by jun | 2018/08/05

ヘルダーギマレスのカードマジック作品集です。
クラシックプロットに一工夫してビジュアルで意外性のあるトリックが詰まってる名盤中の名盤。
マジックキャッスルでのライブ映像もあって、理論やインタビューも収録されてるのでスクリプトマヌーヴァから出てる日本語字幕版がおすすめです。

4・フォア・フォー

選ばれた4のカードが4枚のエースに変わります。
使われてる技法はクラシックなものばかりですが、うまく負担を分散していて、1枚が4枚になる部分のビジュアルなとこの勢いで怪しさが気になりません。
技法の前後の動きに非常に気を使われていて、マニアが見てもあっていう瞬間がないような構成で、ヘルダーギマレスらしい作品だと思います。
カウント使うのがちょっとなーって感じもあるんですけど、カウント後の見せ方、その後エンドクリーンに持っていく動きまで完璧じゃないでしょうか。

ヘルダー・スケルター

4枚の予言のカードを出しておいて、カードを1枚選んでもらいデックの真ん中に1枚だけ裏向きに戻します。
4枚のカードを見ると3枚が観客のカード、1枚がエースになっていて、もう一度4枚を見ると全部エースに変わっています。デックの裏向きのカードを見ると4枚のエース、4枚のエースは選ばれたカード1枚になっています。

パームオフ的なものとEverywhere Nowhere的なものの組み合わせで4 to 1のキックバックというマニアックな内容ですが、キックバックにありがちな元ネタを知らないと現象がよくわからないというようなことにはならず、演技テンポなども含めて勉強になります。
枚数ごと変わるキックバックはやはり強いですね。

当然あちこちにカードを移動させる技法が必要になってくるわけですけども、どこも無理はなくこういう動きしたからあれするなって気配も最小限に抑えられています。

スカルプチャー

トップとボトムに置いたジョーカーが消えて徐々に距離を詰めていくタイプのサンドイッチカード。
3段階になっていて、徐々に負担も怪しさも減っていく理想的な構成です。
前半の位置を確認する部分がちょっと怪しかったりするわけですけども、最後は間の枚数数えてからなんもせんので終わりよければ全て良し的な感じあります。

あと徐々に距離が詰まっていくのを表現するふざけたマジカルジェスチャーが効いていて、ギャグの塩梅って大事だと思いました。

ナマケモノ

Aプロダクション。
2枚エースが出てきたところで、残り2枚はKが出てしまい、最初の2枚もKに変わってます。
残りのデックを表裏バラバラに混ぜて、トライアンフな感じで4枚のAが出てきます。

オープナーだしセットいるしどうせなら色々やっちゃおう的な手順で、セット必要な代わりに無駄な動きは最小限。
トライアンフパートの例の動きもとても自然に表裏混ざったように錯覚させることができています。

インビジブル・スレッド

リセットのバリエーション。
見えない糸がバランスを取りたがるという演出で、AのパケットからKのパケットに1枚移動させると枚数だけでなく残りのAとKも入れ替わる2段手順です。

この演出は非常に優れていて、入れ替わる前のカードの位置の混乱を防げるだけでなく、実際に接近しないパケット同士が接近してないことをさらに印象付けることもできています。
あと、入れ替わりをカウント使わずに見せれるのもめっちゃ強いです。
リセットの問題って、終盤にカウントからのパケット接近というごちゃごちゃが重なる誤魔化し感だと思うんで、どっちも解消されてる見事な手順だと思います。
フェイズ分けて混乱しないようになってるあたりも素晴らしいですし、ハンドリングもクール。
パケットのトップからボトムにカードを動かさないといけないとこにもインビジブルスレッドが動機付けを手伝っていて全く隙がありません。

アベルトコート

Kを使ってオープントラベラーから全部Aに変わってKはポケットから出てきます。
確かにこのオチがついたトラベラーってKどこ行ったんってなりがちなので、ポケットから出すクリーンな方法があればそうしたいものですね。
ポイントとしては、この手のオチがついてるトラベラーには珍しく、4枚のKをくるくると見せなくていいところでしょうか。
そこから現象の説明、オチの準備完了させてしまう部分はさすがという感じ。

どうせなら4箇所のポケットから出てきてほしいというのは欲張りすぎでしょうか。
まあそれすると賢さ面とクリーン面はかなり後退すると思いますのでこれぐらいのバランスの方がいいかもしれません。

ショーでやってるバラバラのポケットと財布とAの入れ替わり的なのはすごいっすね。
準備や現象の伝え方など大変なとこも多いですが、4枚にサインさせる余裕があるがっつりショーなら強烈な手順。

メリー・アンドリューズ

4枚のジョーカーを使ったツイスティングエーセス。
なんか他と比べると地味ですが見れば見るほどよく考えられた手順だと思います。
ここでもエルムズレイカウントが上手く使われていて、ジョーカーでやってることもあって追えそうで追えない感じ。
オチは一枚表返すと全部表向きになるパターンで、表返した瞬間にカウント使うのかなーって思ってたら使わずに4枚表向きになるテンポの速さが渋いです。

>ノーマッド

赤青2つのデックを使ったサンドイッチ現象と移動現象。
ノーフォースで好きなカードを言ってもらって、観客がシャッフルした赤デックにほとんど触れずに青のK2枚でサンドイッチ、今度は逆でやろうとするも青の中から観客のカードが消えて赤の中に入ってます。
プレゼンテーション的にはブレインウェーブ的ではないのですが、色違いカードが観客のデックの中から出てくる現象としてはかなり打点高いです。
このプロットで無駄な動きがなく、ずっと観客にデックをもたせる構成力もさすがですね。

オマージュ

ホーミングカード。
立って表面を垂直にして見せれるのでそこそこの人数に対応できます。
最後1枚が超クール。
おまけの最後で解説で遊ぶあたりもおもろいっすね。

この解説の他に、リフレクションズで解説されていた「カード、サイン、グラス」の演技が見れます。
全体的にリフレクションズで展開された理論と合わせて見ると倍面白くなるようなネタなので、そちら未読の方は是非。
技法はできるだけ技法っぽさをなくした上で適切な箇所に使うとやべえことになるという凄みが本当よくわかります。
カウント後のサトルティやちょっと変形のスチール、ダブルカードの扱いなどこのレベルに達すれば全部良くなります。
これ見るまでカウント使う手品を避けてきましたが、こういう感じならやってみたいってのが増えました。
何事も上手くて賢い人の映像見るのが一番です。

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