by jun | 2021/07/10

Paul Harris 2巻目。
有名なやつは1巻に多く載ってるから2巻は勢い落ちるのかと思っていたけど全作品見てもそんなことは全くなかった。
変なアイデアと現象の新しい見せ方、オフビートな演出に細部のサトルティと1作に詰まってる面白の密度が凄い。

New Stuff

Counterfeit Spectator

変わった演出のビルスイッチ。
札が変わるんではなく細かいところが変化するもので、日本のお札ではできないけどクロースアップではこういう地味な変化も味わいがあって良さそう。
スイッチの手法は同じ札同士のものなら使い勝手のいいやつです。
フェアに見せる動作でスイッチするのでとても巧妙。

Swiss Movement

アーミーナイフがカードの上でバランスを取ったり動いたりします。
アーミーナイフなのでそういうことをしてるんだろうと思われそうなところなのですが、しっかり先回りしてその可能性が考えられないようになってます。

Lysdexia

本の中の単語が移動する手品。
ページをめくらないように観客に本の端を持ってもらえるようになっていて、ポール・ハリスはカードでもこういうことをよくやってるので非常にらしい手法です。
これは日本語の本でもできます。

Flesh

つまようじの先が右手から左手に移動します。
完全にクリーンとは言えない方法を手順でカバーするセンスが見られます。
この人の手順はカードでもそういうところがありますが、現象がシンプルな移動だとよりわかりやすいですね。
タイミングと角度次第で映像処理みたいな移動に見える。

Angel Case

ケースの中のものを消せるケース。
色々とアイデアも解説されていて、メインの手順は白紙をケースに入れて振るとペンとメッセージが書かれた紙に変化するという面白手順です。
これはお手軽版でやる人も多いと思いますが、そこまで手間でもなくケースの機能が損なわれずクリーンに見せれる箱になるので使うならこっちでしょう。

Putty Buddy

パドルの手品ですが、それをパドルにするのかという面白アイデアです。
解説されてるのはコインの手順で、アイデア次第でまだまだ可能ありそう。
このコインの手順もとても良くて、鏡のあれ的な具現化感があります。

Putty Buddy’s Pal

指輪とコインのトランスポジション。
原理としてはC/Sのそれなのですが、その状況の作り方がおもろい。
さすがに借りた指輪は抵抗あるのでなんか別のもののほうが良さそうですが、この素材ならなんでもC/Sにできるのが良いです。

Strange-O

紐の結び目の輪っかが取れるやつ。
太いロープじゃなく紐でやる方法で、あれの作り方も丁寧に解説されてます。
クロースアップらしくシンプルに見せる方法も良いと思いました。

Hiccup

2枚のカードを使うトランスポジション。
最後の現象でデックを使いますが、基本的に2枚として進むので変わる前にどっちがどっちだったかわかりやすく入れ替わった感も強い。
リセットから続けて演じる手順になっていて、そのことによってあることがカバーされる感じもあって面白いですね。

The Twinkie Bottle

ボトルの口にワッシャーを置いて、その穴をペンが貫通します。さらにワッシャーがボトルの中に入るというおまけ付き。
これはめちゃくちゃ面白いですね。
現象の流れとしても良いし手法にも無理がなく、絶妙にどうなってるんだ感が高まってきます。

The Fluffer Deck

デックをスプレッドすると文字が現れる手品の見せ方。
文字が書かれてるだけだとまあそういうもんだということになるところを、しっかり不思議で意外な感じに見せています。
カードの名前出すやつよりお手軽。

McGimmick

マックシェイクに指をつっこんで持ち上げます。
これも傑作。
なんとか即興風にやろうとしてる解説もおもろい。

Cincinnati Blues

半分がミスプリントされたカードを普通のカードに変えます。
ミスプリントに見せるところに肝があるのですが、ここはアイデアも面白いしこの現象とのバランスも秀逸。
なんかに応用できなくもない気がするけど、オープニングにさらりと見せるのに向いてる手順。

The Cincinnati Two-Face Blues

2枚のカードがくっつくフュージョンエフェクト。
ハンドリングはまあ普通なんですが、あれを用意してあれするのもなーという手間が惜しい人には良い手品です。
まあアニバーサリーワルツとかと比べるとそのカードを選ぶというところに引っかかりはありますが。

Skin Job

名刺が本の指定したページに貫通して移動するという手品ですが、観客の名刺と本でできて移動にちょっと変な感触があります。
手法にも関わるところなので後からよく考えられると辛いっちゃ辛いけど、現象それ自体がなんでっていうところなので強い。
トランプをちょっと工夫して使って同じような見せ方も可。

