2006年に竹書房から発売されたヒロサカイさんによる一般向けの手品解説書。
写真が時空の魔術師風で著者がヒロサカイさんで帯にDr.レオン氏の推薦がある入り組んだ表紙が楽しい一冊ですが、解説されてる手品も楽しいです。ついでに章題も楽しい。
特選!カードマジック、注目度抜群!「お金」マジック、紳士淑女のたしなみ!ハンカチマジック、見れば真価がわかる!完全日常品マジック、観客騒然!パーラー・マジックの5章からなり、全部で25種類のトリックが解説されていて、書き下ろしのオリジナルトリックも含まれます。
一般解説書定番の手品も多いですが、いずれも一工夫されており普通に勉強になります。
例えば棒でおまじないをかけてお札を消す手品。これのクライマックスの見せ方がとても良く、初めて手品する人が演じやすくもなってると思います。これはマックキングのアイデアとのこと。
オリジナル手順は2枚のお札が貫通する”ミラージュ・ビル”、めちゃんこビジュアルかつ手軽に出来る傑作です。
他、お気に入りをいくつか。
カードの章ではAとKが出るやつの観客の自由度を増やす工夫が良かったです。この手の手品を初めて読む人には良さが伝わりにくいかもしれませんが、2種類のフォーオブアカインドを出す方法としてとても良いものだと思います。
あとはアウトの面白さがわかる手軽なCAANがあったり、クレバーなカードインフレームがあったり、現象も散ってるので十分カードのルーティンを組める1章。
お金の章は”コイン・イン・缶”の手順がとても良かった。空き缶の口から500円玉は入らないのですが、ハンカチの中でやると入って、取り出すところは見せるけど観客がもう一度入れようとしても入らないという現象です。
ハンカチも粒揃いの章で、サイズが変わったりコインの貫通があったり安全ピンが移動したりと現象のバリエーションも豊か。
日用品のチャプターは完全に即興で出来るものが少ないですが、準備さえしておけば安定して出来るものが揃っております。
ストラップの貫通は即興かつハンドリングも非常に良いもので、道具がいらない中指が消えるやつもかなり凝ってて面白かった。
パーラーマジックの章では長谷和幸さんの”ミッシング・ピース”という作品も収録されています。これは予言の見せ方が面白い一作で、予言の示し方に説得力があり、ただフォースして予言ポンとかより見せやすい手品ではないでしょうか。
ティッシュの復活はいわゆるサカーナプキン的なあれで、これも非常に演じやすいハンドリングです。
あとおまけ的に電卓の手品が2つ解説されてまして、単なる算数ではなくしっかり手品として見せられるものでこの辺も気が利いています。
DVDがついていて演技も解説も見れますが、文章も初めて手品学ぶ人が読んでもポイントがわかりやすいものです。解説されてるトリックがシンプルなこともあり、手品の面白みも伝わりやすい一冊ではないでしょうか。
ヒロサカイさんの一般向けの本はほとんど読んでるけどこれが一番幅広い層に推せます。
Comments
No comments yet...