by jun | 2018/05/13

カードマジック入門事典はほとんどテクニックが必要なく演じられるセルフワーキングやセミオートマティックの手品集です。
カードマジック事典はとりあえず古典全部載せましたみたいな感じですが、入門事典の方はかなり絞られていて、演じ方もより詳しく解説されています。
それでも100個以上手品が載ってるので自分が好きなやつをジャンル別に3つずつ選んでみました。
テクニックが不要な手品は見た目で怪しいところがないので知らなければマニアも引っかかりますし、低負担でも派手な現象は起こせます。
意外とこの本ちゃんと読んでる人って少なかったりするので、一般の人に見せるのはもちろん、いつもひーひー言わされてる人をあっと驚かせることもできるかもしれません。

ビジュアルなやつ

簡単でもおーーーってなるビジュアルな手品は結構あります。
この本に載ってるのも間違いない感じのビジュアル手品なので是非。

カード・オン・ザ・ウォール p62

デックを入れたケースを壁に押し付けると選んだカード一枚だけが壁に貼りつくおもろいやつです。

カードが天井に貼りつく「カードオンザシーリング(p66)」も解説されていますが、天井だと意外と演じる場面ないですし、ウォールの方はケースにデックを戻せるメリットもでかいと思っています。
解説されてる手順はカードの選ばせ方やコントロールがやや手間なのですけども、お客さんにシャッフルさせれるのが強いです。

弾丸カード p86

カードを拳銃に見立てて選んだカードを弾き飛ばします。

ファローシャッフルを使いますが、コントロールが必要なくファローもパーフェクトじゃくてもいけるので低負担。
ノーギミックでこんな現象起こせるの本当にすごいなって思います。
著者の高木重雄さん曰く、このトリックだけでこの本の価値があるとのことです。

つかまえどころのないジャック p336

赤のJが2枚が黒のJ2枚に変わって、消えた赤のJが表向きに出てきて、デックに埋もれた2枚の赤のJはお客さんが好きなとこに入れた黒のJの隣に出てくるという一連の手順。

最初のダブルカラーチェンジがとても良いです。
この本でビジュアルなカラーチェンジ使うのたぶんこれだけだったと思います。
その後の展開もわかりやすく表返ったりお客さんに手伝ってもらったりと、カード当て以外で色々やりたい人におすすめです。
現代にも余裕で通用するルーティンですし、ヨアンの手順とか言うとそれっぽい感じもしてきます。
ダブルカラーチェンジはジョーカー2枚がお客さんの選んだカード2枚に変わるとか色々応用できるのでこのやり方は是非覚えておきたいところ。

ビジュアル手品、次点は「即席ライジングカード(p83)」「封筒の中の遠心力(p302)」あたりです。遠心力のやつはビジュアルな変化というより見た目が単におもろいのでおすすめです。
プロダクションやカラーチェンジは色んなシーンで使えるので出来るだけ数覚えておくと重宝します。
4つプロダクション覚えればAを4枚別の方法で出すのができますし、変な出し方すればカード当てもちょっと本格的になるっぽいです。

予言

カード当てとは少し違う味わいのある予言手品。
セルフワーキングで予言というとカットしてクロスして雑談してクロスをあれするんでしょというイメージがありましたが、フォース的なものが必要ない手順を選びました。

フューチャー・デック p156

演者がトランプの中から一枚選んでそこに予言を書きます。お客さんはテーブルに裏向きに広がってる中から1枚自由に選ぶと、予言と一致しています。

カードは完全にフリーチョイスで、めちゃくちゃ賢い手順です。
今でも5000円ぐらいでこのデック売っててもおかしくなさそうなギミックデックですが簡単に作れます。
構成上ギミックの処理がそんなに難しくないのも良いです。

オーラムズ・オープン・プレディクション p147

お客さんにカードを渡して一枚ずつ表向きに置いていってもらいますが途中で一枚裏向きにしてもらい、それが予言されてたカードと一致します。

この手の現象は今でも色んな改案がありますが、この本ではちゃんとしたセリフが解説されてるのでこの演じ方で十分だと思えます。
表向きに配っていく理由や裏向きに置いた後もカードを配るこじつけ、広げる前のどさくさなどこの本に解説されてるものを元に行うと間違いないはずです。

オーバーキル p144

予言だけじゃなく、色が変わったりカードが移動したりしてマジで死にます。

予言の原理はやや手続き感がありますが許容範囲ですし、後半の畳み掛けでそんなことはどうでもよくなります。
とにかく構成が素晴らしく、現象の割にセットも比較的簡単なので覚えておくと便利です。

入門事典なので、初心者の方に名前がかっこいい手品は良い手品であるということを暗に教えてくれてるのも親切ですね。

混ぜたのにっ混ぜたのにっ!

お客さんがカードをシャッフルしたのに現象が起こります。

ポケットから p96

お客さんに自由にシャッフルしてもらったデックをポケットに入れて自由にカードを言ってもらいます。
まずはポケットからそのマークと同じマークのカードを出して、その後続けて3枚のカードを出すと合計が数字と一致します。

ジェニングス本に載ってる「4枚の一致」的なやつですが、カードを自由に言ってもらえるのがポイントです。
なんで合計とかまどろっこしい出し方しかでけへんねんってなりそうなので、カード一枚引いてもらって持っておいてもらうやり方とかでもいいかもしれません。

色の識別 p121

お客さんに混ぜてもらったデックから好きな枚数をとってもらって、赤と黒の枚数の内訳を当てていきます。

フェイズが分かれていて、最初の方はまどろっこしい当て方しかできませんが徐々に不思議に確実に当てれるので手順としてかなり綺麗です。
まどろっこしい当て方のとこはフェイスを一切見ませんし、バランスはかなり良いと思います。

読心術 p171

演者が完全に後ろ向きの状態でできるカード当てで、カードを戻した後にシャッフルさせることができます。

ずっと後ろ向きはさすがに怖いですが、シャッフルさせれるカード当ての中では成功率高いです。
結構この原理って知られてないっぽくて、この形に持っていくのにスライトも使えるのでうまくすればころっといかせられます。

自由に選んだのにっ自由に選んだのにっ!