Fizz Master

炭酸の缶を2本用意して片方をしゃかしゃか振って、泡ブッシャーが反対の缶に移る手品。
有名なトリックですが、こういう概念が移動するみたいな現象のセンスほんま凄いっすね。

Connections

Cardboard Connection

完全に即興でできるリンキングカード。
見た目に矛盾もなくリンクしてる絵面も恐ろしく強いです。
最後はアンリンクさせて穴の空いた2つのカードを完全にあらためるところができ、そこのアイデアが色々解説されてます。
カードマジック事典にも載ってるけど、処理のところの解説が雑でした。

Immaculate Connection

こちらも即興でできるリンキングですが、リンク出来る状況の作り方がちょっと違う。
リンクの瞬間のビジュアルが超楽しいです。特に2段目のテーブルからすくい取るところ。
手法を見ると結構素早い動きでごまかさないといけないっぽい感じがするけど、手を動かすと思いの外するする入ったり抜けたりするので気持ちいいです。
観客の想像を潰しつつ華麗に処理するラストも見事。
あんまり数知ってるわけじゃないけど個人的にリンキングカードはこれが一番好き。

Osmosis (Sylvain Mirouf)

8の字のように2つ穴を空けて行うリンキングカード。
ご本人動画ありますね。
これもめっちゃ良くないですか。絡まってるみたいにつながるところ。

Close-up Entertainer (1979)

P.D.Q. #2

4枚のコインアクロス。
観客の手を使うのでテーブルがいらないやつ。
デビッドストーンが似たような感じのやってましたかね。元はジェニングスのアイデアらしい。
フェイクが最初だけなのであっちもったりこっちもったり感がなくてスムーズに移動してるように見える。

Four Finger Finale

4枚のアクロスの最後の1枚の見せ方。
ディスプレイがさりげなく空の手であることを示せて、出現も最後の一枚がきたーーみたいな見た目になるのでおもろい。

Drop Shot

カードの隅を破った破片と本体のトランスポジション。
別になにをやるとも言わないけど意外なことが起こったように見せる構成がとても巧み。
ハンドリングも超すっきりしてる良手順。

Face-Lift (Allan Ackerman)

サンドイッチカード。
ハンドリングは基本的な技法しか使いませんが、予言という見せ方はちょっと変わっててなかなか。
バニッシュを2段階で見せて2段階目がクリーンという構成もうまくはまってます。

Peeler

カードの裏を剥がしてびりっとめくってそれが復活する手品。
そんな仕掛けで大丈夫かという感じなのですが、普通にそう見える。
小ネタではあるけど、マークという演出があるので演じるシチュエーションは多そう。

A Subtle Poker Move

ギャグ的な現象を含むポーカー手品。
シャッフルしたデックで出来るし、シリアス過ぎないギャンブル手品は持っておくと重宝します。
大胆な動きが続くのが怖い気はする。

Blackjack Challenge

AとJのプロダクションからロイヤルフラッシュへのチェンジ。
テーブル上でのプロダクションのテンポ感が良く、派手すぎない感じが良いですね。
ブラックジャックからロイヤルフラッシュへというのは色々あるけど、取り出したカードを単純に変える見せ方はシンプルで見せやすい。
ちょっと複雑なセットが必要なので、どうせならチェンジのところがもう少しスムーズになるようにしてほしいとかはある。

El Warpo

カードケースがひっくり返ります。
演出が神。

The Silver Elevator

コインがデックをエレベーターします。
マトリックスの構造をうまく使ったもので、同じ絵面でコインが増えていくからエレベーターした感もめっちゃあっておもろい。
最後の1枚の処理もこの演出のおかげで上手くいくし、その他でもデックを使うことを活かした手法が見られてとても良いトリック。

Quarter Caper

1枚のクウォーターを借りてそこからハーフダラーが3枚出てきてまた消えます。
ポケットを使いますがプロット上そこが気にならないようになっていて、きっちり増えてまた消えるという感じが出てる。
特に増やしていくところの見せ方好き。
1枚のコインを借りて色々あってまた1枚に戻る行きて帰りし物語感がめっちゃ良いですね。

Stretch aka Rubber Band Scam

輪ゴムを使ったAプロダクション。
輪ゴムでカード出す方法は色々あるけど、輪ゴムが消えて捕まえる、カードが移動する、ホーンテッドとバラエティにとんだルーティンになっていて楽しいです。
1段目の輪ゴムが消えて真ん中で捕まえてるように見せるやつ、主流なのは輪ゴムが消えてからスプレッドして…というやつだけど、ハリス版は動きが一体となっていて仕事感がちょっと減る。
輪ゴムの掛け方もあやとり感なくシンプルで良いです。

