by jun | 2022/05/03


マジックマーケット2022春にて発売された万博さんによるカードマジックの作品集です。

特殊な読書体験が出来る手品の本なので、あまりどういう内容か知らずに読んだ方が良いと思うのですが、公式の紹介文では「何の脈絡もなく最後にロイヤルストレートフラッシュが出てくる手品」が5つ載ってる本だと書いていて、実際に何の脈絡もなく最後にロイヤルストレートフラッシュが出てくる手品が5つ載っています。
決め台詞は「で、これがロイヤルストレートフラッシュ」。
この「ロイヤルストレートフラッシュ」というのが絶妙で、強そうな名前で実際に強いんだけど手品のキッカー感としてはなんとなく地味な一面も持ち合わせていて、手順に組み込むのに扱い辛い5枚という数の微妙さとか、この感じが本書のメッセージ性の部分をはっきりさせていると思います。
手順は綺麗です。脈絡はなかったりあったのに見ないフリをしているものまでありますが、ロイヤルストレートフラッシュを出すこと自体に無理はありません。

人は良かれと思って更なるアゲ感狙いのクライマックスを見せます。手品を売ってる人も良かれと思って…と信じたいですね。
ちょっと手品に慣れてくるとこれは蛇足であるとか前の現象を台無しにしてしまってるというような判断が出来る様になってきて、 その判断は手品によるとしか言いようがない部分も多いけど、少なくともこの本を読めば「出来るからやるんや!」というのがまずいということが今後の手品人生で二度と忘れないぐらい深く刻まれます。
単純にこういうのが良くないというわけじゃなく、勢いの良さというのは否定しがたいというところや、言葉を尽くせば良くなるとは限らないってことも手順から読み取れるので、考えるところはとても多かったです。
ゴリラといい、手順で語るスタイルは納得度が高く、じゃあこの場合はどうなんだと考えを広げるのにとても役に立ちます。
少なくとも自分が演じる手品については何故「で、」と繋がるのか人に説明できるくらい理解しておきたいと思いました。
読んだ順番の関係で販売期間中に紹介できませんでしたが、楽しく学べる本なので購入できる機会があれば是非。

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