by jun | 2018/11/29

L&Lセールまだ続いてるようなのでおすすめ本を。
あそこのラインナップは半分ぐらいしか読んでませんがベスト3を挙げるならCarneyCopiaとImpossibiliaとこれって感じです。

ワグナー手品は現象も派手だしハンドリングも現場でブラッシュアップされた感じがあって難易度も高めなので読み応えあります。
出たの87年とかで、クラシック化してるものから今読むと逆に新鮮というようなものまで様々あって楽しいです。

CHAPTER ONE: Commercial Stunners

カードオンシーリングやデックに輪ゴムかけてピョーンのやつ、破ったカードの復活などパワフルな手順が並んでいます。
トーンアンドレストアはジャンボカードでやる手順で、7secretsで解説されてたやつとメインの手法はほとんど同じ。
ジャンボでもできるんやーって感じですし、あの4枚に見せるとこはジャンボだと強いすね。
テーブルないスタンディングだとややきつそうなのは残念なあたりですが、この現象で1枚のカードが手よりでかいというのはかなりのアドバンテージなのではないかと思います。

面白いのは”Whispering Wagner”という最初から置いてた2枚のカードが2人の観客がコールしたカードと一致していた的なやつ。
さっさとカード見せろよ、とならないようマジック的な演出で引っ張るのでプレゼンテーションは少し難しいですが、なんだかんだ言いつつ少しずつ環境を整えていく構成は好みです。

“J.C.’s Super Closer”は4Aのスペリングトリックですが、キングが出てきたりラストはデック全体が4つのスートに分かれたりして強いです。
まずオープニングの4A出しからなかなか味わい深いものがあり、観客がシャッフルしたパケットのトップからそれぞれ出てきたように見せるというもので、オチに向けても重要なシャッフルパートでさらりと4枚出てくるのも良いですし、ディスプレイに工夫があり説得力もあるように思います。

CHAPTER TWO: Four Ace Routines

4エースのルーティンで、クラシックの改案が多いです。

“Twisted Underground Transposition”はAとKの入れ替わりにツイスト現象をプラスしたもので、パケット化することでマキシツイストとかより意外性は劣りますがいつの間に感は上がります。
パーム的なことしますが、リセット系はやはりパケット同士の接近ない方がいいのでこういうの頑張りたいですね。

コレクターが2つ解説されていて、こっちもツイスト現象がくっついていましてこれは少し余計な感じがします。
“Omni Twist Collectors”の方はアトファスもアディションも使わないので、パーフェクトに見せることができれば怪しさなしでツイストからコレクターに向かえるので強いのですけども。

クライストエースの”J.C.’s Fabulous Four Ace Routine”は見た目的には原案通りで細かいとこに凝ってて面白かったです。
ラスト1枚は観客のチョイスで出せるのですがタイミング的に効果的なスイッチが使われていて綺麗。
“The Fab Four Revisited”の方はエース戻す時に4つのパケットに分けないのでこっちの方が好み。クライストエース的な気持ち良さやフェアさはやや減ってるのですが、バリエーションつけて出すのが目的ならこれでも十分かと。

この本解説の詳しさが結構まだらなんですが、”J.C. on Collins Aces”というコリンズエースはがっつりセリフが用意されていて、ラブアダブダブなど各バニッシュも詳しく解説されます。
なにを持ってコリンズエースとするかというのがよーわかってないんですけど、このバージョンは出現パートがちょっと変わってて、スペリングとかポーカーハンドを配ったりせず、元の場所に帰ってくる的な見せ方です。
隠してただけやんと思わせないように1枚は確実に移動を見せ、バニッシュも枚数ごと変わるように見せるのでおもろい見せ方だと思いました。かなり難しいです。

エースアセンブリの”The Assembly”も最近だとあまり見ないアプローチで面白くて、バニッシュもそれぞれ変わっててスローモーション的な見せ方ができます。
これも意外なクライマックスがあるもので、ハンドリングに無理をなくしつつフェアに見せかけて仕事を終えられるので効果的。
ハードコアなバージョンのハンドリングも解説されててこれはこれでという感じです。
このチャプターは全体的にむずいすね。

CHAPTER THREE: Coin Magic

コインマジックです。

ジャンボオチの”Poor Man’s Matrix”は固いハンドリングで間違いない感じ。バーマジシャンらしいスタイルのロードでシチュエーションさえあれば安定して出せます。ジャンボが出る理由もある演出で、補足コメントにあるコインの状態の話も面白いです。

“Knock on Wood”はノーエキストラ4枚のコインスルーザテーブル。
コインスルーザテーブルだとオリジナルのClink Passの良さも光りますし、ラスト1枚問題の解決も好きな感じです。

コイン3手順で一番面白かったのは”The Real 2 Copper 1 Silver”というのカッパーシルバーの手順。
ポケット使うタイプですが、使い所が巧妙であんま怪しく見えないです。
こういうの日本円でやりたいけど、やりたいけどですね。

コインはどの手順もしっかりしていて練習するならこういうのやなって間違いなさがあります。

CHAPTER FOUR: J.C. On Estimation

エスティメーションの章。
ここのエスティメーションは枚数取るやつじゃなく観客が思ったカードを当てるのが中心。
絞り込みや質問の仕方からアウトまでたっぷり解説されています。

