by jun | 2019/01/24

1999年という世紀末に出版されたJames Swainのカードマジック集。
L&Lに電子版あります。
前半はSwainによるクラシックの改案、後半のTricks of the Mastersという章ではビルマローンやジェニングス、カップスのネタも収録されていてそこしか読んでなかったんですが、Swainの作品はサイステビンスやオーダーエンド用のフルセットを使うものが多く、そこらへん調べてたのでこの機会に全部読みました。
21世紀も5分の1が過ぎて色んな方向に進化したカードマジック界隈なんで今読むとちょっと分が悪い本ではありますが、適当にいくつかチョイスして紹介します。

Departure

Point of Departureの改案。
4枚のクイーンに入れたカードが消えて空だった箱の中から出てきます。
非常にシンプルに見せれる方法ですが、このやり方ならもっとダイレクトな箱への移動でもいいような。
でも消えたということはどこかから出てくる、ということを予感させるから消失を示せるこの手順に向いてるような気もします。

Metamorphosis

箱を使うリセット。
箱の中にパケット入れることでエンドクリーンっぽく見せれるようになっています。
スイッチの方法も比較的安全かつ無駄な動き少なめ。
箱に入れるリセットだとガスタフェローが”Boxed Reset”ってやつを発表してて、そっちはちょっと謎動きが入るけどより安全。

個人的にリセットは箱に入れずすり替える隙感を残す方が好みなんですが、テーブル上の見た目はすっきりするし悪くない気もしてきました。

A Tribute to Dunninger

3枚選んでもらった後に3人に1枚ずつ持ってもらって、誰が何持ってるかまで当てます。
質問的なことしなきゃなんないんでショボくなる部分はあるんですけど、一応工夫はあって3枚は確実に当てられるわけだからインパクトは強いと思います。
他のもそうなんですが、カードの選ばせ方にもう一声という感じはありますね。

The Twenty-One Card Trick

21カードトリック。
ずるいカットパートを入れてちょっと混ぜた感を出してからのスペリングで不思議に見えるはず。
アイデア自体は既存のもので、21世紀とかけたかっただけやろ感も拭えませんが。

Cut’ em High and Tie

ビルマローンのSpectator Cut The Acesです。
非常に豪快な解決ですが何するかわからん状態だしそれが目立たない計算もされてます。
最後に演者の手元にパケット残るのが気持ち悪いあたりではあるのですけども、あれした後にすぐめくらせるんじゃなくて4人目にもカットしてもらうのがミソだったりもします。

21st Century Cards Across

ノーギミックのカードアクロス。
スライトフリーと書かれてますがパームしないだけでちょっとはスライト要ります。
3枚の移動で、その3という数字の意味的なとこにこだわってるのは面白いですね。

Birds of a Feather

3段階の4-4トランスポジション。
見せ方的にはフォローサリーダーっぽい感じでしょうか。
21世紀はビジュアルに走りすぎな気もするんで、こういう落ち着いた連続的な見せ方もなんとなく味を感じます。
ただもうちょい観客の見た目に変化が欲しいところではあって、3回別のスイッチ頑張ってるだけ感も否めず。

Diving Rod

セレクトカードのフォーオブアカインドをコレクターみたいに出すやつ。
コレクターするのは直接的な手法ですが、そこまでの原理が面白いです。
パタパタでA出しするから不自然でもないし、そこから一続きの動きでセレクトからコントロールまでいけるのが良いっすね。

Miraculous

これもセレクトからのフォーオブアカインドネタ。
最初のプロダクションは微妙ですが、そっから観客が4A探したり移動現象が入ったりします。

………lly Triumphant

一応タイトル伏せ字。
表裏ぐちゃぐちゃに混ぜた後にカードを決めて、それだけが表になるようなトライアンフの見せ方です。
現象としてはありだと思うんですがもうちょいどうにかならんかったのかという感じはします。
………の解説も割と雑。
裏表に混ぜるわけだからもう少し幅を持たせるとかの工夫はありそうなもんですけども。
でもやっぱりアレやってる間に裏表混ぜた印象は薄れるしどうやってもそんなに良くならない気はしますね。

The Last Good Trick

デックを箱に戻してからポケットに入れて、選ばれたカードを取り出すという手順。
箱に戻してからのサトルティが良くて、ちょっとポケットに戻すのはもったいない気もしますがデックスイッチに使う方法は賢いと思いました。
メモライズ使って頑張ればもう少しポケットに入れる嫌さが消えそう。

The Explosion

3枚カード選んでもらってからそのフォーオブアカインドを全部出します。
やりすぎな気もしますがこういう過剰さは嫌いじゃないです。
しかしあれでたくさんカード出すの結構むずかしい。
クレジットにジャパニーズバーマジシャンがというのがあったけど誰でしょう。

Too Many Jokers

デックの中から4枚のジョーカーが出てきて、それが全部Aに変わり、デックを見ると2が4枚、3が4枚と出てきて広げると全部4枚揃っててジョーカーがなくなっています。
フルセットものだとこれが一番面白かったです。
ジョーカーはシャッフルしながら出すからあちこちにある感じがするし原理をうまく使ってて気持ちいい手順。
これ、セットをちょっと変えれば最初にバラバラなの見せれると思うんですがどうでしょうね。

