2018年にVanishing Incから出たJonathan Friedmanの作品集。
音楽がテーマになっていてほとんどの作品で演出か道具に音楽ネタが絡められていたり、謝辞がラップで書かれていたりする本です。
現象としてはイカしたのが多いですが、手法はちょっと淡白な感じで面白みに欠けるのもあります。
なのでまあ音楽が好きじゃなくてそのまま演じられるネタを探してる人には辛いかもですけど、手法の面でも良いアイデアがちょこちょこあるので自分なりの見せ方を考えるのも楽しいです。
音楽が好きでなくても、70s80s洋楽好きの人狙い撃ちのネタとして覚えておいて損はないと思います。
School of Rock
4枚のカードとケースのフィルムに書かれてる文字が変化します。
文字とカードをうまいこと歌手に見立てていて面白いですが、ちょっと意外性には欠ける見せ方でもったいない感じがしないでもない。
日本人でもわかるようなネタですし、演出案は他にも考えられそうなアイデア。
Edge
3枚のピックを使ったバランス芸。
コインでやるよりガチっぽく見えそうです。
もちろんガチではないわけですが、ディスプレイに工夫があって割とそう見えます。
解説通りだとちょっと攻めすぎな気はしますけど、そこそこ攻めないと手品として見せれないのでその辺のバランスは演じる難しさありそうです。
Fortune Cookie and Fame
観客に端を持ってもらったお箸の上にフォーチュンクッキーを置き、クッキーを割ると中のおみくじは箸に貫通してます。
現象も良いしセリフもマッチしていて楽しい。
So Punk Rock
カードの裏にペンで模様を書いてもらって、そのカードが箱の中に移動し、次は模様だけがカードケースに移動します。
この本の中ではかなりのお気に入り。
ハンドリングも良い。
The Freshest Coin Transpo in the World
シルバーカッパーをジップロックの中と外で行います。
カードでも似たような考え方のやつはあるけど、コインだとシンプルでわかりやすい。
Bee Gee Wiz
Bee Geesのヒット曲がいっぱい書いた紙があって、それを一曲ずつになるように切って混ぜて、3人の観客に配ります。それぞれ文字数を数えてもらってその数字を並べるとBee Geesに見えるというネタ。
文字数数えるとこがちょっとダレる感じありますけど、Bee Geesファンの人がいたら絶対盛り上がる。
こういう特定の人に超刺さるネタは覚えておきたいものですね。
Super Dynamite Card Catcher of Mystery
リボンスプレッドターンオーバーを使った面白い動きと意外なトランスポジション。
フロッグプリンス的なあれです。
プロダクションがそこそこ見栄えするので意外性強いと思います。
The Chewing Gum Incident of 2017
ガムと包み紙のトランスポジション。
タバコとコインでやるやつに似てますね。
Air-Guitar Serenade
ギターのピックがピックの形に折られたカードに変わって、広げると観客のカードになります。
きらきら星のカード当て替え歌を歌いながらエアギターをするというあほくささが良いです。
Word-Seek and Destroy
10組のアーティストを書いた単語の中から1つ選んでもらって、演者はノートにアーティストの名前を書き出していく。書き出したアーティストの名前を斜め読みすると選ばれたアーティストの名前が出てくるというネタ。
ポピュラーな歌手の名前で作られているので日本でも演じられるものです。
セリフも見せ方も割と凝ってるのでおもろいと思います。
Card Tricks Suck
ストロー吸ってカードを当てるやつ。
2枚目の当たり方が面白いです。
同じ道具を使いながら意外な用途になる手品は良いもんですね。
Light My Fire
3人の名前を書いてもらって1枚が当たり。ライターの火を近付けると当たり以外のが燃え尽きます。
嘘発見器風の演出も良く、ハンドリングも手堅い。
Material Girl
デモンストレーション風に見せるトライアンフとバノントライアンフの組み合わせ。
くっつけただけとも言えますが、盛り上がりの流れはなかなか良いと思いました。
元ネタと比べると前半がややあっさりしすぎな気はしますが…
Out of Touch
ポストイットで行うT&R。
破ってくっつける理由がある演出で良いです。
仕組みもおもろい。
Soft Rock Aces
4枚のA出し。
表向きにトップに現れていくもので、面白いハンドリングではありますがこれじゃないとダメということもない感じです。
Bad Band Tatto
紙に書いた文字が2段階で変化します。
しかし、ライターで炙って変化するのが今時どれほど不思議に思ってもらえるかは難しいとこですね。
In Clenched Fist
コインが手のひらを貫通するルーティン。
別途何かが必要な手順ですが、その分説得力上がってる箇所もあります。
まあ、こういうのはコインだけでやりたい気もしますけども。
Drumstick Magic Wand
ドラムスティックがウォンドに変わります。
ドラムスティックに書いた字が変化するのですが、パドルに一工夫があって不思議。
Card-a-Pick
ピックを使ったカード当て。
これだけだとまあまあって感じですけど、エアギターのやつとくっつけると良さげ。
Mr. Smiley Thumb
親指に書いた顔が変化します。
書いたものが変化するのがお好きなよう。
Junior Mint
硬貨を偽造する手順。
コインの中ではこれが一番良かったです。
日本円でも可。
Ice Ice Baby
Bad Band Tattoと似たような文字の変化ネタ。
最後はICEと変化し氷が出てきます。
なんとも。
Home Sweet Home
ちょっと変わった見せ方のT&R。
移動したり消えたり現象が入り組んでる感じもしますが、破れ目の一致でデュプリケートの疑いを晴らすパターンなのでこういう畳み掛けの方が完全復活しないことが気にならないかもしれません。
セリフ上もそこを回避する工夫があって良かった。
They Call Me Mr. Peanuts
半分になったピーナッツがくっつきます。
ビジュアルで楽しい。
レギュラーピーナッツだけで出来るので覚えておきましょう。
以上24作品。
道具用意するのが面倒に見えるのが多いですが、書いたり折ったりする消耗品の扱いは割と考えられてるように思います。
さすがに音楽ネタは満腹なんで、ピーナッツみたいな日用品寄りのネタも見てみたいですね。
マジシャンで音楽好きといえばこの本にも推薦コメントを出してるガスタフェローさん、最近またアルバムをリリースされたようでこれが普通に良い。
Cordoba – Album by John Guastaferro | Spotify
Comments
No comments yet...