by jun | 2022/05/01


マジックマーケット2022春にて発売された堀木智也さんによる洋書の売りつけ方の文書。
マジックショップのスタッフとしてのマーケティングテクニックではなく、人の好みにあった本をおすすめする普遍的な話で、おすすめを「売りつけ」と言うあたりにそこはかとない狂気を感じたりしますが、内容自体は人と手品に真摯に向き合うものになってます。
自分はこういうブログを書いているので人からおすすめの洋書を聞かれることは多く、だいたい「手品を日本語とか英語とか区別してないんで、質問の意味がよくわからないな」と言って茶を濁し、家に帰って洋書を開いては「日本語で書けや!!!!」と叫び散らかす日々を送っているのですが、それはともかく人におすすめするためには当然それなりに知識が必要で、人の好みに合わせるためにマジックやマジシャンをより細分化して理解する必要もあります。
そこらへんのコツみたいなところが、入門者向きにもそれなりに読んでる人向きにもわかりやすくまとめられているのがこの売りつけ方の本です。
例えば一生超えられないハードルであるところの語学問題についても複数の実践的なアドバイスがされていますし、効率的に自分の好みに合った知識を広げていくための本の選び方も非常に納得がいくものでした。
本編の売りつけ方については他人の好みを探る話で、これは自分が何が好きかを明確にする助けにもなる文章になってます。
洋書に手を出す人というのは好きなマジシャンの新作を読みたいとか好きなプロットを深堀りしたいという理由も多いと思うのですが、好きの理由をはっきりさせたり好きなものを増やしたりするともっと世界が開けてますし、その過程にも好きになるものがいっぱい転がってます。これが好き!みたいなものを発見するのは趣味において楽しい瞬間で、そういう機会を増やすための本としても優れています。なにより読書で手品を学ぶこと自体の面白みが伝わってくる文章なのが良いです。
後半にはオールタイムベストを含むブックリストと短評が載っていて、ここだけでも十分読む価値はあるでしょう。鋭く的確に一冊の本を分析していて、ふと検索して購入ボタンに手が伸び、「あ、売りつけられてる!」と気付くよく出来た構成になってます。

あと素晴らしいのがこの本の売上がThe Expert at The Card Table 翻訳版の重版費用になるというところ。洋書を売りつけられつつ世に日本語の資料も増える、日本人全得な一冊。

洋書の売りつけ方【Sprout Publishing】 | マジックマーケット

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