Weapons

技法やアイデアが収録されてる章。
フォースとかコントロールもあれば”Card Warp Display”というカードワープの見せ方なんかもあります。
そのカードワープは白縁のないデックでしかできない見せ方ですが、あれする時にフェア感が増します。

“Unloading a Card”はエキストラ使用のパケットの処理方法で、水油とかデックから抜き出すパケットものには効果ありそうな手法。
簡易的な手順も解説されています。

3人の観客に別の方法でカードを選ばせてトップにコントロールする”Peek, Stop, Touch”は戻してカットして戻してカットしてとか、難しいマルチプルコントロールをせずに済んで良さげ。
演出的にも間延びしないし、好みで色々いじれそうでした。

Tricks of the Masters

マスター達の手品パートです。
マイクスキナーの”Placement Principle”という好きな枚数目にカードをコントロールする技法を使ったポールカミンスのカードアットエニーナンバー”Count on It”から始まります。
10〜20で言ってもらってその枚数抜き出してトップに選んだカードが来るパターンで、中から抜いてくるハンドリングも見栄え良くて不思議です。

ダイアコニスの”Persi’s Collectors”というコレクターは直接的な手法ながら色々とまどろっこしいです。
そんなことする必要あるのかというのがいくつもあって、もう少し面白原理で攻めて欲しかった感じ。

カップスの”I am in Debt”は数字の合計が10になるように4枚を持って、1枚ずつ減らしていくけど3枚の合計も10、2枚の合計も10、最後に1枚の10が残るみたいな手順でめちゃくちゃ面白いですね。
ハラパン本の影響で特にこういうのが好きになりました。
ハンドリングもセットもややこしいことはなくて素敵。
もう少しうまく処理できんかなーというのはあるんですけど、見た目上の引き算のとこをシンプルに見せないとダメなんでなかなかイジり辛いです。

ジェニングスの”Instant Aces”は4枚のAのリバース現象。
シャッフルして全部裏なの見せつつバラバラの位置に入れたのが全部ひっくり返るから不思議なんですが、なかなかスムーズにやるのは大変。
シャッフルしながらごっそりあれする方法とかはリバースネタ全般やトライアンフなど応用範囲広そうです。

ダローとビルマローンの”Shipwrecked”はエースアセンブリ。
難破船をテーマにしたストーリーがついてて、まあビルマローンがやれば面白いんだろうなという感じです。
並べ方とか構成がちょっと変わってて、ただのカードの移動にすると間がもたなそうだし何かしらお話はあった方がいいのでしょうね。

“Quick D-Way”はどこどこ風の現象にオールバックをくっつけたみたいな現象。
オールバックするためのセットがどこどこパートでも活きるのがええです。
ラストはデックの中から表向きに現れるんですが、デックにパケット重ねてしまうとこが微妙ではあります。

エルムズレイの”1002nd Aces”もアセンブリです。
スイッチのとこが良いですね。
客に選択させるとこと流れが一致しててデックの上でごにょごにょするのがちょっとカバーされます。
バニッシュパートも面白くこの本の中のアセンブリでは読みどころ多くておすすめです。

ギャフ使わずに行う”Sympathetic Thirteen”はさすがに自由にシャッフルさせることはできませんが、導入部から巧妙で現象までの手続きも十分だと思います。
これ系のはギャフ使うと格段によくなるしあえてこれをやる必要というと微妙なあたりではありますが、この手の手法の流れを丁寧に追ってるので参考になりました。

Gambling Routines

ここまでいくつかギャンブリング手順飛ばしてきましたが、最後はSwainのギャンブリング手順のチャプターです。

こんなかだと”Dealing Centers/The Muck”というセンターディールデモがおもろかったですね。
2段目で使われてるスイッチが絶妙でロイヤルフラッシュオチまでの流れが綺麗。

“21st Century Magicican vs. Gambler”はポーカーデモ風の演出。
K出していったと見せかけてすいっちしてAでしたーだともうちょっとどうにかならんかなという感じするので、こういう見せ方は悪くないかもしれません。
ただこれはこれで逆に裏向きに置くのが気になるような。

最後にジェニングスの”Larry Jennings’ Famous Chop Cup Routine”というワンチョップカップのルーティンが解説されています。
小さい野球のボールを使って、そっからレギュラー野球ボールが2つ出て最後は袋にもレギュラー野球ボールが入る面白い手順。
一回袋がカップに入るとこがあればなーとか思ったりしますが、こんぐらいが無理なくていいかもしれません。
これたしかWorld’s Greatest Magicのチョップカップ巻でSwainが演じてましたよね。

今の視点で読むと全体的に21世紀感はなくて、現象がクラシックから逸脱しすぎない良さの方を感じました。
1999年という人が謎に浮かれまくってた時期にこのバランスの本というのも趣深いものがあります。
雰囲気的には70年代ぐらいの感じですし、これきっかけでエルムズレイあたりの元ネタに戻って今風の何かを考えるのが正しい気がしました。
と思ってもエルムズレイ本は目次だけ眺めて面白そーとか言ってそっ閉じという流れが定番。あれいつ読み始めるんでしょうね。

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