by jun | 2020/01/12

2011年に出たリアムモンティアーさんの電子書籍。カードケースを使ったマジックというコンセプト作品集で、箱を使ったカードマジックが8作解説されています。
この人の作品はギミックや何か別のアイテムを組み合わせた物の方が良いのが多いと思ってて、これも変な箱の使い方をしてて面白かったです。
箱に関しては全部エンドクリーンになってるのが良いところで、別の場所にゴミは残りますが、まあ怪しいのは箱ですしそっち見せれたら大丈夫だと思います。

PVにはビジュアルなやつが紹介されてますが、どっちかというとこういうのじゃないやつの方が良かったりするのでこれ見て別にって感じでも気にいるやつあるかもしれません。

HALF CUT

カードケースの裏にホッチキスでミニカードが止められていて、それが予言だということですが外れのカードで、そっからそのカードがビジュアルに変化してホッチキスで止まったところも確認してもらえるという手順。
この仕組みを使うマジックはありますが、ミニカードをホッチキスで止めるというところが賢く、実際作ってみると気になりそうなところに目がいかない感じがとても良いです。
スライトに自信ある人は変化の方法もいろいろ考えられそう。
ホッチキスで止めるものはミニカード以外にもカードの破片とかでもいけるので色々な見せ方ができると思います。

SCORCH

デックを箱にしまって下からライターで炙るとボンっつって火がブワッとなって、カードケースに焦げ跡がついてデックを見ると観客のカードの裏に焦げ跡が。アレックスパンドレアのあれ的なやつですね。
あれと比べると焦げ跡が消える流れの意味が弱いという気はしますが、カードケースの焦げ跡消すのが良いです。
手軽にできるのもモンティアー版かと思います。
これも火使わなくても他の演出行ける手品です。

STAPLED

Stapled Cardのバリエーション。
窓のように穴を開けた箱の中でホッチキス止めるという見せ方で、とても賢い方法です。
一応箱の中に入れるというのは不可能性を高める演出にもなっていますし、カードケースとしての機能は損なわないので穴空いた箱から出して始めれるので変な道具であることはそんなに気になりませんでした。
ホッチキスで止める前に2枚のカードが確実にジョーカーだと見せる方法なので、トランスポジション現象としてインパクトが強いです。

TARDIS

目の錯覚を見せて、実際に何か変化が起きる的な現象です。
現象と演出が全てという感じのトリックなので伏せますが、適度にこういうの挟むと面白いとは思います。
目の錯覚を目の錯覚用の道具に頼るあたりはあんまり綺麗じゃない感じはあって、目の錯覚的な演出のカードマジックのオチがこれという感じだと上手くまとまりそうです。

GRAFFITI

PVの最初にやってるやつです。
箱の中の字とカードの同時チェンジ。
演出もなかなかいい感じだと思いますが、手順的にはちょっと入り組んでるような感じも否めず。
サッカートリック風にするか、カード以外の文字の変化などにするあたりが考えられるでしょうか。
あとこれ意外と難易度というか見せる時の箱の扱い方に気を使うところがあって、前にいる人に箱の中の字を見せようとすると事故りそうになります。
中の字の変化のビジュアル変化を捨ててしまっても全然いいかもしれません。

MOONIE

ここからボーナス手順ということになってます。
ケースの半月状の切り抜きが変な場所についてて、それを移動させる手品。
動画ぱっと見だとシールの移動に見えますが、切り抜きの移動にしてるのが賢いところだと思います。
気持ち悪い終わりでありながら、じゃあこっちも移動させろよという感じになりにくい感じ。

FOLD OUT

箱に貼ったポストイットに書いた文字が変化します。
観客がこうだと思う予想を覆せる仕掛けになっていて結構不思議に見えるし、エンディングの見せ方も色々と工夫できそう。
他のと比べてわざわざこれのためにあれしたりこれしたりというのはめんどい気もしますが、使い回せるものなので使用例としてはありです。
マルチプルアウトの予言にも使えそうですね。

THRU & THRU

ケースに書いてる線がスリットになっていてカードが貫通しますが調べると線が書かれてるだけで穴は空いてないという現象。
PVの映像はちょっとずるくてあんな感じで検めることはできませんが、実演ならまあ誤魔化せそうという感じの処理です。

全体として小ネタっぽいものとちゃんと現象として見せれるものがバランスよく入ってて良い作品集だと思います。
仕掛け自体はシンプルなので自分なりの見せ方も色々考えられるはずです。
工作が必要なものがほとんどですが、変な素材とか道具も要らないし工作の難易度も低め。
工作ものは映像の方がわかりやすいし、解説パートに入った途端に机の上にハサミとかテープが並んでるの見てあーーーーってなる感じが好きなのでDVDか動画ダウンロードにして欲しかったのでそこは残念。

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