by jun | 2020/02/19

Paul Swinfordが1968年に出したファローシャッフルを使った手品の本。
同じテーマの本はいくつかあるのですが、この本は作品がたくさん載ってて原理的にも変わったものがメインで使われてて面白いです。
実際演じようと思うと重ためのも多いですけど、そんなことも出来るのかというものもあって大変勉強になりました。

Improbable Coincidence…

カードマジック事典でいうところの同時に現れるカード的なやつです。
ジョーカーを差し込んでもらってその両隣のカードを覚えてもらい、シャッフルしてから2つのパケットに分けて配っていくとセレクトカード2枚が同じ位置に現れます。
ジョーカーを差し込んでもらうのがミソで、そこが上手く原理にもなっていて渋いです。
パケットでやることになってますが、52枚でもできますね。

Transmigration

2人の観客にカードを見て覚えてもらってその枚数目も覚えてもらいます。
何度かシャッフルすると、反対の観客が覚えた枚数目からそれぞれのカードが出てきます。
こっちにカード入ってますか的な質問を何回かしてそれに合わせてシャッフルの仕方を変えるんですが、これがとても面白い原理です。
演出も結構色々考えられそう。
この後もこの原理のバリエーション的なのが多く紹介されてます。

Positions Across

Transmigrationと同じ原理を、色違いの2つのパケットでやることで現象がわかりやすくなってます。

The Joker is Wild

2枚のカードを覚えてもらい、ジョーカーを差し込んでファローシャッフルすると両隣のカードが覚えてもらったカードになります。
マルローのあれを使ってあれする感じで、シンプルに良いっすね。
サンドイッチでやるのもありますが、2枚を一発で探し出すという意味ではスッキリしてます。

The Seekers

こちらは2枚のカードがサンドイッチされる現象。
マニア目線で見るとファローシャッフルしたのに2枚挟まってるーって感じの驚きもあります。
演出もしっかりしていて楽しい手順です。

Switcharound

これも2人の選んだカードの位置が入れ替わる系のトリックです。
手品にはなかなか使いにくいファローシャッフルの某原理があって、色々調べましたがこれはかなり良い感じの使い方だと思いました。

Alpha and Omega

こちらもTransmigrationの原理を使ったカードの入れ替わり現象。
色違いのカードを1枚入れて、そのカードの位置が観客が覚えてる枚数目に移動するから予言的にも見せられます。
たぶん一番わかりやすく見せられるのはこのバージョンです。
色違いじゃなくても1枚ひっくり返しておくとかでも出来そうですね。

Duo-Spell

こちらもTransmigrationの原理を使ったトリックで、メンタルセレクションとスペリングを合わせたもの。
セットは複雑になってますが、観客の負担が減ります。

Psychedelic

4枚のカードの合計数の枚数目にあるカードを予言するトリックです。
4枚のカードをフォースする方法が面白く、フォースというか別の原理なんですがそのセットをニューオーダーから簡単に作れるのも良いです。

Opus Thirteen

シャッフルしたデックから赤のA〜Kと黒のA〜Kを抜き出す手品。
これもニューオーダーからセットできるもので、観客のシャッフルも入るので不思議です。
赤と黒の出し方に差をつけて色んな演出が考えられます。

Fantasia

これは観客が取ったカードの赤の枚数と黒の枚数を予言する手品。
ミラスキルよりカチッと当てられます。

The Double Whammy

ここから先はCCCC(Color Coded Control Cards)というカードを使った手品です。
5枚の色違いの紙があって、そこに数字とかカードの名前が書いてあり、その中に選んだ数字やカードが入ってるかを聞いてごにょごにょします。
実際には「聞く」必要はなく、いちいち操作しなくて良い面白い原理なのですが、手順が長くなりがちなのは少し痛いところ。
おまけとして手順で使うカードは付属しています。

最初のThe Double Whammyはメンタルセレクションと観客が思った数字で行うエニーナンバー現象。
やたら操作は長いですが、やってみると凄い不思議です。
あるなし聞いてあれこれする手品は色々ありますが、ファローシャッフルとの組み合わせは不思議度上がる気がします。

Impossibility

The Double Whammyを32枚のカードで行ってシンプルにしたような手順。

Birthday Magic

誕生日を使ったエニーナンバー現象プラス、その枚数目からメッセージカードが出てくるという超大作。
誕生日使うことで32枚使うことの理由が出来ていて、メッセージカードとCCCCさえあればすぐ出来ます。
さすがに長いのでメッセージだすとこだけでも十分かと思います。
数字は隠してもらわないといけないので、誕生日当日の人には出来ないのが辛いです。

Elimination

メンタルセレクションのカード当て。
CCCCを使うので演出にはやや気を使いますが、エニーナンバーよりカード当ての方が不思議に見えるかもしれません。
普通に良いんじゃないでしょうかこれは。

Faro Spell

CCCCさえあればノーセットでできるスペリングトリック。
選んでもらって混ぜてスペリングすると出てきます。
いやー、よくこれをこれで完成させたなというのに感動します。
現実的な話なら適当にピークしてファローでその枚数目にコントロールしてでも十分だと思いますが、気合いですよね。

他の手順もまあ実用性を考えるとやっぱりちょっとというのは多いですが、ファローシャッフル夢あるなーって感じでまさにファンタジーでした。
あとこれ一通り手順なぞるだけで100回ぐらいファローシャッフルすることになるので普通に上達しますね。
色んなパターン試したりして都合500回とかやったと思いますが、ファローシャッフル後に複数枚のカードがどう移動したか把握できるようになった気がします。
まあとにかく出来た時の感動が凄いです。
古本でしか手に入りませんが原理系興味のある方は是非。

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