by jun | 2018/10/17

2000年に出たSimon Lovellの作品集。
“Son of Simon”というタイトルに関してスパイクリーが映画にもした”SUMMER OF SAM”(サマー・オブ・サム)と元になった猟奇殺人事件の話から始まる物騒な前書きになんとなく人柄が現れてる気がします。
なんか真面目なのかふざけてるのかよくわからない過剰な演出がクセになる一冊です。

Lovey Dovey Sandwich

やたらとロマンティックな演出がくっついてるサンドイッチカード。2枚のカードはサンドイッチカードではなくスペシャルロマンティックカードだそうです。
徹底的にカードを擬人化することこだわっていて2枚のカードをコントロールする間やサンドイッチカードの例の動きをする時のセリフも用意されています。

結構読んでるだけで恥ずかしい気もするんですが、ここまでお誂えられるとサンドイッチされたビジュアルにおーーーってなる気もします。
確かに2枚のカードがサンドイッチされる見た目ってあんま綺麗じゃないので、何かしらの予感的なストーリーがあった方がいいのかもしれませんね。

Star Trick

選ばれたカードをデックに戻し、デックでエンタープライズ号を作って宇宙を探索して探し出します。
スタートレックのテーマに乗せてエンタープライズ号をひっくり返すと選ばれたカードのフォーオブアカインドが出てきます。

デックによるエンタープライズの再現度はなかなかのもので、とても恒星間飛行ができるようには見えませんがトレッカーには伝わるはず。
エンタープライズのままカードをプロダクションするハンドリングも考えられていて、長寿と繁栄を願う気持ちも感じ取れます。

フォーオブアカインドを示す見た目は結構良くて音楽とストーリーに合わせて出てきたらおーってなると思うのですが、フォーオブアカインドを見せることによってスタートレックの色んな星の人が一緒に宇宙船乗ってる良さみたいなものは失われる気がしないでもないです。

The Namer

観客がサインしたカードの裏が色違いでそこにマジシャンのサインが。
ちょっと回りくどいやり方かなと思わなくもないですが、ギャグの中でさりげなく裏を見せてるのが効いてくるかもしれません。
あと連続で演技するマジシャンにとってはこういう方法の方がクリーンアップが楽なのでしょうね。
これはストーリーものじゃないのでセリフ例も取り入れやすいはずですが、観客いじりものなのでそれはそれで好み分かれます。

Two Cards and a Glass

コップの上に置いたカードと下に入れたカードとの入れ替わり。
レギュラーで行うバージョンで、上にあったカードがデックの中で表向きになって下のカードが上にあって下のカードは置いてないはずのセレクトカードというパターンです。
割と基本的なスタイルで、セリフは多いけど大筋の話もオーソドックスなものだと思います。
実質3枚カード覚えなきゃいけないんであんま喋りすぎもどうかという気がしますが、カードの名前を確認のために言うタイミングは良い感じです。

The Murder Mystery

殺人の凶器を5種類用意して、それぞれの頭文字が書いたカードを観客と共に並べ替えると、ある凶器のスペルになってその凶器に血がついてるというネタです。
どこで演じる機会があるのかは問題ですが、面白いと思います。
日本語でも頭文字で頑張ればなんとかなりそう。ただひらがな5個だとオチが読めそうなのが問題ですね。

Super Play It Straight

Play it Srtaightのサッカートリックバージョンで、ハートのカードが選ばれてるのにスペードのA〜Kが表向きに出てきて、頑張るとそれがハートのA〜Kなるというやつです。
アジウインドの”Triumph and Triumph Again”みたいなあれですあれ。

解説の冒頭が「良いニュースと悪いニュースがある!」から始まって、良いニュースはセルフワーキングでできること。
悪いニュースは、まあわかりますね。

ただ、だからと言ってダメということではもちろんなく、フェアにインパクトある現象起こせるのは魅力的です。
どっちかってーとPlay it Srtaight改案問題というか、あれにちょい足しする必要があるのかどうかですね。
なんか分けることによって総ショック量も減る気がします。
さすがという感じで盛り上げセリフはあるのですが、例の一点に絞った方がアゲ感ありそうな気が。

Imagination

コントロールからものすごく手の込んだワンカードリベレーション。
果たしてこの動きを畳み掛けるセリフで誤魔化せるかどうかは疑問ですが、変な動きでおもろいです。

Collectors 21

コレクターです。
アトファスムーブを使わず、エースパケットをテーブルにも置かない形でなんとなく21世紀感を漂わせています。
どっちかというとダブルサンドイッチで使われそうな手法で、やや遠回りですがあんまり見ない方法なのでおもろかったです。
ラスト1枚を言い当てる時のオマケは余計かと思いましたけど、わりかし単調なコレクター現象のクライマックスには丁度良い気もします。

Sidney the Hamster

ワンハンドでボトム26枚を隠すファン。
フォーシングデックの改めに使えるテクニックです。

今のカーディストリー界隈だと余裕なんかもしれませんがかなり難しく、ポロポロ落とすのでなかなか捗りません。
綺麗に広げるのが難しいだけで動き自体はそんなになので実用性はありそう。
うまく行けばかなりラフに広げられるしフォーシングデック以外でも26枚隠せると色々おもろいことできるんでマスターしたいあたり。