Kinky Pinky (Terry LaGerould)

指の上でバランスをとりつつ行うライジングカード。
微妙に難しく、不思議に見せるのもちょっと難しいような。

Blind Peek (Terry LaGerould)

1対1限定のマインド・リーディング。
これも名作ですよね。
限定的なシチュエーションでしか演じられない手品ってやっぱりそれなりの強さあります。

Side-Winder

名作オブ名作。

King Solomon’s Drink

ジャケットなしで行えるドリンク出現。
コインから繋げてやるやつで、最後コインを出す方法は体の動きと観客の目線が上手く計算されてると思いました。

The Castle Conspiracy

現象としては適当な4枚がフォーオブアカインドに変化するものなのですが、とある技法をやるための引きと演出が決まってます。
構造的にはアーロンフィッシャーのThree Kingsに近い。
ポール・ハリスはFlap Jacksもあるけど、このThe Castle Conspiracyの方が変化のインパクトはでかい気がします。
まあビジュアルの派手さで見せるか変わったこと自体の凄さを見せるかの違いではあるのですが。

Wax Lips

カードにキスマークが現れたり消えたりします。
手法は割と力技。
この技法を使って変化を見せる時にただカードが変わるよりこういう見せ方の方が効果的なのはありそう。

Cellophane Surprise (Allen Okawa)

箱のセロファンをやぶってタバコを取り出しますが、セロファンが復活します。
これめっちゃ好き。
仕掛けだけでも十分説得力あるけどタバコを取り出すのが秀逸っすね。

Close-up Fantasies 1 & 2 (1980)

Overkill (Allan Ackerman, Edward Marlo, Les Emberg)

カードマジック入門辞典にも載ってるオーバーキル。
入門辞典では最初の現象を飛ばして解説していまして、原案ではオーバーキル感を出すためか1個多いです。
これ前はない方が良いかなーと思ったりしてたけど、そもそもが一つの選択によって起こってる現象を膨らませてるトリックなので、予言的な現象以外のものをぶち込むのもありっちゃありなのかという気がしています。
どうせ見せ方次第なら多い方が良いというか。
なのでもう少し演出面の解説が欲しいところ。勢いは伝わるんですが。

Traveling Triumph

もろに古典の改案という感じの作品は少ない人ですが、トライアンフはポールハリスがやるとこうなるのかという一作。
現象の示し方からして変わってるのがらしくもあり面白いところで、サトルティも強化されてて凄い。

Fantasy Aces

エースプロダクション。
テーブル上にぬるぬるカードが増えていくように見える面白い見せ方。
消した後にまた出す的な時にはこういうのが良さそう。

England’s Penetration (Don England)

観客の手をコインが貫通する手品。
これはいっぺん体感してみたかった。
今度誰かやって。

Sliding Ink

カードの裏に書いた観客のサインが移動する手順。
まあやることはそういうことなので色々やり方は考えられると思いますが、この手順で使われてる手法と段階の踏み方はとても堅い物だと思います。
面白いのは技法の持つちょっと不自然な動きを全部現象の見せ方に活かしているところ。

Flap Jacks

一日これをやって過ごしてもなんの悔いもないというぐらい華やかなディスプレイ。

Double Decker

カラーチェンジングデックのちょっと変わった見せ方。
面白いし最後にすっきりするエンディングではあるのですが、青いケースから赤いデックを取り出すところからスタートするのでサトルティとしては弱まる。
カラーチェンジは鮮やかで、腑に落ちる筋があるのでそこは好みではあるのですが。
箱を使う良いアイデアが解説されてるのでそこだけでも。

Million-Dollar Mind Reader (Paul Lackey)

複数の名前を書いてもらって観客が思ってるのを当てるやつ。
いくつか方法が解説されてるけど、肝になる手法は絶妙なバランスです。
この手のやつは演者にはそれとわかって観客にわからないところを狙わなきゃいけませんがこれはなかなか良い方だと思う。

Tuning Fork

インコンプリートファローからのプロダクション。
この手のやつはシュパッと出てきたりするのが多いですが、これはぬめっと出てきて気持ち悪い感触が楽しめます。
直線的でなくなんでこういう風に動くんだという感じもあるので不思議に見える。

Breaking Point

ペンの先が変わるやつ。
レビュラーペンで出来るやつです。

Stamped Second

トップカードの裏に切手を貼った状態で行うセカンドディールデモ。
実際の見た目としては切手を1枚目としてその次のカードを配ってるように見えるというもので、変でおもろいです。
デモンストレーションで単純に上手さじゃなく別の角度からもっとすげえことをやろうという発送自体が良いですね。
別の方法としてDon VoltzのStuck!という手順が解説されてて、お手軽度ではこっちに軍配。見た目もそんなには損なわれないと思います。

