by jun | 2021/08/22

2016年に出たPepe Lirrojoによるファローシャッフル本。
ファロー本は60年代と70年代にたくさん出ているのでこれは結構新しめ。
ファローシャッフルの歴史からオリジナルを含む周辺技法、8つの手順が解説されています。
全体的に枚数目がどうという原理よりファローからの技法とか演出面に見るべきところが多く、ファローを使う人なら覚えておきたいようなのが多い本です。

The Faro Shuffle

ファローシャッフルの起源についての話や方法について解説されています。
やり方はカードカレッジの方法に近い感じですかね。半分に分けるとこの手つきがラフな感じで良い。
テーブルファローやアンチファローについても少しだけ。
あと、ファローじゃないパーフェクトリフルにも軽く触れられていて、マスターしてる人の名前が書いてたりします。

Techniques

ファローシャッフル関連技法。
ファローシャッフルを使う手順をやる人はその他の手順でも違和感ないようにファローシャッフルしたりすることもあるので、その動きの中で何か別のことができるのは便利です。
何かは伏せておきますが、この後の手順でも有効に使ってるものがあります。

Tricks

You Have Two Choices

即興のACAANということで、まあエニーの決め方は完全な自由じゃないパターンで、ファローシャッフルを使った手順では原理も古典的なものですが、演出が面白い一作です。
ファローに限らず、何かの目的を正当化したい時全般に使えそうなプレゼンテーションで、ファローの場合は特にシャッフルという別の見かけ目的があるので向いてる。
自由な選択が多いので期待を高めていく見せ方ができますが、欲を言うと最後の選択にもうちょっと意味があればという気はします。

Your Desired Cards

Aと観客が言った数字のフォーオブアカインドを出す手品。
形としては4つに分けたパケットのトップにA、2枚目にそれぞれ観客が言った数字が出てくるという見せ方です。
肝になるテクニックは結構色々応用できそう。
手順全体の流れも良いです。タマリッツのあのテクニックを使うのですが、ちゃんと聞いたことも間違えたものも活かす手順なので意外性もあるしギャグとしても成立しやすくわざとらしくなく使えます。
即興で観客のコールしたカードを出すのにはとても良い解決。

Pick Up Stack With Faro Shuffle

ノーセットで演者のところに強い役を作るポーカーのやつ。
これは色々なやり方があるので、オプションの一つとして持っておくと余計なカードの動きを減らすことができます。
普通にやるより目が疲れないかなと。

Total Assembly

トップにバラバラに入れた4枚のAをコントロールし、他の数字も全部4枚並びになるという現象。
演出面には軽く触れられてるだけですが、ここまでダイレクトな現象だと不思議なパワー推しでいくのは効果的かと。

Signed And To The Pocket

2種類のフォーオブアカインドのトランスポジション。
厳密なトランスポジションというよりは、こっちだと思ってたカードがこっちになってて、こっちだと思ってた方は別の場所からというパターンのやつです。2フェイズであんまり複雑にせずにまとまってます。
あんまりファローの原理が関係ない手順ですが、技法の使い方は良く、手順も全体的に手堅く普通に良い感じのルーティン。

Shuffled Message

Unshuffledのようにカードの側面に字を書いてるやつです。
4つの側面全部使うパターンで、それぞれ別の単語が書かれているのですが、観客のカードは別にメッセージとして現せるようになっています。
元ネタはMiguel Angel Geaらしい。単語はある程度自由に書けるので演じ方も幅広そうで面白い原理です。
また、この手の手品の参考資料が詳細に載ってます。

O.P.S.O.I

OPからはじまってスペリングとかあってニューデックオーダーで終わる大作ルーティン。
要はバラバラのデックをシャッフルしつつ通過点でも他の原理を活かす的な考え方で、そうは言っても意外と出来ることは少ないので手順として仕上がってるだけでなかなかのもの。
ニューオーダーになるところも観客のカードが消えてたりして意味があるし、手順通して1枚のカードに関連する現象が起こるのもおもろい。
これを読めばこの考え方でなんかしらの手順を考えたくなるような手順。

肝心のOPですが、自由なタイミングでストップしてもらいつつあんまりデックをごちゃごちゃできないので少し変わった方法が使われていて、OPとしてベストというわけではないけど悪いものではないです。複数の現象を組み合わせてルーティンにするときにこのプロットは絶対入れたいみたいな時じゃないと出ないようなアイデアでもあるのでそういう面白さはあります。

Theoretical A.C.A.A.N

ACAANというかファローで頑張るCAANで、エルムズレイのあれの原理的な解説があります。
あらためて解説読んで実際に演じようと思ったらどうするかということを考えると、ちょっとどうしたもんかという感じではあるんですが、エニー数字を聞いてから複数回のファローが必要なので、デモンストレーション的になりすぎないようシャッフルする理由を付けられればというところ。

この方のSome Different Stuffという作品集でもファローを使った手品がいくつかあるので興味ある方は合わせて是非。

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