by jun | 2019/10/18

1985年にジャスティンハイアムが出したカードマジックのノート。
West End Card Sessionと同じく、Vanishing IncでジャスティンハイアムのDLC以外の商品を買うとおまけで電子版がついてきます。
内容はカードマジック12手順、初期の作品集ということもあってか手法も現象も比較的穏当な感じです。
序文に、一般の人に手品することがあんまないからプレゼンテーションのアイデアはないよということが書かれていて、解説は淡々とカードと指をどう動かすのかのみ書かれています。

High-am Rise

スペードのA,2,3を使ったエレベーターですが、最後にその3枚がハートのカードに変わります。
ほぼ普通のエレベーターカードと同じストレスで演じられて、構成的にも綺麗。
ただ、どう見せたものかというのは難しいところで、移動の後に変化というのはどうも食い合わせ悪いように感じます。
移動のところのクリーンさが下がるのもややマイナスでしょうか。
移動現象で押し切るなら同じ仕組みを使って、最後はバラバラに入れた3枚同時に上がってくるという事はできそう。

One By One, Ascanio Style

カード1枚覚えてもらって、クラブの1〜4のカードを使ってツイスト現象を見せ、最後に覚えてもらったカードが出てくるという感じ。
タイトル通り、ツイスト部分はアスカニオスタイルで終始するのが良いところです。
まあカード選ばれた後に唐突にパケット化するのはあれと言えばあれなのですが、比較的すぐ終わるしカード当たったら意味わかるのでこの手順に関してはそんなに嫌じゃないですね。ちょっとだけ嫌です。

The Lap Side Steal

ロンギディチュナルアングルパームに入るサイドスチール。
前から差し込むんじゃなくブレイクから出来る方法です。
ダイアゴナルパームシフトで似たような考え方のはいくつか発表されてますが、指開いた右手に入れれるのは結構便利かもしれません。

E.Z.2 Third Version

カード1枚選んでもらって、それとは別に3枚の適当なカードの裏にサインしてもらい、それをKの間に交互に挟み、箱の中に入れるけど抜け出して、表を見ると選ばれたカードのフォーオブアカインドに変わってるみたいなやつ。

これはとっ散らかってるようで意外と食い合わせ良い感じのごった煮だと思いました。
裏にサインさせれば移動も変化も二度美味しいが味わえるはず。
まあ普通はインターレースドバニッシュのとこだけで十分かと思いますが。

The Carnivor-ace Aces

A4枚で2枚のカードをカニバルした後に、Aが1枚消えてデックの中から表向きに現れ、その両隣に食べられたカードがあります。
手順はすっきりしてて良いです。
食べる側と食べられる側が一緒に移動するので、カニバルカードの文脈でやると演出はちょっと厳しくなります。
食べたと思ったけど実は逃げてただけでガチ食人族が探しにいったとかそういう感じでしょうか。

Revolving Aces Lead In

ザローのRevolving Acesを4枚のエースを出した状態から始めるための方法。
Revolving Acesの解説はありませんが、観客がエースを探す系のトリックで、表向きのセットが必要なので演技の途中に組み込むのは難しいあれです。
これ、ちょっとやり方変えれば表向きの場所も枚数もいじれる考え方なのでRevolving Acesやらなくてもそういうセットがいる手順をオープナー以外でやるのに覚えてると便利かもしれません。

The Bold Assembly

特徴的なスイッチを使うアセンブリです。
ブラウエアディションやマルチプルターンオーバーと違ってひっくり返すカードが確実に4枚なことを示せます。
ただし、前後に半端ないシワ寄せが来ます。

Paddling in the Oil and Water

あーそれをそう使いますかという感じのオイルアンドウォーターです。
もう少し見せれるカードが多ければなーというのはあるので、何か前振りがあれば効果的かもしれません。
あとまあ最後に1枚移動させる必要がある系ではあります。

Kard Kontrols 3 and 4

2種類解説されてますが、どちらも同じ系統のトップコントロールです。
どうやっても角度はかなりきつめ。
このバリエーション的なやつをふじいさんが発表してましたね。

No-Force Impossible Countdown

一捻り加えたナンバートリック。
観客の選択によってカードが選ばれ、そのカードの枚数目から選ばれたカードが出てきます。
一捻りというかちょっと回りくどくはなっているのですが、観客の選択は自由なので、そこの自由度をうまく強調できれば不思議に見えそうです。
コントロールの必要がないのも良いですね。

The Crandall Assembly

スローモーションエースです。
レギュラーでパームを使わない方法。
パームを使わない分別の接触があるわけですが、消失を確認してからの操作になってたりして巧妙です。
マットを使わないラフな環境で強そう。
最後だけはちょっとあれなんですが、あんまり強い移動としてでなく、こうすれば消えるという見せ方なら耐える感じでしょうか。

全体的に使う技法にクセがあり、あまり使われない技法をよくある手法に代入したり、本来は別の使い方をする技法をそこで使うのかということがあったりします。
ただまあ動き自体はマニアが見ると あっ てなるものが多いので、完全に騙し果せるような感じではありません。
一般の人に見せないと言ってますが、現象自体伝わりにくいものはそんなないし、パッと見こねくりまわして拗らせた感もないので普通に見せられるものだと思います。
技法の使い所は関心はしてもベストとは言い難い、でもベストとは何かみたいなことを考えさせられる本です。
こないだ友達の家にいったらボートを縦に立てかけて仕切りをつけて本棚にしてるものが置いてあって、洒落てるしなんか良いけどやたらかさばるし無駄なスペース多いし本棚としての機能はお前それって感じで、でもその目的をギリ見失ってない拘りバランスが何かをくすぐる気がします。

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