by jun | 2021/05/05

2016年に出たジョンバノンの本。
DVDや本で解説されてたものを含めて、当時のバノンフェイバリットが解説されています。
しばらく絶版になっていて、他で解説されて知ってるものばっかなのでまあいいかと思ってましたが最近在庫イズバックしてたので買いました。
カードマジック10作品。フラクタルなパケットトリック、最近バノンがよく使ってる使ってる技法、メンタル、セルフワーキング、アセンブリとバノンらしさがよく出てる冊子です。

Chop Shop

3枚の青裏ジョーカーと1枚の赤裏Q。
Qをポケットに入れますが帰ってくるというのが繰り返され、最後は赤いカードを見るとAになっていて、ジョーカーも全部Aになってます。
チョップカップ風プレゼンテーションが面白く、大オチのインパクトもそれっぽくてとても楽しい。
同じ現象の繰り返しの中で退屈させないための変化をつけつつ色々と誤魔化せるようにもなっていて、オチの現象に意味をもたらすセリフにもなってる。こういうセンスは本当にさすが。
バノンのパケットトリックにしては最近ちょっとダーティに始まる感じではあるけど、それ差し引いてもめっちゃ良いトリックです。

Cut and Run

4枚のAを1枚ずつ出します。
普通と言えば普通なんですが、ちょっとこうバラバラのとこから出したように見せる工夫があって、一個のビジュアルだけで言葉で説明せずともそういう印象を与えるというのはいかにもという感じ。
最近のDVDでも複数回解説されてるのでかなりお気に入りの模様。

Hybrid Holdout

観客にシャッフルしてもらいつつデックの一部を保つホールドアウト。
Benjamin Earlがクレジットされていて、あっちはずっと観客にデック持っていてもらえるけどバノン版はちょっと自分でやる必要があります。そのための工夫は色々されているし、Cut and Runのようにバラバラの中からAを探すというトリックなら十分で、多くの場合でそこは別に気にならんという感じにはなるはず。
このおかげで単にシャッフルするという感じになったりメリットもあるので現象によって使い分けるのが良いかなと。
実際バノンもEarl版と組み合わせて使ってるトリックがあったりします。

Proxy Shock

スプレッドの中から見て覚えてもらったカードを当てる手品。
ズバッと当てれないこともあるのですが、出口がすぐそこにあるという感じでとっても鮮やか。
こういう特殊な技法の適切な使い方は痺れますね。

Stealth Assembly (w. John Carey)

先に3枚ずつ場に置いて後から4枚のAを置くタイプのアセンブリ。
バノンはこれ系統のやついくつかあるけど、3枚関係ないカードを置くところの説得力はこれが1番かも。
泡坂先生のあれ的な感じもあります。

Big Fat Bluff Aces

ヒッチコックエーセスとリバースアセンブリを合わせたようなもの。
2つの変則的なアセンブリをやりながらも、これ単体でもどういうことをやろうとして、どういう変わったことが起こったのかというのがよくわかる構成になってます。
Aを確実に4枚別の場所に置いてからの説得力ある消失が、なんもしてないのに二毛作わっしょいを達成していて実に見事。

Plot Twist

Twisting the Acesのベストエンディングについて。
最初はほぼ原案通りですが、ここのセリフはめっちゃ面白いですね。明らかに嘘なのにただひっくり返ってるだけには見えない感じ。
ベストなエンディングに向けて観客と演者のギャップを作っていくためのセリフとしても上手く機能しています。
オチの現象自体は新しいものではないですが、このプレゼンテーションならインパクト強められそうです。

Triplicity

オーバーキル的なカードと枚数目を当ててからの予言。
古典的な原理を使ったもので、枚数目を当てるところまでの手続きはとても丁寧です。
予言することによって最初からわかってたんじゃないか感が出る問題については一応演出でフォローされてるけどまあそう思う人はいるだろうなという気はします。
まあ原理が強い手品なので不思議さが損なわれることはありません。

Blues Alley Jokers

サンドイッチカード。
バノンが気に入ってよく使ってる技法一発なんですが、オーバーしてからの遊びっぷりが楽しい。
サンドイッチカードとして始まらないので意外性もある見せ方で、確かにサンドイッチの予感は感じさせているのですっきりもする。

A Fred By Any Other Name

カード当ての演出で、手法もとてもシンプルなものですが、良いリアクションが得られそうなトリックです。
まずフリーチョイスだしデックの表を広げて見なくて良くてメンタル手品として不思議。んで、文字通りのワンクッション的演出によってコミカルにも不思議さ増しにもなってます。

この作品に限らず、実態よりでかく見えるトリックが多くまとまっていてバノンお気に入りというのも納得やなと。

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