by jun | 2019/12/23

マジックマーケット2019で発売された作品集で、「らららこっぺだん」というグループのメンバーが1つずつ作品を解説してるDVDと冊子のセットです。
DVDに全ての作品の演技動画が入っていて、解説はDVDと冊子に分かれてる形になってます。アンソロジーだとそれぞれ解説したいスタイルも異なると思うので、手間を惜しまず頑張っていて素晴らしいと思います。
冊子はDVDのケースに収まってるし、アートワークもめちゃくちゃ凝ってて色んなところにこだわりを感じる作品集で、それぞれの作品も尖っていながら丁寧に作り込まれてる印象を受けました。

Casta (ゆーや)

スーパー鮮やかなペンのカラーチェンジです。
ペンならではの特性を活かした連続チェンジになっていて、見た目も仕組みもめちゃくちゃ面白いです。
特に最後、これは賢い。ハンドリングもめちゃくちゃ良いです。
結構練習はいるけど、演技見て絶対難しいやろこれと思ったよりはかなりお手軽に出来るようになってます。
セットも準備も特にややこしくないしポケットにいれておけばいつでも演技可能なのが良いですね。
サイン書いてもらう前にこれやるとしたら演出も色々考えられそう。

Spellbound (らる)

連続するコインのスペルバウンド手順。
この作品集の中で1番難しいです。コインマジックの中でもなかなかの難易度なんじゃないでしょうかこれは。
特に最初と最後ですね。バックビューだけで笑える系。
解説見た後に演技見てもそんなことやってるようには全く見えないし、かなり安定してやってらっしゃって凄まじいテクニックです。
間の3段階は綺麗に繋がっていて、全部撫でると変わるのですが手法が上手いことずれててめちゃくちゃ良い構成だと思いました。
ここはカバーが入るので比較的楽ですが、軽く撫でただけに見せるのはかなりむずい。
なんかでもここの綺麗な流れがあるから上手い人が上手くやってるだけという印象はなくて、発表する作品としてそこらへんのバランスが良いと思いました。
もっと鬼畜なのも全然出来るのでしょうし。

Stolen Face (こっぺ)

バックオフの手順です。
4枚のカードが1枚ずつひっくり返っていって全部のカードが両面裏になります。
1枚ずつひっくり返っていってから両面見せるところの流れがめちゃくちゃ綺麗で超軽いハンドリングで出来るから「裏返ったのではなくて両面裏になった」というところに強い説得力があります。
ここが自然だとビジュアルに戻るところも気持ちよいです。
何回か動画見たけどカード何枚使っても無理やろって感じの説得力とカジュアルさがあります。
手法的にも面白く、肝になるアイデアも良いしそれがあっても自然に見せれるようするのはなかなか大変だったろうなという感じ。
オールバック系の手順はディスプレイにストレス感じる部分があるのが多いですが、これは全然そのままでもいけます。

Hearts Assembly (せぶん)

ピップを飛ばしまくるパケットトリック。
1段目はトランスポジション、2段目は飛ばしまくって変なことになります。
この変なことというのが良くて、レギュラーデックだけで超変なことが起こったって感じが出せてます。
そんでその前振りとして単純なトランスポジションをピップの移動で見せるのがめちゃくちゃ良いです。
ありえない事が起こる前にわかりやすい現象でしっかりコンセプトを示して後半に想像力を働かせるようになってるのが見事。
ピップ移動のマジックは色々ありますが、ある現象の示し方としてピップを使うという意味ではSadowitzのアンビシャスカードなどを連想しました。

おまけと言われてる3段目もメンタル風味がありながらピップ移動の軸はブレてなくて好きです。
さすがに元に戻らんと気持ち悪い現象なので、インパクトある手順の畳み方としてしっとりしてて観客が自由に決めた数字が影響するというハードルの上がり方もあるし良いと思います。
ビジュアルにやろうとしたらMORFでピャッとかでも良さそうですが、この手順にはお茶漬け的なあっさりエンドの方が向いてる気がします。

Re collecTor (ひー)

選ばれたカードと同じ数字のカード3枚を挟む型のコレクターをやろうとしますが、あれっていうことが起こります。
とても面白い発想で、あれっていうことが矢継ぎ早に起こるのが楽しいです。
畳み掛ける感じではありますが、1あれっごとに止まれるので好みのテンポで演じられ、混乱させずにあれっていう感覚を残せます。
最終的にはなんでそういうことになったのかというあれっが残って、この余韻がとても良いです。
細かい技法は要りますがオートマティックに事が進む感じのカード配置も良く、コレクター部分も何かを頑張ってる感じがしないしずっと裏向きに置いてたカードには触れずにキックバック感を出していてとても良い構成だと思いました。
この周辺情報だけで何かを錯誤させる感じが手品やなーって感じで好きです。

3 Coins Across

ノーエキストラでテーブルを使わない3コインズアクロス。
この作品集の中では一番クラシカルな現象で、見た目をシンプルにする方向の作品です。
各段階に工夫があり、スタンディングながらコインをあっち持ったりこっち持ったりしてる感じがしません。
アヘッドを稼がない手順なので、それぞれ使う手法は他の手順にも組み込めるかと思います。
特に2枚目が凄くて、これは会場で見せていただいたのですが、映像で見るより距離感と立体感がある方が錯覚が強くなりそうな気がします。
問題はここで使う技法が解説されてる資料があんまりないことなのですが、最近ミゲルアンヘルヘアのEssenceの在庫が復活していて、あれは日本語字幕もついてるし手順もめちゃくちゃ良いので買いましょう。
ワンダラーだと難しくなるけどここで使われる方法なら安定はするので練習すればたぶん大丈夫。
3枚目の移動前のサトルティはあれしてからもたつかずにパッと手を開けるので、お客さんにコイン持ってもらうようにするエンディングにも向いてそうです。

というわけでとても良い作品集でした。
発想そのものが面白いわけですけど、才気走ってるだけという感じがなく、よく調べてよく考えられてる手品が揃ってます。
なんとなく売り切れてから拡散希望しようかと思っておりましたが、現在マジオンで取り扱いがありますので早く買っといた方がええですよ。

つぶやきぷろだくしょん RT – マジックショップMAJION

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