by jun | 2018/04/23

この本はAmazonのKindleストアに並んでて、一部で話題になってるよーという話を聞いて読んでみました。
Kindle Unlimied対象本なので会員だと無料で読めるってのも読んでみた理由なのですが、普通に598円で買って読んでも得した気分になれるぐらい面白かったです。

progressive | 西野康介, 天野悠人 | ノンフィクション・伝記 | Kindleストア | Amazon

不勉強にも知る人ぞ知る天才マジシャンの存在は知らなかったので良い機会でした。
購入者特典の動画はたぶんこの本読む人で知らない人はいないんじゃないかっていう内容です。
Unlimitedの読み放題で読む人向けなのでしょうか。
あと「20収録」って書かれてますが、1巻と2巻に分かれてて各10個ずつの収録になってます。

Small illusion

セレクトカードとステージマジックのアシスタントに見立てたQ2枚を使った交換現象。 

カードを何かに見立てたストーリーは紙芝居みたいになるやつはあんま好きじゃないですが、これは筋も通るし別ジャンルのマジックをカードでやるというのも面白いです。
明らかにお手軽版って感じが出てるのも好み。
手法はジョンハーマンの「Pick Pocket」やそれを元ネタにした荒木一郎さんの「スリ学入門」に近いです。
写真の使い方とか各マジックごとにデックを変えるあたりの構成が荒木一郎本っぽいのでたぶんそっちに影響受けてるんじゃないでしょうか。

Idea of reversal

予め出しておいた色違いの予言カードと、使用するデックのバックの色が逆転する。

カラーチェンジングデックを予言で。
Odd Man Outってやつでしょうか。
全体がカラーチェンジするバージョンはパトリッククンがやってましたね。
本作はエンドクリーンじゃないのがちょっと。
個人的な好みだとこれ系はギャフ使ってでも綺麗に全部変わったとこ見せたいです。あれの仕方も制限あるので好み分かれるあたりでしょうか。

Bended deck

デック1組を折り曲げてミニデックへと変化させる。さらに、そのミニデックを使って意外な方法でセレクトカードを当てる。

ミニデックへ変化した後の処理とその後のカード当てがリンクしてて良いです。
こっちはギャフ使ってエンドクリーン風にしてるのでトリックによって色々バランスを考えられてるのだと思います。
この本出たのは去年らしいですが、最近バイシクルミニ出ましたし需要ありそうな手品。

No one knows

完全なフリーチョイスによって選ばれたカードが、予め用意した予言と一致する。

お客さんにデック渡して混ぜてもらって目の前で予言書いてお客さんの手の中でカード引いてもらって当たってるというもの。
怪しいことするとこの動機はちょっと弱い気もしますが手法は素晴らしいです。
でも最後もお客さんにカード開けてもらえるので、ちゃんとゆったりした雰囲気作れればそんなに気にならないかも。

Flash collector

相手がコールした数字のフォアオブカインドが一瞬にしてトップから現れる。

なんか説明文だとフラリッシュ的なエースプロダクション的なやつ的なものを想像してましたが、お客さんと一緒にシャッフルしてトップ4枚がカインドしてるって感じです。
チャドロングの「Shuffling Lesson」をもっとお客さんに混ぜた感を与えるようにした版で、コールする数字もフリーチョイス。
シンプルな解決法でマニア受けはしないかもしれませんが、お客さんに混ぜてもらう時に使える手法です。

Separate deck

O&Wのニューアプローチ。

3枚3枚からフルデックのオイルアンドウォーター。
3枚3枚は普通のやつですが、フルデック戻る前のサトルティが良いです。
これ系はダニダオルティスの「Da Ortiz & Walter」が最強だと思いますが、お手軽にできて強い印象を与えれのでこっち使う機会もあるかも。
先にオチを暗示するような始まり方をするのでシャッフルはちょっと気になりました。
サーストンガチ派ではありませんが、言っちゃう場合はその後の動きにそれなりの説得力が必要だと思っていて、この手順の場合はよくフルデックのオイルアンドウォーターで使われるお客さんに混ぜてもらう方法でもよかったんじゃないでしょうか。
その方がサトルティもよく働いてくれる気がします。
小道具の使い方とかはとても素敵です。

White dream

演者が見た夢について語りながら行うブランクデックルーティン。

ストーリー重視系のブランクネタ。
ブランクがラストに全部普通のトランプになります。
どちらかというとブランクが普通のトランプになるより最後ブランクになっちゃったの方が好きで、普通のトランプになった方がその後トランプ手品できるやんという話もわかるのですが、その後それ以上のインパクト与えるの結構難しいよなというのもありますし、全部真っ白のトランプですっていうのを説得力持って演じるのが大変です。
なのでなんか夢の話とかして誤魔化すっていうのは結構良い気がします。

ほとんど同様の手順でガスタフェローの「Truth in Advertising」というのがありますが、こちらも演じやすいお話がついててサトルティも良いのでおすすめです。

Inaudible “Stop”

相手の”心の声”を聞いてセレクトカードの位置を当てる。

ブルースサーヴォンの「Think Stop」にシャッフルを加えたバージョン的なものでしょうか。
シャッフルはやや負担ある感じですが、ちょっとあれしても大丈夫なようになってます。

Back to location

相手に”ラッキーカード”を渡し、裏向きのデックの自由な場所に差し込んでもらう。デックを表向きにするとニューデックオーダーとなっており、自由に差し込まれた”ラッキーカード”はあるべき場所に位置している。

この本の中では一番繊細な技法を使うマジックですが現象はとても良いです。
オーダーオチなので戻るべきところにカードが戻されるというのもとても綺麗。

REWind

 ”時間の巻き戻し”をテーマにしたアンビシャスカード。

これはオチは書かない方が良いと思うので伏せますが、似たようなオチのアンビシャスカードは昔マジックバーでオリオンがやってて憧れがありました。
非常にわかりやすい現象なので、各技法のクウォリティ次第だと思います。

というわけで前半10手順。
結構やってみたいと思えるものが多かったです。
個人的ベストはNo one knows。
写真も多く、一回読んだら写真だけ見れば手順追えるようになってるので良いです。
細かい動きやセリフも気が利いてるとこがあって面白かったです。

全部裏の色違いましたとかオーダーオチとかブランクネタは何をやってもインパクトを与えることができますが、まだまだ色んな演出の見せ方ができるあたりだと思うので試行錯誤も価値があります。
もう少しそのあたりの制作過程や影響受けた元ネタを書いていただけると嬉しかったです。
天才マジシャンの思考回路を読みたいのです。

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