今年リリースされたRyan Murrayの新刊で、ある一つの原理を扱った本です。
この原理自体は古典的なもので、本書で使われてるバージョンも別のところで盛り上がったりしておりましたが、ここまで掘り下げてしっかり手順を作った人は他にいないと思います。
Curious Wavingのファローもそうだったけど、遊びで満足しそうな裏技的技法を手順にちゃんと使ってるのがほんまに凄い。
ちゃんとというのはちゃんとその手法ならではの魅力が出ているということで、「この技法で出来ること」をやっただけじゃないのがはっきりわかります。
特に”Ace Cutting”は超素晴らしく、Scarne Acesの理想的な形だと思います。
どうやって出していけばより効果的でマジカルかという考えも書かれていて、その高いハードルを越える手順が出来ていて感動しました。
どの手順もそうですが、これだけ強力な手法を使いつつそのパワーに依存しすぎず丁寧に段取りを踏んで効果を上げてる感じは勉強になりますし、不可能感だけじゃなく色んな面白要素を入れ込んでるのも好み。
あと”Blind Location”もシンプルに良かった。
裏向きに配っていって観客のカードのところでストップできる手品で、観客のシャッフルを含むものでこれ以上にナチュラルにやるのは思いつきません。
これはナチュラルじゃない方法でやるとちょっと成立しない気がするし、この手法ならでらという意味ではベストかも。
他にもまあ絶対マジシャン騙すマン手品が色々載ってます。
一般の人にやるにはオーバースペックかなとちょっと思ったけど、観客のシャッフルを含む手順は誰に見せても効果高いしそこが際立つ手順になってるんで挑戦してみたいもんです。
難易度は鬼で人前でやってみようと考えるスタート地点に立つのすら気が遠くなります。
原理のグリッチ的な面白さと質の高い手順で十分満足はしてるけど、手品は演じてこそという気がするので最近の中でも一番練習してる。
実用範囲であることが手順でわかるというのと、一つの事を極める熱量のやばさに浮かされてモチベーションが出てくるってのも高難易度の物を扱う本として良くできた作り。
超良い本です。
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