by jun | 2018/12/16

2018年、カードカレッジライトとカードカレッジ5巻、そしてこのカードカレッジライターとカードカレッジ日本語化惑星直列が起きました。
5巻の方は待望の、ライトシリーズについては存在もあまり知られてなかったところにこのグランドクロスが発生して日本手品界にとってとても良い1年になったと思います。


カードカレッジライターはカードカレッジライトの続編で、LighterやからLightより簡単やろと思ってる間抜けが僕の他にもいるかもしれませんが、色んな意味で難易度は上がっています。
まず、ライトが3作品を繋げたルーティンを用意していてくれたのに対し今回はオープニング、中盤、締めにそれぞれ相応しいトリックが7個ずつ用意されていて、組み合わせは自分で考えないといけません。
トリックはライトと同様にノースライトのセルフワーキングなのですが、演じるのが難しい作品が多く含まれています。
アドリブが必要なものや、一定の確率で事故が発生するもの、現象や設定の説明にやや工夫がいる手品など、多少の経験がないと難しいものが多いです。
技法ではないけどちょっと大胆な動きをしないといけないのとかもちょこちょこありますが、もちろん色んな状況に対応した解説は丁寧にされていますし、リスキーだからこそ決まると超不思議に見える手品の魅力も味わえます。
超親切だったライトからちょっと自分なりの考えが求められるライターと、確実にステップアップできる仕様です。
ライトがコマ付きの自転車だとしたらライターはコマ外して後ろからお父さんが支えてくれてる感じ。支えてもらってるから安心してすいすい漕いでて、ふと後ろを見るとお父さんは遠く離れてて、やったーいつのまにか一人で乗れるようになってる!となると良いですね。

手順自体は知ってるものも多かったですが、やっぱジョビー流のプレゼン込みで読むとやりたくなってきます。
日本一信頼できる手品本翻訳者である富山達也さんの翻訳もライトに続いてキレキレでした。今年だけでライトライターハイカリバーと、日本手品界への貢献ぶりがやばいことになってます。

Part 1

オープニングに適したトリック7選。
セットが必要でがっつり不思議なやつです。

最初に解説されている”Voilà, Four Aces!”はカード当てしておまけで4A出せるやつ。
残骸かと思われてたカードが全部エースだったという錬金術感が最高です。
前半変にサカートリック風に見せないセリフもいいですね。
段階的に見せれるしエース出るしとてもオープニング向きだと思います。

4A出せる手順では”Fully Automatic Aces”もフェイズが別れてて観客参加型で素敵です。
プレゼンテーション的にもマジックの2種類の不思議を体感させれるし、目的は同じだから相性の悪さも感じません。
なんとなくカード当てから入りたくないという時はこういうのですね。
あとセットの覚え方とかちょろんと書いててくれててとても助かります。

カード当てでないやつでいうとジョビー作の”Strange Harmony”。
現象は観客が取り上げた枚数と、別の観客が選んだカード2枚のカードの合計が一致するというものです。
原理は無類に面白く、詰めでも追われにくくする工夫に余念がありません。綺麗に巻けるのにただややこしくしてるだけじゃないバランスがクール。
てかこの現象オープニングでやるのめっちゃ渋くてかっこよくないですか。

“The Thought-of Card”はカードを引いてもらわず見て覚えただけのカードを当てるやつでバーノンのあれの改案です。
良くなってるところは質問をしなくていいことと、怪しげなシャッフルを省略しているところ。
その代わりに別の手続きが必要なのですが、メンタル成分を抜いて手品っぽくしたおかげでほとんどマイナス面が目立ちません。
その時点ではカードを知りようがないわけだしシャッフルのとこは全然あれに置き換えていいですよね。
マルチエンディングですが登場人物全員死ぬようなバッドエンドはなく、ウルトララッキーパターンがある素敵バランス。

マニア向けのカード当てなら観客がシャッフルして覚えて戻してまたシャッフルさせられる”Risk!”。
観客への指示はシンプルで一般のお客さんにもストレスなくやってもらえるかと思います。
これオープニングでやっちゃうとなんでもできるやんと思われる危険もあると思うんで、当て方は慎重に選んだ方が良さそうですね。

Part 2

オープニングにしては変化球すぎるしトリに持っていくのもなんか違うけど良い手品、という事はよくありますよね。
ここで紹介されてる7手順は良い意味で中継ぎ感があって、現象は少し変わってるしノーセットで出来たりオープニングで出したエース使ったりするのでもぞもぞせずに移行できます。
トリックの間が直接繋がってなくても切れ目なく演じられるのは良いものです。

