by jun | 2018/05/09

ふじいあきらさんがカードマジック事典に載ってるマジックを実演解説してるDVDです。
5つの技法と10種類の手順が解説されていて、手順の多くは本通りの解説ではなくふじいさんのハンドリングになります。
ふじいさんのアレンジ力は本当すごくて、決して冗長にならず技法を使うことでショートカットしたりビジュアルになったりしてどれも真似したくなります。
技法のとこで怪しさが出ては意味がないので、技法の細かい映像を観れるのも嬉しいところです。

超絶技法解説

パス、パーム、サイドスチール、ダイアゴナルパームシフト、カルの5つの技法が解説されています。
「細かい指の動きを解説してると日が暮れてしまいますので」ということで、動きの説明は最低限。
あとは映像で理解してねという作りです。

見所はやはりパスで、さらっとやるカラーチェンジがマジでいかついです。
座ってテーブルの上でパスするふじいさんも珍しいですが、その分カメラが上からのアングルなので強い角度は理解できるかと思います。
トップカバーパスも解説されていて、これが解説されてる映像ってあんまないのでとてもよいです。

ボトムパームとかの指の動かないっぷりも凄くて、どうやって回転してるのかがイマイチよくわからないのですけども、日が暮れるのでしょうがないみたいです。

ふじいさんの代名詞的技法であるダイアゴナルパームシフトも、ものすごくコンパクトな動きで終わるので必見です。

カルはコスチャキムラット的なやつというよりはコンビンシングコントロールの解説でした。

ライジングカード p153

ノーギミックで出来るケンクレンツェルの2の方ですね。
ふじいさんのハンドリングは原案通りですがクウォリティがえぐいです。
なかなかあんなに綺麗に出ないので、指の位置とか真似した方がいいです。

難易度は高いですが、この指の動きを応用した技法やそれを使った面白い手品がいくつもあるので覚えておくと損はないと思います。
やはりデックの真ん中からせりあがってくるのは魅力的です。

カットして当てるカード p135

「カットして当てる」というよりお客さんがカットしたのにカードの位置がわかるという感じです。
これも手法的には事典に載ってるのと同じなのでセリフなど演じ方を参考にするパート。
いやあ良い手品ですこれは。

ストップカード (1) p138

お客さんがストップをかけたところから選んだカードが出てきます。
ふじいさんはマックスカーツの原案から、ある動きを省略して演じていました。
かなり大胆なことをするので、体の動かし方やいつ喋っているのかとかとても勉強になります。

ライジングカードからここまで、最初に選んだカードを使って一連の流れで演じています。
3つはそれぞれ印象が異なるカードが出てくる系で、繋げてみても面白いですね。

トライアンフ p150

表裏ごちゃ混ぜにして戻って選んだカードだけ表向きになるやつです。
原案通りトライアンフシャッフルを使って演じられています。
ザローシャッフル流行りっぽいところがありますがやはり説得力は元の方が上です。
トライアンフシャッフルであれするところの観客の意識のコントロールぶりもさすがでした。

あと、ここで何故か「ふじいあきらのトップコントロール」としてサイドワインダー的なあれがさらっと解説されるのでとてもお得です。

私のまねをしてごらん (1) Do as I Do p205

出ました変な日本語タイトルの手品。
ごらんがやばいですよね。
デック2つ使うのは手間ですが、ただカードを当てるより「同じ動きをしたから同じ結果になった」というあたりが手品って感じがして面白いです。

原案はあっさりした操作なのですが、ふじいさんはちょっとだけ増やしていました。
カット1回だけだと真ん中の方から出てこないとおかしい問題があるからですかね。

しかし変なタイトルでも代わりに何が良いかって言われると特に思いつかないものです。
みんなも考えてごらん。

ポケットに通うカード (3) p290

タイバーノンバージョンのトラベラーズ。
サインカードが4枚別々のポケットから出てきます。
若干ハンドリングが変わっていますが、これは元の構成が素晴らしいのでふじいさんのパーム力によってスーパー手品になってます。
本当に魔法にしか見えません。

封筒の中のカード p297

サインカードがポケットの中に入ってる封筒の中から出てくる移動現象。
ルポールの原案では4枚のAを移動させますがふじいさんのバージョンは1枚。
直前までデックの中に混ざってるように見せる方法も異なります。
ルポール版はレギュラーだけでできて、最後にAと思わせてたカードが違うカードに変わってますと見せるのですが、じゃあ元から違うカードやったやんと思われる気もするので、ギャフ使うふじいさんの手順の方がなんだかんだ演じやすい気がします。

オチに使えるトリックなのでギャフの処理もそんなに気にしなくて良いかなと。
この封筒の簡易ギミックは本当賢いです。

色の変わるデック p164

ポールカリーのカラーチェンジングデックです。
これはかなり大きな改変がされていて、カラーチェンジの瞬間をビジュアルにしています。
難易度は高いですが、動きでカバーするものなので頑張ればなんとかならなくもないです。

その他カードを選ばせる方法も変わっていて、例のサトルティと一緒にやっちゃうことで不自然さが減っています。
デビッドウィリアムソンも言ってましたが、過剰にやんなくても疑う人はいないってやつですね。
追われてないのに逃げるなのいい例だと思います。

ちなみにこの次の演技までの繋ぎはノーカットなので、ギャフの処理も見ることができます。

アンビシャスカード p241

バーノンの手順は長い上にコントロール方法がちゃんと書かれていなかったり、「トップチェンジをしたふり」「グライドをしたふり」など文章ではほぼ理解不能な形でしか書かれていません。

というわけでふじいさんのアンビシャス手順です。
テレビでやってるやつとは違って、下に移動するとかも入れてましたがそれは原案リスペクトな感じでしょうか。

コントロールやスイッチのこだわりはもちろん、手順構成まで本当に素敵です。
特に二段目のあれは些細なことですが説得力上がりますね。

デックの消失 p119

カード3枚をハンカチの中で当てて、ハンカチの中から残りのカードが全部消えます。
原案は3枚目を当てるのにポケットを使いますが、ふじいさんは全部ハンカチの中から出してました。
どちらかというと消失の処理は原案の方が怖くない感じではあるものの、ふじいさんのやり方も動機がはっきりしてるので練習さえすれば大丈夫です。
ふじいさんの芝居のうまさが光る手順で、なんとなくハンカチの中のトランプから探してる風に見せるって結構難しいので、あのバランスにできるようにしたいところ。

ボーナスとしてチョップカップとコインマジックの演技も収録されています。

改めてカードマジック事典のありがたみがわかるDVDです。
古典かつ名作揃いでふじいさんの演技がいいというのはあるにしても、こんなおもろいもんが他にもたくさん載ってる本は読み直してみたくなります。
これ見たあとだと、ふじいさんならどう演じるかと考えながら掘るのも楽しいです。
原案からの跳ね率でいうと色の変わるデックが一番でしょうか。

本のデメリットって解説読む前に自分で見て驚けないことで、それが結構でかいマイナスなのでこういうDVDがもっと出て欲しいものですね。
あとカードマジック事典次に改訂される時は絶対に索引をつけていただきたいと思います。
技法とかなんに使うかわからないので索引つけてごらん。

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