お客さんに自由にカードを選んでもらったにも関わらずすげえことが起こります。

感情移入 p130

お客さんと演者がそれぞれカードを覚えて当てあいっこするとどっちも当たります。
「混ぜたのにっ混ぜたのにっ」に加えて「自由に選んだのにっ自由に選んだのにっ」という印象を与えられるので強いです。

要は1デックでやるDo as I Do的なことなのですが、「あっ」てなるポイントが通常のそれと違っていて、工夫が散らばってるのでマニアもころっといかせることができるかもしれません。

魔法の絨毯 p349

16枚のカードを4×4に並べて絨毯に見立て、「K」の形になるように何枚かのカードを表向きにします。
そこからお客さんに絨毯を折るようにカードを折りたたんでもらい、表裏ぐちゃぐちゃにすると、4枚のKだけが表向きになります。

これは知ってても不思議なやつで、やってても不安になるレベルです。
原理なので当然制限はありますが、絨毯を折るという設定をするだけで完全フリーチョイス感も出ます。

ハピンスタンス p268

お客さんに数枚カードを配っていってもらい、その中から1枚選んでもらいます。そこから色々やってもらうと選んでもらったカードのフォーオブアカインドが出てきます。

いわゆる「エースが出てくるやつ」の変形ですが、フリーチョイス要素が入るおかげでセット感がなく、大半はお客さんがデックを持っているので不思議度高いです。
なれたら途中でシャッフルさせてもらったり、カードの選ばせ方も変えたりして色々遊べると思います。

他に「色の一致 (p250)」あたりも自由に選んだ感あり、終わった後のビジュアルで更に不思議に見える系で好きです。
「5分の1 (p108)」というお客さんがカードを探し出す手順もかなり賢くてやられると気持ち悪い感じあります。

フォーオブアカインド

4枚のAが出て終わるとか4枚のKが出て終わるとか4枚の8が出て終わるとかそういうやつです。

マッチング・ザ・カード p317

カードを選んでもらい、残りの3枚の同じ数字を出すと言って3枚の8を出しますが、選んでもらったカードはKです。
8だと思ってた3枚のカードを見るとKに変わってます。

この種のマジックは特性上フォースが必要になってきますが、ここで紹介されてるフォースがとても面白いです。
サッカートリック演出が苦手でも、見た目で誰の目にも失敗してることが明らかになるパターンですし、すぐひっくり返せるので芝居力もそこまで必要とされないので演じやすいと思います。

マネー・パワー p270

20枚のカードの中から小銭を使ってフォーオブアカインドを作ります。
観客の選択は完全なフリーチョイスなので効果高いです。

まずマネーがパワーであるという真実をタイトルにしてるあたりがとても良いですね。
手法的にも知らなければ追えない系で、ちょっとした操作も入るので後から逆算されにくいと思います。
ジェミニツインズでええやんという気もしますが、エンディングで他のペアは成立してないことを示せるので奇跡感演出としては十分。

エースとキングの交換

4枚のエースをテーブルの上に置きますが、デックの中からエースが出てきて、テーブルの上のカードはキングに変わってます。

当然エースやキング以外でも可能な手品で、先に見せるのは片方だけなので他のマジックで4枚の中かを出してから繋げて演じることができるのが良いとこです。
少し厄介なセットが必要ですが、難しくない技法で綺麗なトランスポジション現象が起こせるので気に入ってます。

というわけで15個選びましたがまだまだ良いのが載ってます。

「プレフィギュレーション(p246)」「シカゴオープナー (p209)」「デイヴスディライト(p314)」「イモーショナルリアクション(p57)」「カードワープ (p322)」「手のひらにくっつくカード (p343)」「ヴィジター (p190)」あたりの名作が入ってなくてこれなので、かなり良い本であることがわかります。

特に「プレフィギュレーション」は混ぜたのにっ混ぜたのにっでもあり自由に選んだのにっ自由に選んだのにっでありフォーオブアカインドであり予言でもある最強の手品なのでおすすめです。

手品本読むのに慣れてないと、解説を読んでこんなんバレるやんと思うかもしれません。
特にセルフワーキングの場合はちょっと怖くなるので、自分の好きなマジシャンが演じてるところを想像しながら読むと良いです。
あとは「今でも残ってる!今でも残ってるということは良い手品だから!」と力強く叫びながら音読するのも良いかもしれません。

ただやはり本で手品学ぶ最大のデメリットとして、解説読む前に自分が驚けないというのがあります。
これは結構なマイナス面で、読んでしまったら二度とトリックを知らない状態には戻れないので、読む前にお近くの手品好きの人に実演してもらうと良いです。
オフ会に来られる方でこの本の中で何か気にな手品がありましたら、3年前ぐらいに言ってもらえれば頑張って覚えて実演しますのでお気軽にお声掛けください。

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5月 14.2018 | 01:06 am

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