by jun | 2020/09/10


2005年に出たラリージェニングスの作品が載った薄いノート。ジェニングスが亡くなってから出てる本なので文はビルグッドウィンが書いていて、表紙のデザインはリーアッシャーによるものらしいです。
序文によるとジェニングスがノートに書いてたメモみたいなのを形にしたもののようですが、グッドウィン力もあってか普通にジェニングスっぽい作品になってます。
全部でカードマジック14手順。

A Handy Transformation

観客の手に4枚のカードを置き、それが選ばれたカード1枚に変化するという手品。
ラリージェニングスの手順はパワホーな技法を使う時は何かしらの一工夫あることが多く、これもかなりビクビクする瞬間が多いので色々なカバーがされています。
実際観客の手でやるのは結構きつい気もするんですが、こういうことをやるならというとこでは最大限に気を使われてるんじゃないでしょうか。
4Aからのオフバランストランスポジションやパームオフの変形などバリエーションも考えられそうなアイデアです。

Estimated Toss

カードスタブにチャレンジしますが、スタブしたカードが観客のカードに変わります。
この現象からやり方は無数に考えられますが、まあその無数のうちの一つという感じではありますね。ジェニングスはそういう作品も多く、使われてる技法にオリジナリティを出すタイプだったりしますし、これに関しては構造的な面白さはそんなにないです。

Magician Makes Good

選ばれたカードの数字と同じ数字のカードをスプレッドしながら探しますがバラバラのカードが出てきて、再度デックを広げると同じ数字のカード3枚が表向きで現れます。
Matching the Cards的な感じの手品で、ラリージェニングスが好んでよく使ってる技法がうまいことはまってる手順であり、スプレッドしながら表向きのカードがないことを示せていいです。
失敗したカードを裏向きに戻してしまうので変化感はないんですけど、これはこれで良いんじゃないでしょうか。

Gambler’s Kings To Magician’s Pockets

キングをパケットの上に戻していきますがエースに変わってキングは別のポケットからそれぞれ出てきます。
元ネタはルポールのThe Bashful Queens。ルポールのやつのほうが楽に行え、ジェニングス版は負担ちょい増しでもろもろの説得力を上げてる感じでしょうか。あとルポール版はエースでなく適当なカードに変わるだけ。
ジェニングスならパワーで解決しそうなところをうまい見せ方にしてるところがあったり、なんだかんだバランスの良い感じになってます。
演出的にも説得力があって良い手順だと思います。

Flawed Transposition

AとKのトランスポジションから、何故かKが8枚になります。この何故かというのが不思議的な意味だけでなく理屈的にマジでなんでっていうところに味わいを感じられるかどうかが勝負です。
エンドクリーンでない場合に物理的におかしなことになることを許容できるかどうかも分かれ目でしょうか。
前段に不可能な入れ替わりが入るので、もう何が起こってもおかしくないという感じにできれば良いのでしょうけども。

K.J.V. Oil and Water

4-4の水油4フェイズ。
カウントで示すフェイズがないのでそれぞれ独立して演じることが可能です。あと全部テーブルがいらない。
1フェイズ目のレイコスビーのやつでやっぱりこれいいですね。観客と一緒に混ぜていくあれ。
その後のフェイズは若干のもっさり感がありますが、2段目の変なあらための中で戻っていくやつとか、4段目の物理的な感じとかモチーフ自体は好き。

Oil And Water

最後に全部黒いカードになってしまう水油。
これも4フェイズになっていますが、各フェイズの終了状態を活かしたルーティンになっていてなかなか綺麗な流れです。
手順上カウント推しではありますけど、意外とあっさり見せれたりさっとアンチ状態にできたりとオチをやるためのカード構成をうまく使った手順になってます。

Hip Pocket Prediction

まず1枚カードを選んでもらって、2人目にカードを覚えてもらい、2人目のカードが最初に選ばれたカードの枚数目から出てきます。
タイトル通り最初のカードはポケットに入れるんですけど、誰も見ないしすり替え疑惑も出るので予言として見せるのはちょっと弱い感じです。カード戻してから最後は演者がデック触るので他に色々やりようがあるようにも見えますし。
普通だったら単純な現象に使う手法をこういうところに活かしてるという考え方は面白いのですけども。

Jokers And Jacks

ジャズエーセス。
スポットカードを使うのではなく4枚の同じカードを使うやつで、その分技法の自由度が高まって説得力も増していて入れ替わり感も強いです。ブランクカードでやったら移動としても見せれる感じ。
パケットを用意してまでジャズエーセスをやりたいか正直に申せと言われたら口籠ってしまいますが、やるとしたらこういうのかなーと思ってます。

Tahoe Triumph

あの状態になってから何度かリアルシャッフルをするトライアンフ。
フォールスシャッフルもそうですが、ここは綺麗に押し込んだところを見せれるというのを組み合わせるとその印象を持たせることができるので勝てます。
その分処理の手数も増えてしまっているのはやや残念なあたりでしょうか。

New Outstanding Triumph

Newじゃないやつから、カードを戻して混ぜるまでの動きがいかつくなってます。
変なハーフパスみたいなやつが使われてて、この状態にしたいことは結構あるので覚えておきたい。動きは大きいけど実際にひっくり返すという動作の中で行われるのでまあまあいけそうな気はします。

Up In Smoke

4枚のカードにタバコの煙をかけると消えて、あちこちのポケットから出てきます。
現象も良いし、道具を使うトリックとして動機付けで色々やる感じも楽しいです。
まあ本当にそう見えるようにするにはめっちゃむずいんですけど、たばこライター煙と目を引くものがたくさんあって、それを一連でまとめられるというのはタバコという道具の強みかなと思います。
後半解説されてるデック使うバージョンならまだなんとかなりそうです。

Slow Motion Card To Number

少し変わったカードアットエニーナンバーの見せ方。
プレモニション的なバニッシュのあとに言われた枚数目から出てきます。
早い段階で数字を言ってもらう必要がある手順ですが、消えたことを示すところが良い感じにクッションになっていて、その後のコントロール感もなく、見せたい通りの見せ方が出来るんじゃないでしょうか。時間差もあるので聞き直すテクニックとかも効果的に使えそう。
先に数字を聞く型はどうしてもコントロール芸に見えがちなので、消えてからそこに出るというやり方自体がとても良いと思います。

Three On A Match

メイト一致の手順で、タイトル通り3回一致します。
観客がシャッフルしたパケットと演者がシャッフルしたパケットに偶然が起きたように見せれるもので、これはめちゃくちゃ良かったです。
セットは若干ややこしいですが仕組みさえ覚えればという感じ。

難しいのも多いしなかなかそのまま演じられんようなのもありますが、穏当なのもあるしアプローチが面白いのがいくつかあったので満足度高めです。

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