2015年にVanishing Incから出たキッズショーに関する本。
キャラクター、セットリスト、オーディエンスマネジメント、ルーティン、セッティング、マーケティングの6章に分けて著者の経験を基に解説されていて、考え方の基本みたいなことがまとめられているので自分なりの演技を構成する助けになります。
David Kayeの「マジシャンのためのウケるキッズ・ショーの作り方」は読んでないので細かい比較はできませんが、目次だけ見るに結構カバーしている範囲は似てそうです。
このKids Show Masterplanについて言えるのはキッズショーに限らずサロンやステージで手品する場合にも約立つ本であるということで、トリックの種類を分類したり、どういう場所でどういう手品を演じるべきかという話は単純にレパートリー管理の助けになりますし、手品以前のセッティングの話は場数あるプロの話が一番参考になります。
この本では子ども心理に特化した解説ですが、観客によって適した演目と演じ方があるということがよくわかるので、キッズショーする予定とかない人間が読んでも学びの多い一冊でした。
Character
主に衣装の話をしています。
5人のマジシャンを例に、それぞれの衣装がペルソナのどういう部分を強化しているかという話でおもろいです。
カラフルなピエロっぽい衣装から普段着っぽい服のマジシャンまで紹介されており、それが子どもにどういう人に見えるかという分析をしていて、キャラクターに合った衣装という話としてとてもめちゃわかりやすい。
著者のDanny氏はカラフルなジャケットを着ているのですが、彼がそれを選択している理由というのは多くのマジシャンが取り入れやすい考え方だと思います。
Set List
観客の参加のさせ方とトリックの種類をカテゴライズして、それを子どもがどう認識するかという事が解説されてます。
また、著者が使ってる道具が30種類リストになっていて、ざっと見るに現象がわかりやすくコメディ演技に向いていて、持ち運びもそんなに大変じゃなさそうなのがまとまってます。知らないのもあったので収穫。
具体的なセットリストの例も、どういう考えでこういう手順を取り入れているかというのが書かれているので参考になります。
特に観客にどう参加してもらうかに気を使われていて、こういうのはクロースアップの手順の組み方にも取り入れられるんじゃないでしょうか。
Audience Management
子どもに手品を見せる時に一番難しいであろうポイント、そもそもちゃんと見てくれるのか問題。
子どもはどういうものに気を引かれるのかという例が10個リストになってます。幼稚園の先生的なアプローチと手品の組み合わせで、理にかなってる方法です。
あと、子どもを泣き止ませる方法についての話。ここでも子どもが泣く理由を細かく分類してそれぞれなどう対処すれば良いかという話がされてます。例えばショー自体は上手くいって終わった後に泣いてる子がいたとして、それはアシスタントをやりたかったのに機会が回ってこなくて悲しくて泣いてるパターンが多いそう。そういう子には何をしてあげればよいか、とか。
Routines
7つの手順が解説されています。
個人的に気に入ったのはテーブルクロス引きみたいなことを帽子でやる”Hat Trick” (Todd Kearby)とお札出現の”Clay Feat” (Michael Brandwein)の2つ。どちらもキッズショー向けの演出になっていて面白いです。お札出しは特に気に入りました。
著者の手順は子どもがうさぎに変わるイリュージョン手品で、大掛かりな仕掛けと創作の背景が解説されていて読み応えあります。
Show Setting
ホームパーティ、ショッピングモール、コミュニティセンター、体育館と、それぞれの会場のセッティングについて解説されています。
ポイントがまとまってるので、でかい場所で動かせるものにも制限があるとこでベストを尽くすのに参考になりそうです。
椅子がない場所だと子どもはどんどん前に来るからマスキングテープを忘れずに、などキッズショー向けの指南も充実しています。
Marketing your show
マーケティングについて。
とにかく名前を覚えてもらうことが大事という話がメインなのであんまりゴリゴリした内容ではなく、やるとやらんじゃ効果がまるで違うというのもわかりやすいです。
この辺は子どもにアプローチするだけじゃないので仕事増やしたい人は参考になりそう。
全体的に手品好きなら読んで損ない内容です。
子どもに手品する機会はそのうちあるでしょうし、読めば読むほど子どもがいかに感受性ビンビンかというのがよくわかるので子どもに手品見せたくなります。
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