アウトとしてのカードアンダーザグラスの演出は今でもよく見られますが、ワグナー版は演出がプラスされていてメンタルっぽく始まったものをマジックにシフトするのにちょうど良い塩梅です。

“Non-Gaffed Ultra Mental”はインビジブルデック的な見せ方で、ややハンドリングは重たいですがリカバリーとして使うには有効な方法。
観客のカードの枚数目を言い当てる”The Wagnerian Miracle”は一捻りあって決まればかっちょええですが、ガチよりのガチなので演出面での難易度も高め。

エスティメーション系は使い所が難しかったりしますけど、この本に乗ってる他の手品のようにバキっとしたわかりやすい現象に混ぜると良いスパイスになるんでないかなと思います。

CHAPTER FIVE: Packet Magic

ギャフ使用の3手順。

表面真っ白なカードが印刷されていく”Factory Misprints”は面構成がばっちりはまった無理のないハンドリングです。
手渡しできないしエンドクリーンでもありませんが、そこを求めて重たくなるよりは良いかなと思います。
この本の中では簡単な方で、エースとか絵札でやりたい場合もちょっと頑張ればなんとかなるので頑張りましょう。

元のカード構成でSidewalk ShuffleとColor Monteの要素を足した”Gypsy Curse Variation”はバーマジシャンらしい改案。
6枚の数札と1枚の絵札でモンテやって最後全部絵札になる流れです。
原案のストーリー的にも普通にモンテやるパートはあった方が綺麗ですし、これぐらいインパクトある手順だと途中もうちょい遊んで伏線にしておきたいという狙いも上手くいってると思います。
あれカードがタロットカードサイズなので技法にも制限出るところ、ポロリせず安定して最後までいけてて見事。

ギャンブリングデモンストレーションの”Ghost Deal Variation”はロイヤルフラッシュを配れるという基本的な形から入ってインパクトのある入れ替わり現象を起こします。
都合上表向きにカードを戻すという場面がありますが、ギャンブリングらしい設定で押し切るセリフが用意されてます。
ギャフを持て余してるけどパケットトリックはなーみたいな人にはおすすめです。

CHAPTER SIX: Card Magic

ラスト追い込みのカードマジック集。

レギュラーデックのみでワイルドカードっぽいことをやる”Royally Wild”はデックの中から7枚のジョーカーを出すという設定からしてちょっとあれですが、個々の技法や上手く繋いで完結させるプロセスは読みどころです。
普通にブランクカードでパケット化すれば良い手順のような気もします。

“Simplex Lie Speller”は嘘発見器とスペリングを合わせたネタで、原理的にも面白いです。
質問を重ねることで配る枚数が変わるので、後からじんわり来るのでスペリングの使い方として正しい気がします。
最後は若干遠回りするものの、コンピュータであることが言い訳になるし上手い。
これをノーセットでできる”Would I Lie to You?”も良いですが、ややもっさり感はあります。

2枚連続で失敗して、そのカードがセレクトカードをサンドイッチする”The Revelation”も良いです。
普通のサンドイッチカードとして見せるバリエーションも紹介されていますが、サカートリックの方が動きに意味が出てええ感じがします。

セレクトカード2枚のトランスポジション”Transpojuxtaposition”はキックバック的な見せ方で、2枚目は観客が探し出すという演出が効いてます。
ワグナーお気に入りのスイッチは使い所は選ぶけど、現象の中盤に使うとサラッと流せるかなと思いました。
1枚目の当て方とスイッチにもう一工夫欲しい感じはしますがまあなんとでもなるセッティングなのでお好みでという感じ。

“Up-Standing Triumph”はスタンディングで出来るトライアンフですが、あれをあれする時にはテーブル的なものがある方が良いという箇所があります。
スタンディングのトライアンフはあれをあれするための状態にどう持っていくかが勝負になってくるわけですけど、ノーセットで出来て角度にも強くなかなか説得力があるものになってます。
終盤の状態が普通のトライアンフと違ってて、それを活かした演出も面白いものの、現象は少しボヤけそうな。
“Triumph #999″の方はバーノンのトライアンフにちょい足ししたもので、これによって表裏混ざった錯覚を強化しています。
確かにこれやっとけば裏表裏表てとこ省略できて良いかもというアイデア。

Point of Departureのバリエーション”Royal Detectives”はストーリーはともかくマニアックなハンドリングがおもろいです。
デックの上でこねこねしないのが良いですね。

“Tri-Mi-Way”はEverywhere and Nowhereのバリエーション。
エヴリウェアの時も観客交えながらまったり見せる感じで、ノーウェアの後にポケットから出てきます。
終盤の処理もちょっと変わっててうまくオフビートを効かせて良い感じの位置に持って来れる構成。
ポケットから出てくるのはトミーワンダーもやってましたね。
ワグナー版はレギュラーノーフォースでいけるのが売りですが、エヴリウェア感は薄め。

4エース系中心に難易度高いものが多いですが、無茶というほどでもなくサトルティ的な工夫も散りばめられているので練習するモチベーションになります。
モチベーションはあるのに出来る手順が異様に少ないのは一体どういうことでしょうか。

Sponsored Link

Comments

No comments yet...

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です