by jun | 2020/11/22

2001年に出たRichard Buschの本で、メンタルマジック、特にピークに特化した一冊です。バナチェックが序文を書いてて良い本なんだと思いますが、現象/準備/手順みたいなフォーマットになってなくて読み辛いとか写真がわかりにくいとか解説がゆるいとかあんまり快適な読書とは行きませんでした。解説のムラについてはある程度メンタル手品できる人向けの本だからだとして、どの程度首を傾けていいのかとか目線を落とすタイミングとか、ピークするならそこ大事じゃねってとこがあんまり詳しく書いてないんで全体的にどう演じていいのかよーわからん感じです。
手品寄りのメンタルなので手法自体がわからないということはなく、その内容自体は良かったです。

Special Delivery

封筒の中の紙の文字やトランプをピークする方法。
いわゆる自然な動きの流れでできるものなのですが、その自然な動き自体がちょっと引っかかるものではあるのでそこはちょっと難しいあたり。
ただまあピークしたようには見えんと思いますし、書いてもらって封筒の中に入れて中身は後から見るというやり方ができるので使い道は多そう。

Cheekie-Peekie!!

名詞に観客が書いた絵を当てる手品。
おそらく一番観客が想像しそうな手法がダイレクトなので難しそうではあるんですが、解説されてる手順や演出であればそれなりに出来そう。

Master Busch’s Zen Billet Tear

センターテアがじっくり解説されてます。
目的の場所に書いてもらうアイデアが良かった。これだと書いてもらう動機がはっきりするし、破った紙の扱いなんかも良い感じだと思います。

Reader’s Billet

折り畳んだ紙の中身のピーク方法。
技法だけで見るとちょっと怖くて、ダイレクトに当てる手品には向いてないような気もします。
システムを使ったカードマジックとの相性なんかは良さそう。

Immaculate Thought Reception

名詞の束の中から1枚選んでもらって裏にメッセージを書いてもらってそれを読み取る手品です。
カードマジックの技法を活かしつつ、名刺を使ってることもあって自然に見えると思います。
やってることは単純なことなのですが、絶対に覗き見することができないように見せる手順になってて良い感じです。

The See of White Principle

両面真っ白の名刺の中から1枚選んでもらい、それが観客の手の中で印刷されます。
これはあんまりピーク関係なくてハンドリングだけ見ればまあカードマジックです。メンタルよりの演出方は参考になりました。
ジャブで名刺出すのに良い手品だと思います。

21st Century Imagery

4枚の紙にそれぞれ表には4つの単語、裏には4つの絵が書いてあり、なんだかんだしながら16種類の中から一つ決めてもらったものを当てます。
手続き的にガチメンタルっぽく見せるのは難しい気もしますが、ピークタイミングで数理的なものには見えないようになっていて普通に不思議。

Paper-Backed Thought Projection

借りた本でできるブックテスト。
2つ当てる手順になっていて、全体として手法を考えさせない良い構成だと思いました。
本の技法の解説がおもろかった。

Hard-Covered Thought Projection

ハードカバー本で行うブックテスト。
観客にパッとページを開いてもらえるもので、これが出来たら最強だなとは思うのですが、条件は色々と厳しめではあります。

The Hoy/Busch Thought Projection

ホイのブックテストのバリエーション的な。
原案で必要なことをやらなくて良いですが、別のことをしなくちゃいけないのでここら辺は好みの問題かと思います。

Harry Houdini Does Time

懐中時計の中身をピークする方法。
やり方自体は簡単だけどこれを現象にするのは恐ろしく難しそう。

Miracle Time Ⅱ

観客が設定した時間が予言されてる手品。
手法としてちょっと弱そうでもあるんですけど、これは演じ方の解説が面白く雰囲気さえ出せれば持っていけそうな感じでした。

Ned Rutledge Hangs Out

観客が思った単語が予言されています。
予言の紙は折り畳まれクリップにとめられ、輪ゴムがかかった箱の中に入れられているというもの。
これ自体はピークではなく色んな仕掛けのミックスなのですが、シンプルに厳重に封印されてる感があってとても良かったです。

T.A. Waters Objects!

封がされていて、剥がして貼れないようにサインもされている封筒を使った予言。
ギャグ的な演出で大胆な手法を誤魔化すもので良い感じでした。
まあ、この通りでなくても他に似たような事をやっているように思われるといえばそうなのですが…

Dai Vernon Says “Gimme A Break” / The Watch Your Step Peek

スペクテイターピークからブレイクとってピークするまでのこだわりの話。
ブレイク取れなさそうな指の配置から行けるのでマニア相手には良さそう。

他、4つほど古典的なピークのバリエーションが解説されています。バリエーションというか手を返す動機付けのようなもので、シチュエーションに応じて自然なものを覚えておいて損はないです。

The Blind Mans Bluff Peeks

演出とピーク手法をうまいこと合わせたカード当て。
パケット手品ではたまにありますが、上で解説されてるものを組み合わせれて演出の説得力を出せばシンプルに不思議な当て方ができそうです。

The Eye See Peek / A Hip Peek

観客が思ったカードを当てる手品のための技法。
この手の手法が好きなら結構良い方法だと思います。特に難しい説明を必要としないのでそう思わせることは可能。
Hip Peekの方は普通に使えるやつ。

Just In Case Peek

デックをケースに入れてからピークする方法。
これはまあまあ普及してるやつだと思います。
この本の流れで読むと使い道の想像が広がってよかった。

A Coin In Mind

コイン3枚の中から1枚選んでもらうあの予言。
MCなしで完全にフリーコールで1枚選んでもらえ、マルチプルアウトではないように見せる工夫もあります。
2/3ダイレクトヒットと言っていいと思いますが、残りの一つがなかなかのバッドエンド。
でもまあ良いやり方じゃないでしょうか。
アプローチが面白く、最近色々考えてたプロットなのでとても参考になりました。

Double-Date Delight

観客からコインを借り、封筒の中に入れてそのコインの年号を当てます。
良い感じの手法で、応用としてメタルペンディングが解説されててそれも良かった。

Pre-Season Super Bowl

スーパーボウルの結果を観客に決めてもらってそれが予言されてる感じに見せる手品。どっちが勝つか、何点差か、コイントスの結果みたいなことを予言できます。
ワンアヘッドを使うもので、この手法が面白かった。
この通りだと日本語ではできないけど、物を変えればできないことはないです。
もうちょっとピークを上手く活用すればどうにかなるポイントもあるのではとか思うとこもありますが…

Double Equiv-O.K

3枚の中から1枚選んでもらって裏表も予言されてるやつ。
最近ちょこちょこ見るけど、ここで解説されてるのは割とシンプルな方法だと思います。
3枚から1枚選ぶところもちょっとしたセリフ回しが良い感じでした。
この手のやつを見るたびにバノンのバリエーションを読み返すけど、あれは本当に良く出来てる…

The Legendary Billet of El Zorro

折り畳んだ名刺の中身をピークする方法。
ここまでの方法より、中身が絶対に見えないことを示しておけるので楽に堂々とできるものです。

全体的に使い道は考えないといけないテクニックも多いですが、Immaculate Thought ReceptionとNed Rutledge Hangs Outあたりは普通にそのまま演じられるもので気に入りました。
強すぎる手法をどう楽しい手品にするかというのは本当に難しいものですね。
超パワーの有効活用といえば、怖い話を聞いて夜中にトイレに行けなくなったエスパー魔美がおしっこを友達の膀胱にテレポートさせたのはマジ天才でしたけど、そういうアイデアが思いつけばなー。

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