by jun | 2022/05/10

1995年にリリースされたGeorge McBrideのカードマジック本。
ちらほら作品は見ていて当たり率かなり高い人という認識はありましたが単体の作品集は初めて手に取りました。ベストって言ってるしおもろいやろと思ってましたけど間違いなかったです。
手続きもセットもシンプルで、基本的な技法中心に構成されている手順が多く、そう言うとどズブのマニアの皆様には物足りないんじゃないのと思うかもしれませんが、ちょっとイロジカルな感じもあったり、現象に意外性もあるので割と多くの人が楽しめる作品集ではないかと思います。

Triola

3枚のカードをサンドイッチで当てます。1枚は普通にサンドイッチして、後の2枚はジョーカーが変化します。
自分がこの動きを知ったのはMatneyのSt. Nicholas Acesでしたが、たぶん1番手が変な角度になりにくく無駄なカードの動きも少ない方法でサンドイッチカードをスイッチできます。
St. Nicholas Acesでやった方がフリが効くから意外性は高まる気はしますが、このムーブは覚えておいて損はないです。

All From One

ジョーカーを使った3枚のカード当て。
1枚目は観客がジョーカーを差し込んだ隣の場所から出てきて、2枚目はサンドイッチされ、3枚目はジョーカーが変化するというバラエティ豊かな手順です。
サンドイッチの見た目が若干もにょるけど、1枚のジョーカーというコンセプトで上手いこと3段手順にしていて面白い。

Ambitious Hofzinser

アンビシャスカードとホフジンサーエースを合体させた手順。
そんな無理やり合体させんでも、と思うでしょう?これがなんと、無理やり合体させた感じになってます。
合体させたというより手続きの都合もあるんですが、気になるのは演出面。
エースを1枚ずつボトムに回していって、トップに上がってきたらそのマークはあなたの選んだカードのマークではありませんというルールで進行して、なんで不思議なこと起こってるのにハズレ扱いなんやという現象の不完全燃焼感が凄いです。この後にホフジンサー的なことが起こっても、うーん。

Angel Heart

観客がカットした枚数とカットした場所のカードを覚え、カードはデックに戻して再び同じ枚数数えると表向きになって出てきて、さらにフォーオブアカインドが表向きになるという現象。
ハーフパスのタイミングが若干ストレスではあるものの、シンプルな仕組みでオチまで持っていけて良い手順だと思います。

Blending Bullets

ハートの4とハートの6を合体させてハートの10にする現象。
デックの上でなく2枚のカードの間で合体させるという見せ方で、クリーンだし2枚が1枚になった感も強いんではないかと。

Campbell’s Aces

デックの中で4枚のうち1枚がひっくり返る式のホフジンサー。これ系の中では初期に発表されたものだと思います。
エースを表向きに置くんではなく、裏向きにデックの真ん中に裏向きにおいて3枚がひっくり返るので、もう一枚もAであるという錯覚は強いです。

Immediate Ace Spell

トップ4枚セットからはじめられるスペリングのA出し。
確かになるほど。

Imogen

ハートの2とスペードの8からハートの8かスペードの2かを作ってくださいみたいなやつで、作ったカードをスペリングするとできた山のトップから作ったカード以外の同じ数字3つのカードが出てきて、作ったカードは箱の中から出てくる。
これ系のやつ、なんでそういうカードの決め方すんのって問題がありますが、現象自体でその説明が出来る流れなのが良いですね。

One Too Many

何回カードを減らしても4枚になるやつでカード当てもやるパターン。
覚えることが少なく簡単な手続きで出来ます。
これカード当てでやると選んで戻してゴニョゴニョしてが長いので他の手順で使ったサインカードで不意打ちやると良いですね。この手順のオチの見せ方もサインカードにとても向いてると思う。

Pass the Sandwich

アールネルソンのじゃない方。
バニッシングエースのあれですね。
ルイスオテロのコレクターのあれが有名でしょうか。
サンドイッチなら消えて探しに行ったという見せ方も色々ありますが、仕組みが面白いのでしょうがないです。

Repulsion

エルムズレイのRepulsive Aceのバリエーション。
現象はQの間に入れたセレクトカードが消えてポケットから出てきます。これをセレクトカード2枚でやる手順で、その前にトップに上がってくる現象とかなんやかんやあって、やや手続き上の都合というかサトルティのための現象付け足し感があるんですが、取り出す時は手を空にして見せられる構成は面白いです。

Roy Walton’s Flight Path

上の手順をロイウォルトンが改案したもの。
スイッチの方法が違ってて、大胆な手法を手順に上手く組み込むの上手いなーと。

Thought Provoked

スペリングとリバースファローの原理を使ったThought Card当て。
見て覚えてもらったカードとスペリングは相性割といいような気がします。文字数だけで特定できるわけではないし、演出としてもそこまで不自然ではないかなと。

Transmutation

アンビシャスカードとラストトリックとオイルアンドクイーンが味わえますという手順。
そこまでダラダラ長いわけでなく、途中でデックを持ったりやたらとあっちゃこっちゃ持ち替えたりということもなく、構成で錯覚させる手順です。
カーニーのSanvertedにオイルアンドクイーンが足されてる感じ。そういうとSanvertedはプレゼンテーションでうまくアンビシャス現象とラストトリックを組み合わせたトリックなのでオイルアンドクイーンは余計かと思わんでもないけど、不思議なパワー演出の勢いも悪くはないと思います。

Travelling PDQ

3枚のセレクトカードが別々のポケットから出てきます。
この原理をトラベラーに使うのたぶんあんまないはず。
ハンドリングの詰めもしっかりしてて、とても良かった。

そういう感じで、満足度の高い一冊でした。
カードマジックは技法と現象をどう組み合わせるかのセンスが問われるものですが、この現象にこの手法を使えるのかとか、その技法にそんな使い道がという面白さがいくつもあるので、感性が養われる気がする本でもありました。

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