“The Spectator Does a Trick”はマジシャンが選んだカードを観客が当てるという変わった演出の手順で、観客がシャッフルしてからマジシャン側はデックに触らなくても良いのはでかいです。
もやっとするカードの決め方もこの見せ方なら必然性ありますし、説明も端的に済ませています。

観客が自由に選んだ複数のパケットのトップカードの数値の合計と残りのカードの枚数が一致する”The Cards Knew”はそんなんわかるかっていう原理にやらしいセリフを絡めた秀作です。
これはエース使うし、派手なエース出しの後の現象に向いてる気がします。

即興で出来る不思議なカード当て”Senza Toccare (Look Ma, No Hands)!”はカードの選ばせ方も当て方も変わってて不可能性も高く見えて良いです。
似たようなやつでもっと複雑な原理を使うのもありますが、ノースライトでシンプルでも十分不思議。

“The Birthday Card”は観客の誕生日をカードを使って当てるというもので、息抜きにはちょうどいい下品じゃないギャグでちょっと不思議。このちょっと不思議なのが滑った時の保険になります。

観客が取った枚数とマジシャンが取った枚数の一致”A Condition of Balance”もシャッフルした状態でスタートできます。
一致なのがこの本に載ってる他の枚数系と違うとこですかね。
これは演者が頑張るエスティメーション的な演出なのですが、微調整していくとこがおもろいです。なんか美容師さんが髪乾かした後にちょろんと耳のあたりの毛を切る感じ。

サイコロを使ったオープンプレディクション”10-11-12″はかなり不可能性が高く、即興で出来るので強め。
なんともならん時はどうしようもないのですが、それでも「経験上この数字が選ばれやすい」というやつよりは遥かに信頼できます。
これがサイコロジカルフォースというやつですか違いますか。

Part 3

オチにバシッと決まるパワフル現象7選。

割とガチ目に見えるギャンブリング手順”Subconscious Poker”もセルフワーキングで済んでいいです。
現象的にも2段階に見せれるしセットも簡単なので楽に積み込めます。
ガチじゃなく手品的に見せる演出もちょうどいいんじゃないでしょうか。

ラッカーバウマーの”PSI Con Carte”は覚えてもらったカードを箱の中に入れて当て、リバース現象のおまけ付き。
この原理でカード当ての現象も足せるのがええですね。
ちょっと観客にやってもらう操作が難しいので演じにくさはありますが、カード当てとして見せれると不可能性を高める演出としてちゃんと機能します。

観客が裏表ごちゃ混ぜにしたパケットで4枚のキングだけが表向きになってる”Mr. King’s Tapestry”はカードマジック入門辞典にも載ってるあれですが、カード構成と演出が変わっています。
確かにこれ最初に全部表見せた方がいい気もしますね。覚えやすいですし。
まあこれは本当良い手品です。

オチと言えばトライアンフ。”The Card Sharp’s Triumph”はセルフワーキングと言えるギリの範囲で頑張ってます。
ディスプレイからさらに表裏混ぜたように見せる流れがいいですねこれ。
ラストの見せ方についても大事なことが書かれてます。
オチだから本当大事すよね。

Part 4

解説された手順を例に理想的なルーティンの組み方、スタックシャッフルやデックスイッチなどが解説されています。
ここまでのマジックをより強力に見せるためのものでもありますし、既に覚えてる他のカードマジックの特性をあらためて考え直す機会にもなる内容です。
まあここで21個も解説されてるのでそれだけでも全然遊べます。
単純なカード当てが少ないのも嬉しいところで、それだけで適当に組んでもマンネリ感が出ません。

個人的に好きなやつだけ並べるとFully Automatic Aces→ The Cards Knew→ Mr. King’s Tapestryとかになりますが、これでも観客の自由な選択というのが別の形で発揮されてて悪くない気がします。
最後だけThe Card Sharp’s Triumphにしてマジシャンパワーを見せても綺麗に4A使えてオチ感も出るし良いですね。

Strange Harmony→A Condition of Balanceと枚数責めにしたい衝動も抑えられませんし、きもいカード当て三部作としてRisk!→ Senza Toccare → PSI Con Carteと極めたい気持ちもありますが、現象がかぶるのはやはり退屈な感じがします。
プレゼンテーション次第で別の現象に見せることは可能ですし、徐々に不可能に見せる演出も全く一貫性がないよりは良いかもしれません。

なんにしてもセルフワーキングだけで3つも繋げられるというのはいいもんです。
3つ現象が起きて一個も怪しいとこがないわけですからそりゃいいでしょう。観客が間違った予想をしてしまうリスクも少なくなるはずです。

手品先輩はこういう手品を練習すれば良いのではないかと思いました。
あの先輩アドリブはめっちゃ効くし、ここに載ってる手品向いてる気がします。
手順わすれてあうあうなってもそれはそれでいいわけですし。

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