダウンの祭り感ある複合マジックも捨てがたいです。
ハーレムダンジョン (下村知行)
4枚のQを箱の中に戻すと、デックに混ぜたはずの観客のカードがはさまれています。Qを表向きにするとJに変わるお土産つき。
ハーレムに行くとどうなるかというストーリーが非常に面白いですし、極めてフェアに見せられるので大オチのどんでん返し感も強いです。
めっちゃ好きなマジックなのですが、とある理由により現行デックでは演じにくくなってしまってます。
本当、なんで今まで通りにやってくんねーんだって話は、先日更新された情報量がやばすぎるコラムに書かれていました。
U.S.プレイングカード社製カードの質の時代変化 コラム:マジックショップのフレンチドロップ。
インターナショナルカードトリック (近藤博)
フォーエースで始まって、52枚全てフォーオブアカインドで出すというやば手品。
最後に相応しいやばさがありまして、セットするのも読むのも大変ですが、一回手動かしてみると掴めます。
ここのオチの挿し絵がすごい好き。
ということで載ってるマジック全部おさらいしましたが、個人的ベストは「リーピングジエーセス」「ファクシミリ」「ダブルダウン」「4枚の一致」「ハーレムダンジョン」「プリフィギャレーション」あたりです。
入門書でカード当て以外のがいっぱい入ってるのは良いですね。
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