by jun | 2018/05/23

みんな大好きデビッドウィリアムソン。
よくみんな大好きみんな大好き言いますがデビッドウィリアムソンほどみんな大好きマジシャンも珍しいんじゃないでしょうか。


手順の賢さ、現象のインパクト、全く技法感を感じさせない超絶テク、キャラクターの絶妙な可笑しさなど全く隙がありません。
とくに演出面はずば抜けてて、結構攻めてるのに誰も不快にさせないバランスが見事すぎます。
このDVDは解説前にウィリアムソンさんがふざけてて、普通なら早く解説しろやって思いそうなんですけど、憎めないどころかもっとやれもっとふざけろって思ってしまうのですね。
まだ未見の方はセリフや間など学ぶべきところが多いですし、解説でも大事なこも言いまくってるのでスクリプトマヌーヴァから出てる日本語字幕版がおすすめです。

Rebate

ペンからキャップを外して振るとコインが数枚出てきます。またキャップにコインを入れるようにしてキャップを閉めるとコインが消えます。

ものすごくライトな演技なのに超絶不思議で面白いです。
ペンを振ってジャラジャラ音がするのも楽しいですし、がっつりペンとコインのルーティンやるのもいいけどさらっと不思議なことやる感じがたまりません。

こんだけ起承転結がはっきりしてて綺麗に始まって綺麗に終わるのにハンドリングにも無理はなく賢いの一語に尽きます。

Cocktail Dazzler

見て覚えただけのカード当て、お客さんの手に持ったカードの変化、アンビシャスカード、モンテっぽいやつからエブリウェア&ノーウェアというノーセットの即興で行えるカードルーティン。
まとめのような素晴らしいオチがついててめちゃくちゃ綺麗です。

技法的にはカードマジック好きならみんな知ってるようなことしかしてませんが、これ見て勉強にならないって人はいないと思います。
高水準のテクニックはもちろん、演技リズムや手順と手順の繋げ方、オフビートの効かせ方、連続で現象が起きてるのにそれを理解させる演出力、何回見ても本当に素晴らしいです。

The Memory Test

ウィリアムソン代表作の一つであるメモリーテスト。
ジョーカー二枚をポケットにしまってから、記憶力のテストをすると言ってスペードのAとハートのAをお客さんの指に挟みます。
カードを動かして2枚の位置を記憶してもらいますが外れます。
最後にポケットに入れたカードはなんだったかと尋ねるとジョーカーと言われますが、ポケットの中からスペードとハートのAが出てきて、お客さんが持ってるカードがジョーカーになってます。

半端ない傑作です。
記憶力のテストということでモンテ的な勝負感は減りますし、観客がカードの表を見ないように優しく制限をかけることもできます。
お客さんにもすり替えるだろうと思われる手順ですが、大胆なことやるタイミングは細かく計算されていて、全体として見て怪しさ0ですし、オチのオチっぷりもえぐいので尾を引く不思議さがあります。

ハンドリング的にもとても完成度高いです。
現象からだいたい何やるか想像つくと思いますが、意外とあの状態からあの状態にするのって手間がかかるので、カードを適宜示しながらあんだけ不自然を削ぎ落とせてて天才的です。
くるくる回すやつは使いません。

セリフも本当によくできていて、実演で演技後のオチのセリフとかマジ最低で最高でした。

Sympahetic Coins

4枚のコインがハンカチを貫通します。
3枚目まではカードで隠しますが、ラストはお客さんの手で隠してもらっても貫通します。

いちいち両手が空に見えるようあらためられるので本当に不思議。
「とくに難しいテクニックは必要ありません」と解説が始まりますが、淀みなくクリーンに見せるのは結構大変です。
その分リラックスして手を見せれる構成になってるのはとても助かります。

現象的にはハンカチ挟んでることで音で貫通を表現できるのがとてもコインマジックっぽくて良いです。
手を振って鳴らすだけでもありませんし、今この瞬間って感じが伝わるのはビジュアルとは別の面白さがあります。
マットがなくてもナプキンとコインさえあればできるのも良いですね。

Funner Color Stunner

トライアンフの後にカラーチェンジデック現象も起きるパワフル手順。
こんだけやっても全く無理なところがないって本当どうやったらこんな賢いの思いつくんでしょうか。
シリアスめなウィリアムソンの演技も必見です。

あと、カラーチェンジングデックをやった後によく言われるあれについての件がめちゃくちゃ面白いです。
よく言われるんだったらなんか準備しとけってことですが、お客さん直々のリクエストで即効現象起こるのでほぼ手品の理想形のような状態があるんだから、それを逃すのはもったいないよという話です。
他の手品にも応用できる考え方で、そういう形を作る隙のある手品って結構ありそうですし、なんかやった後によく言われるセリフって絶対あるので何か用意しておきたいものですね。

Liar’s Poker

嘘つきポーカーというタイトルの手品ですが、いわゆるポーカーデモンストレーションではなく5人に一枚ずつカード覚えてもらうだけで、それが当たるかどうかにお金をかけていきます。
それぞれ外れたようにみせかけて全部当たってるという手順で、解説見ると賢さに震えます。

お金出してこんなにやらしくなく見せる手腕もえぐくて、サッカートリックの予定調和感も全くありません。

The Striking Vanish

必殺ストライキングバニッシュ。
鬼クウォリティです。
達人が細かいコツ、動きだけでなくどこで何を喋るかまで教えてくれています。
「これは最近フラッシュしてるような気がしてやらないんですがー」ってやってるのが全く見えないので鬼クォリティぶりがよくわかります。

ペンでコイン叩くと消えるってだけでも十分面白いですが、他にもコインやボールの変化、パースを使ったルーティンなどが解説されていてどれも全部おもろいです。
ペンのキャップからコインを出す方法とかもめっちゃクリーンで感動しました。

カードケースのフィルムにコインが貫通するやつは本で読んだだけだとよくわからなかったのですけど、映像で観ると半端なかったです。
その中で一番怖いとこがあったのですが、実演見るとあまり怖くなくなりました。
ウィリアムソンの演技力がすごいってのもあるんですが、やばいところはお客さんが疑わないようなところに置かれてるんですね。

というわけで全方位に置いて恐ろしい完成度の作品が詰まったDVDでした。
手品学び始めの人は絶対見たほうがいいですし、知識が増えれば増えるほど感動する部分もあります。
何より人としてすんごいおもろい人で、手順の魅力を演技で更にパワーアップさせてて、こういう手品やりたいなーって気にさせてくれます。
底なしの手品沼の入り口としても最適で、より多くの人が沼から抜け出せないようになることを願ってる身としては未見の人には絶対見てほしいですね。

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