カードマジックデザインズを読み直してた勢いでこっちも久々に通読しました。
文章がおもろいのでさらっといけます。
最初に読んだ時はいわゆるレクチャーノート的なものも初体験だったので凄さや斬新さをよく理解できてなかったです。
多少は知識も増えた今読むと特異性がよくわかります。
BUSHFIRE TRIUMPH、WARP WRAP、CROSS ASSEMBLERについてはフレンチドロップの商品ページに動画がありますので是非ご覧ください。
CROSS ASSEMBLER
デックを4つに分け、一箇所ずつ4枚のキングを置き、場所を適当に入れ替えるとキングが一箇所に集まっています。
動画を見ればわかる通り不思議です。
難易度は高めですが手がつるような技法は使いません。
MOTEMONTE
4つのカードの山から観客に1つ選んでもらうと、その山だけクイーンで残りはキングという現象。
書かれてる通りの演出だと観客を選ぶマジックですが、観客が選んだ1つだけが別の種類のカードというのは色々考えがいがありそうです。
このトリックの原型になった1/3というトリックも解説されていて、それはトランプじゃなくコインとパースを使うもので、こちらも人は選びますが個人的にはこちらの方が好み。
ソリューションズ
エニーカードエニーナンバー2種類。
1つはレギュラーデック一組で行えるもので、準備や覚える必要があることもレギュラーでやるエニエニにしては比較的楽です。
カードや数字の選ばせ方に説得力があり、観客から見ればエニーでエニーな印象を持たせることができます。
あと他の作品でもそうですが小物使いが上手くて、それだけで惹かれるものがあります。
終盤の処理についてはやや負担を感じるものの、他の気楽さとトレードオフかなと。
あんまりエニエニ詳しいわけじゃありませんが、これならやってみたいと思える手順です。
LOVE A DOVE DOVE
ラブアダブダブバニッシュを使ったトリック。
あのバニッシュに関するもやもや部分が解消され、本当に消えて移動したように見える現象です。
玉砕スタッキングとその応用
観客にシャッフルしてもらいつつ、現象を起こすスタックを生き残らせる方法と、それを利用したトリック数種。
観客にシャッフルしてもらってからカードを減らしていくとフォーオブアカインドが残るQUARTET SHUFFLEあたりがお気に入りです。
ここで使われる手法にはあまり手を出して来なかったのですが、演出やセリフが面白いのでこれはやってみたくなります。
大半を観客に操作してもらえるのでめちゃくちゃ受けも良いです。
YING-YANG DIVIDEH
陰陽マークを中心にして観客に左右に3枚ずつカードを配ってもらうと、陰陽マークにその結果が予言されてるというもの。
めちゃくちゃ不思議で無理がありません。
計算苦手でも大丈夫。
今読むと佐藤総さん作のテンヨー商品に繋がるような発想だと思いました。
WARP WRAP
輪ゴムでデックをとめて、選ばれたカードを真ん中に戻すと、貫通して下からピョンと出てきます。
今度はそれを下から叩くと消えて真ん中に戻ってます。
悪知恵っぷりが一番炸裂してるのはこれじゃないでしょうか。
発想がすごいです。
読んだときは大丈夫なのか不安でしたが、実際に演じてみると気付かれないです。
BUSHFIRE TRIUMPH
当時物凄く話題になったトライアンフです。
今だとカード1枚選ばせるだけで済む1.5の存在を知ってるから、2枚選ばせるこのバージョンが見劣りしそうなもんですが、やはりハンドリングはとてもよく練られています。
確かにぐちゃぐちゃに混ぜるってこういうことだよなと思いますね。
というわけで82ページの中に面白アイデアがみっちり詰まった本でした。
カードマジック好きは絶対読んで損ないと思います。
個人的ベストはWARP WRAP。誰がなんと言おうとWARP WRAP。
元々輪ゴムとカード使ったマジック好きですが、そのジャンルの中でもトップクラスではないでしょうか。ビジュアルさとシンプルさを求めて悪知恵を働かせてる感じが素晴らしいです。
Comments
きょうじゅ
Warp Wrapは本当に名作ですよね。もっと評判になっても良かったはずと思いつつ、やはり(自分以外には)知られないまま・評価されないままでいてほしいという相反する思いを抱く傑作だと思いました。
jun
レギュラーでできないことが目立たない理由なのかなと思いました。
作ってみたら絶対おっ!ってなるので、読者でも作ってない人が多いのかもしれません。
あれ一つであの連続したクリーンな現象を起こせるのは本当に魅力的だと思います。
輪ゴムとカードという文脈で今見てもフレッシュで素晴らしいですよね。
むしろこういう発想もできるというのが佐藤さんの凄みだと思ってます。