The Flipster

ツイスティングジエーセスの前に4枚のエースの裏表を見せるディスプレイ。
皆さんがツイスティングジエーセスで気になる例のあれをちょっとだけ気にならなくさせてくれるものです。
要は最初にスペードのエースをトップに置いた状態で見せるということなんですが、それを例の位置にあれするのにシュコシュコしたりせず裏表改める中でやっちゃおうという感じで、これがどうというよりも、こういうとこ気にしてるんやっていう信頼が生まれます。

Granama

観客の名前を書いたカードのトーンアンドレストアード。
サインじゃなく演者が書くってことですが、ちょっとした演出によって演者が書く理由になっていて良い感じです。
一個ずつピースがくっつくやつじゃないんですけど、サトルティやハンドリングは十分ですし終始クリーンなので演じやすいかと思います。
結構好き。

Five-and-a-Half

ワンハンドカット。
なんか三角形作ってそこから一つまた分けてパタパタみたいな感じです。
これ2000年て考えるとすごいすね。
トップ部分だけがフォールスになりますが、トップカードは一瞬視界から消えるので追われても比較的大丈夫なやつ。
トップだけ狂わないカットて手遊びに丁度良いので好きです。

The Angle of the Dangle

トップカードを表向きに見せ、テーブルに置きますが別のカードに。トップカードはどっかから出せます。
グラスの下に置く例が解説されてますが箱の下でも良いしデックの中に戻すのでも出来るので応用範囲は広いです。
カードは指先だけで持つので比較的自然に見える方かと思います。
しかしこの手の技法はマニアの皆さんをギョッとさせたくてたまらない時に使いたいですが、そこ欺けるレベルにまで達するのは険しいのでどうしたものですかね。

Bermudarama

観客に背中越しで1枚ポケットに入れてもらって、マジシャンは残りのデックを受け取って背中越しで1枚のカードを出します。
観客のポケットのカードを見るとマジシャンが出したカードのメイトカード。

表向きにしてもらうよりポケットに入れてもらう方が簡単だし、表向きにするのは理由付け辛いので好きな方法です。
シンプルかつバレにくい方法ですが、自分がやるならシャッフルしてもらう→デモンストレーションの流れであれをあれしてしまうのを付け加えるかもしれません。
あとこの手法独特の問題は残っていてちょっと怖い部分もあります。

One Way to Bermuda

観客がポケットに入れたカードにジョーカーが変化します。
大元の手法はBermudaramaと同じで、ジョーカーは裏向きデックに表向きに差し込み、スプレッドすると変化してるみたいな感じです。
なんとなく同じカードが2枚残るのが気持ち悪い気もしますし、ネタを推測されやすそうな気がしないでもないですが、ジョーカーが変化した感はとても良く出るしメイトカードよりわかりやすいのであんま深く考えない方がいいかもしれません。

Blind Man’s Buff

2枚カード選んでもらってそれ以外がブランクになるオチ。
じいさんの手紙を読みながら進んで、選ばれたカードが予言されてるというものです。

この手紙がしっかり作り込まれていてオチに予言があるというのが活きる上手い構成で、カードの選ばせ方やゴニョるハンドリングも堅いです。
要は「その2枚しかカードがないんだから、それを引かせることができたら予言も当たり前」と思わせない工夫がされてます。

Mousehunt by David Acer

ネズミ捕りがテーマの手順で、穴ぼこ開けたカードをチーズに見立てて割と筋にも破綻がない感じに仕上がっています。
現象的には穴あきカードの移動というか入れ替わりみたいな感じです。
使われてる技法は強いので色んな演出が考えられますが、最も有効に使える観客の手の下で起こる現象として使うにあたって穴開いたカードは見た目的にも効果的です。
終わった時の状態がちょっと気にならんでもないですが、ストーリー的には大丈夫になってます。
なんかホラー映画みたいなラストのセリフも好き。

Ace-O-Rama. by Shaun Robison

エース4枚出してもう一枚選ばれたカードをエースの中に挟んで消えてデックの中から出てくるやつでブランクオチ。
エース出しとブランクオチの組み合わせ良いですよね。それともう一枚出せばレギュラー感出ますし。
同様の現象と比べてサトルティ的なものが優れてるわけではありませんが、あるカードを使った演出は面白いです。

The Wyoming Wobble

between your palmのスライト版みたいなやつ。
怖い。

カードはあと2つ、テレフォントリックと猫ちゃんがカードを当てる手順が解説されてます。

後半はカード以外のネタで、素材も豊富でLovellのコメディ色がより際立つような手順が多いです。
“Business Card Flash”という名刺が印刷されるネタとか手法が変で好きでした。
ガチバイオレントな”The Texas Chainthumb Massacre or Grand Guignol “もやばいです。

やや演出部分を過信しすぎてるきらいがある手順もあったりしますが、キャラにぴったりハマれば魅力的な現象が起こせます。
ギミックやトリックデックを使うもの、スライハンドとバランス良く入ってて、手順解説の合間にそれぞれの動きやセリフについての考察もあり読み応えある本です。

最近の映像だとペンギンライブに出てて、舌にシャーピーが貫通するやつも解説されてるのでおすすめです。
Simon Lovell LIVE Instant Download

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