Super Sack (Randy Tanner, Bud Dietrich)

カードイン封筒。
古典的な封筒のあれに一工夫足したようなもの。

The Uncut Version

半分に切った2枚のカードを出して、それが普通のカードになるという手品。
変なビジュアルで面白いです。
普通だったらこのビジュアル見せたらあとはしゅぱぱぱってやっちゃいそうなところ、最後まで半分のカードが完成する感にこだわってるのがさすがなあたり。

The Floating Deck

デックの上半分が浮き上がります。
角度は結構厳しい。
ただこれ、セッティングのための動きが他のこういう状態にしたい時の手順に応用出来る感じのあれです。

How to Pop a Floating Deck (Srechko Howard)

ワンハンドポップアウトがオチになってるフローティング手順。

The Time Machine

時間が戻る演出のカードマジック。
現象は4枚のKのうち3枚が消えてデックの中に戻るというもの。
時間が戻るにはタイムマシンが必要で、そのタイムマシンを有効に使いたいよね、でもパッと見怪しいから手順ちゃんとしないとねって感じで、しっかりとタイムマシンをタイムマシンとして紹介してその地点に戻るという絵面を作れてるので、お前が怪しいやろという感じにはならないようになってます。
ギャフ使用ですが、作ってしまえばレギュラーデックで演じられるので持っておきたい感じです。
また、これ系のギャフを使うときのハンドリングもスムースな感じになってます。

Misc. Pieces of Paul

Twilight

名作。

Cheap Shot Boomerang

ブーメランカードの演出を使ったとあるトリック。
あっさりと紹介されていますが、超ありえないことを超低負担で出来る傑作だと思いました。

Mr. Lucky

カードとコインを使った一致と変化の現象。
基礎的な技法しか使わず、技法の使い方現象の見せ方としても変わったところはありませんが、動機付けもしっかりしてるし演出のおかげで現象が伝わりやすい良作です。

Butt of Course!

演者が全く触れない状態でカードを変化させるアイデア。
色々と問題はありますが、めっちゃびっくりすると思う。
処理のところは別のトリックの現象にしてもよさそう。

Super Swindle

サンドイッチされたカードが消えてデックの中から出てくる手品。
BYP系のトリックで、レギュラーデックで演じられるものでは最強クラスの説得力だと思います。
代償としてカードが2枚死ぬのですが、人間だっていつ死ぬかわからないので納得していないフォールスカウント等でお茶を濁してる暇はありません。

Astonishing Friends

Tenkai Joe (Steve Blencoe)

テンカイペニーをマッチでやる手品。

The Incredible Mystery of the 10th Card (Eric Mead)

エリックミードの11カードトリック。
ポールハリスの本で読むとなんとなく物足りない感じもありますけども、クラシックを絶妙にチューニングしていて好きな手順。
こういう繰り返しの手順はどっかしらここをこうしたいってのが出てきますが、この手順は全体が上手いこと構成されてるのでそういうところがない。
手法としてはカードアクロス等数える手品に使えるものもあります。
1巻に載ってるハリスのやつも変でおもろいけど。

Tensegrity (Patrick Snowden)

カードが浮いた感じでバランスを取る。
ちょっとずるがあるテンセグリティですけど簡単に作れてずるのとこがわかってても不思議に見えるところはあります。

The Altman Maneuver (Jeff Altman)

アウトジョグしたカードとトップカードのトランスポジション。
イロジカルなムーブが必要なのですが、あ!イロジカル!みたいなイロジカルさではあります。
だからまあトランスポジションで使うのは合理的というか、ギリ勢いで持っていける感じの動き。ギリアウト寄りだとは思いますが、入れ替わってるのは確かなので。

Flutter (John Kennedy)

紙ナプキンとコインを使ったルーティン。
ナプキンの下にコインが移動したり入れ替わったりする手順です。
この手順は紙ナプキンならではの手法が使われていて、特にトランスポジションのところでは少ない手数でわかりやすく状況説明ができるようになっていて、ミスディレクションがどうという演出を使いながら実はそこに頼らなくて大丈夫。

Eng’s Bottles (Harry Eng)

瓶の中にデックやピンポン玉が入ってるやつの作り方が解説されてます。

最後に2つ、変なアイデアの手品が2つエリックミードとの会話形式で解説されてます。
なんか本当に色んなことを手品にしたくて未発表アイデア無数にあるんやろなという感じ。

Book3に続く。
Book1のレビュー書いたのが2年前なので2023年ごろにお会いしましょう。

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