マジックマーケット2022春にて発売された西乃幸助さんによるカードマジック作品集。
この本はコールカードで演じるトリックがテーマになっていて、10個の作品が解説されています。
コールカードで現象を起こすにはいくつかアプローチがありますが、重要なのは観客が言ったカードを探してるように見えてはいけないことで、この本ではいくつかの方法でこれを解決していました。
例えば “SCENARIO” という手順。
コールカードが予言されているという手品で、これはコールカードが重要であるのにその事は意識させない作りになっていて、表向きでカードを広げていてもコールカードを探してるようには見えません。
この考え方自体は既存のトリックの応用ですが、より手軽に行えるようになっていて、演出とセリフも上手いです。
“STEPWISE CONTROL” はカードが決定してからは探してる感出さないコールカードのコントロール。
シャッフルしてもらってから行うもので、その後に表を見ないといけないので文脈と演技力が必要とされますが、そこが上手くハマればというところでしょうか。逆に演技力が肝の手品は当たればでかいのでそういう魅力は確実にあります。
カードを決定する直前の状態から現象を考える余地はありそうで、考えてみたいテーマになりました。
後半はギミックによる解決。
カードインデックスを隠さずに使うというコンセプトで、まだちゃんと作って試してないけど普通に実用性あるものだと思います。
観客が決めたカードをメモに書きそのメモが実際のカードに変化する”CHANGE AND MATCH”、観客が決めたカードと財布の中のカードと一致する”ANY CARD IN WALLET”、コールカードでのストップトリック&ブランクオチの”DISTINY”と現象も素敵なものになってます。
総じて手続きの動機付けにはかなり気を使われていて、ハンドリングも自然です。
個人的に興味のあるテーマでもあったので多様なアプローチを読めて良かった。
インデックスやコントロールなど、読めばこういうことも出来るのではないかという発想の素になる要素もあり、かなり満足。
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