by jun | 2018/08/09

ダニダオルティス、クリスチャンイングブルム、ミゲルアンヘルヘアの3人によるマニアックで超不思議なマジック集。
「合計体重400kg超え!!」という手品の商品でも他でも聞いたことがない宣伝文句がついていますが、もちろんただ巨漢を集めただけではありません。
今だともっとこの3人のヤバさが共有されていますけども、自分は3人ともこのDVDで知ったのでかなりの衝撃を受けました。
ちょうど手品のこと全部わかった気になったタイミングで見たこともあってボコボコに打ちのめされたことを覚えてます。
現象的にも手法的にもよくこんなこと思いつくなってのばっかりで、その感じも三者三様で手品の世界やばいなってのを感じることができるDVDです。

Eng-Blom Control

イングブルムコントロール。
何もしてないように見せるコントロールではなく、完全に差し込んだように見せてジョグを作る方法なので、トップでもボトムでもいけます。
横から差し込んで揃えてテーブルにドリブルしてもキープできるというマニアックな手法で、そこからリフルシャッフルとかすれば混ぜても大丈夫な手品と思わせることができそうです。
頑張れば複数枚もいけます。

Near Perfect circle

イングブルムによる変わったカードマジック。
カードのフェイスにペンで丸を書いてボトムに置き、観客にカットしてもらってカットしたところからひっくり返してそこのカードと丸書いたカードと擦り合わせると丸の中に選ばれたカードが出てきます。

このDVDの中では一番簡単に演じられるもので、賢さや策略を存分に味わえます。

Take Out coins

ミゲルアンヘルヘアは3種類コップとコインの手品やっててその1個目。
手からコップに移動するコインの逆、コップの中から1枚ずつコインが移動します。

4枚のコインが移動して貫通やビジュアルな移動も楽しめるおもしろい現象です。
コップに移動するチャリンの代わりに手にぬるっと飛んでいく感じがたまりません。
チャリンは確実にコップの中にコインが入ってることを示すのに使われていて、奇妙な空間移動っぷりが味わえます。
コップを使った変則的な技法と原理でめっちゃ不思議。

The Trick without Explanation

ダニダオルティスらしい愉快なカードマジック。
観客がシャッフルしてカットしたトップカード2枚を次々言い当てていきます。

スクリプトマヌーヴァの日本語字幕付き動画があります。
観客はジョニートンプソンさん。

なんと楽しそうな手品でしょうか。
きゃっきゃっしてるのたまらんですね。

もちろん作品としても素晴らしく、フェイズごとに異なる手法を使っていてその構成も見事ですし、なんつっても演技力がえぐいです。
目線やセリフのタイミングの完璧っぷり、何回見ても不思議。

Coins Through the Glass

ミゲルのコイン2つ目。
ペンでコップの中のコイン押すと貫通します。
恐ろしいほどリズミカルで、本当に押し込んで貫通してるっぷりがやばいです。
Take Out coinsもそうですけど、リズミカルでもコインの枚数関係がわかりやすく現象ははっきりしてるので混乱を招きません。
テクニックと原理と仕掛けの幸せな融合じゃないでしょうか。

Through the Cartoon

ミゲルのコップとコインラスト。
Coins Through the Glassからの流れで演じています。

カードにペンでコップを書いて、コップの中には3枚のコイン。
コップを書いたカードからコインが出てきて、コップの中からはコインが1枚消えて、ラストはキックバックという素敵な構成です。

カードにコップを書くというアイデアがとにかく素晴らしく、絵面的にも面白いしオチまでかなり都合よく機能してくれます。
3つのコップコインの中で一番好きです。

The last Match Trick

イングブルムのマッチを使ったトリック。
箱からマッチを全部出して、箱を振るとマッチが1本出てきたり、火を消したマッチにまた火がついたり、また箱の中からマッチが出てきたりマッチ自体が消えたりした後、箱から出したマッチを見ると全部焦げてるというオチ。

めちゃくちゃ面白いです。
現象も盛りだくさんで、どれもマッチのマッチ性を活かした現象なので楽しく見れます。
機構も優れていて、カードよりちっこい物でここまでダイナミックな演技ができるんかと感動しました。

Chaos in Order

ダニダオルティスらしいインパクトあるカード当て。
カードを選んでもらったらシャッフルしてもらって、カードを束で何枚か抜き出してもらいます。
演者はカードを探してきて、観客が抜き出した束を見ると、選ばれたカードと同じマークのカードがA〜Kまで順番に並んでます。

ノーセットでやるので全体的にめっっちゃ図々しいんですけど、その図々しさをうまく分散して図々しさを発揮するタイミングも抜群。
なんか奢りの時だけ「ちょうどその日は暇なんすよ!」とか言って飲み会に来て3次会のカラオケで歌いまくるけど全然嫌な気はしない後輩みたいな手品です。

最近日本語版で出たトラバハンドエンカサの中でもテーブルの使い方やカードの位置関係の話をしていて、合わせて読むと納得できる作品でもあります。
あとはかなり演技力勝負。
でもやっぱり手品って演出とトリックの合わせ技なんで、うまくはめて強烈な現象できる作品って素敵です。

Hofzinser’s Problem

ミゲルのホフジンザープロブレム。
変わった技法が使われていて、あっち持ったりこっち持ったりしてないですし、無駄なカットやひっくり返しもありません。
コイン考えられる人ならではと言っていいのかはわかりませんが、ホフジンザーはこういうノイズ減らす思考が活きる手品なのでめっちゃ良いですね。
先にAの中にある裏向きのセレクトカード出してからデックの中のA見せる順番はちょっと好みに合わないんですけど、その方があっち持ってこっち持ってしなくていいのでこの場合はこの見せ方の方がいいかもしれません。

Mini Oil and Water

ダニダオルティスの赤黒2枚ずつで行うオイルアンドウォーター。
4段階ありますが、2枚2枚のおかげで1分ぐらいで終わってます。

原理的にはよくある2-2のオイルアンドウォーターと同じなのですけども、ハンドリングがやばすぎて全く新しいものに見えます。
あれと同じようにやろうと思うとかなりの練習が必要です。
使われてる技法はパケット内で枚数あれする時に広く活用できるものなので覚えておきたいところ。
ラストはビジュアルな変化なんですが、ダニダオルティスがダイレクトにカラーチェンジ的なことするの珍しい気がしますので、その時の手つきとかも必見です。

Oil Over Troubled Water

イングブルムの少し変わったオイルアンドウォーター。単品でも売られてるやつです。
裏面が赤青混ざったデックの中から赤青3枚ずつ抜き出して水油して、最後にデックも綺麗に赤青分かれてるという構成。
タイトル的にも構成的にもカーニーの”Oil on Troubled Water”の変形ですね。

手法やディスプレイに好みが分かれるかとは思いますが、サトルティはよく考えられてるし、元々赤青という特殊なデックを使うので個人的には全く抵抗ありません。

解説されてるトリックは以上で、他にも演技のみのマジックがいくつま収録されています。
ファットブラザーズの皆さん以外に、緒川集人さんやべベルなどの演技が見れておもろいです。
マジシャン同士が手品見せ合ってわーおとか言ってる映像はいいもんですが、その最高峰が見れます。

ところで、ところでというかこれ見てこのエントリーを書き始めたわけですけど、ファットブラザーズ第3巻が撮影されていることがダニダオルティスのInstagramにより明らかになりました。

Preparing FAT BROTHERS III…

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一枚の写真からクウォリティの間違いなさが伺えます。
なんやこのシチュエーション。

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